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R.U.K.A.R.I.R.I | まどかオンリー用同人サンプル
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2011.08.28
更新履歴
2011/08/28 内容の修正
2011/08/17 タイトル変更
2011/08/12 今村さやかとなっていたのを、美樹さやかに修正。どうしてそうなった。
2011/08/10 内容修正
2011/07/24 一部内容修正

今後参加の、「魔法少女まどか☆マギカ」オンリーイベント用同人誌のサンプルです。

※なお、まだ未完成のものになりますので実際の同人誌と異なる場合があります。

同人誌タイトル「魔法少女ほむら☆マギカ Chapter of Sakura」


主に、ほむらメインのものになります。
簡単な内容として、語られることのなかったもう一人の魔法少女 ←よくある劇場版のパターンですね。
もう一人の魔法少女とほむらの話になります。



 奇跡。
 奇跡が本当にあるのならば、人間は何を願うだろうか?
 手を伸ばせば、それが手に入れられる奇跡ならば、手を伸ばすのだろうか。
 その代償として、人間として“大切なモノ”をなくすとしても、人間には叶えたい奇跡があるのだろうか。
……あるのだろう。
 それがあるから、この悲劇という現実が存在しているのだ。
 だけど、魔法少女たちには、それを知る術はない。
 “魔女へといずれ至る少女たち”。
 それは、抗うことのできない運命。
 例え、それを知ったとしても……、それに気づくときには遅すぎる。
その遅さは、どうしようもない。もう何もかもが、全て最悪な状態に陥っている。
誰であっても、どうすることもできない。
 それは、魔法少女にしかわからなく、魔法少女なら、最後に至る道。
 そして、魔法少女以外にその苦痛はわからない。
……魔法少女、それは契約を交わす代わりに、魔法の力を得た少女。
魔女と戦う使命を課された存在。
 契約は、願い。
それは、何でも叶う願い。例外はない奇跡。
契約によって、生み出されるのは少女たち……“宝石”。
宝石、それは魔法少女である証であり、源。
 その名は、ソウルジェム。それは、少女たち“そのモノ”である。
 もはや、少女たちは人間ではなく宝石である。
 だが、そのことを少女たちは知ることはない。
 契約。
 ……元凶がなくなるまでは、契約はなくならない。
 ――元凶。
 それがわかっていたとしても、一体何ができるのだろうか。
 ――鹿目まどか。
 あなたは、一体何を……願うのだろうか?
「……もう、私は決めてしまったから」
 後戻り、そんなことができるのなら……そう考えてしまう私は、すごく弱い。
「……」
巴マミがいなくなれば、必然的に美樹さやかが魔法少女になる。
そして、美樹さやかは魔女へ必ず至る。
そのことには例外なく、たとえ邪魔をしても必ず起きた。
彼女の性格上、私が何を言っても全て無駄。だから、起きる。
そして、それはまどかが魔法少女になってしまう原因となった。
杏子に限っていえば、美樹さやかと仲良くしたいと考えていることは、杏子の行動から明らかだった。
そのため、杏子が美樹さやかを守ろうとするのも、偶然ではなく必然。
まどかを守るためには、それを利用しなければならない。
――それが一番の重要事項。
もう、なりふり構ってはいられない。
誰に頼っても意味はない。もう、誰にも頼らない。
だからこそ、私は一人でやると決めた。
――そう、あのときもそうであった。

× × ×
 
 かつて、生きることを拒絶された少女は、魔法少女となって、生きることを獲得した。
 だが、少女が感じたのは新たなる生の拒絶。
ただ、もう一度だけ自分の足で歩いて生きていきたい。
でも、目の前に差し出された希望は、生きるという名の絶望だった。
「ボクと契約して、魔法少女になってよ。君にはなる資格もなれる想いあるだろう。さぁ、ボクにその祈りを教えてご覧。そうそれはエントロピーを凌駕するだろう」
 あのときのキュゥべぇは、まさにそんなことをいっていた。
そして、人間という肉体はなくなった。
少女が手に入れたのは自由に動かせ、いくらでも修理ができる作り物の身体と、それを形あるものにできる魔法と呼ばれる力だった。ただ、生きたいと願うのは愚かなことなのだろうか。
 少女は、間違ってしまっているのだろうか?
――誰かに答えて欲しかった。
でも、誰も少女の周りにはいなかった。そう、誰もそこにはいなかった……。
キュウべぇ、彼だけが少女のそばにいる。ずっとずっと、そばに居続ける。

☓ ☓ ☓

薄暗い通路の中で一人の少女が立っていた。
――少女、暁美ほむら。黒く長い髪を持つ。そして、時を止められる魔法を持つ魔法少女。
「……」
 暁美ほむらは、弾を撃ちつくしたサブマシンガンを目の前の壁に、乱暴に投げ捨てる。
『バンッ』という音とともに壁に叩きつけられたサブマシンガンの銃口からは、発砲した影響で白い煙がゆらゆらと空へと向かって上がっている。それは、殺風景なビルの裏手で、少し異様に見えた。そこには人もいない。動物もいない。風もない。街灯の光すらない。
何もなかった。何もないのだ。
ここにあるのは、ビルの壁とその中心点にいる少女“暁美ほむら”のみ。
「……?」
 サブマシンガンを投げ捨てた指先に違和感があるのか、ほむらは自分の手を見つめた。その手はいつもの手と変わりないほむらの手。その手は何も汚れておらず、綺麗な手をしていた。綺麗。ホントウにそれは綺麗なのだろうか。ほむらは手を握り締める。そこには何も感じない。
「……何回目だろうか」
 赤く染まった空を見上げると、ふいにほむらは目を閉じた。
「……」
 思い浮かぶのは、数えきれないほど救えなかった生命。
「……まどか」
そして、後悔の想いと絶望。思い出には、それしか残っていなかった。希望を感じたこともあった。でも、最後は絶望。夢も希望もそこにはない。どうしようもない現実しかない。
そんなものを思い出と呼ぶのか、ほむらは一瞬戸惑いを感じたが、あまり深く考えないことにした。考えたところで何も変わらない。何も“過去”は変わらなかった。
「……ふぅ」
 彼女を救うために、彼女を殺す。彼女を殺すために、彼女を救う。
 それは果たして正解なのか? それとも、不正解なのか? 誰もその回答を知る者はいない。
答えてくれる人も誰としていない。
それは、暁美ほむらが魔法少女になった理由とは、かけ離れていた。
「……」
 理由そのものである彼女、“鹿目まどかとの出会い方”を変え、鹿目まどかに守られる自分ではなく、鹿目まどかを守れる自分になりたかった。それだけの想いで、キュゥべぇと契約したのだ。
たったそれだけであったのに、それだけの想いがあっても結果は、いずれも失敗だった。
 失敗、不正解、不合格。
 終わってしまえば、全てそうと言い切れる。一体いくつもの過去を体験してきただろうか、ほむらは振り返ろうとした。
「っ……!」
しかし、後悔と、絶望しかそこにはなかった。
その度に、過去を変えるために、何度も何度も何度も繰り返す。例え同じ結果になろうとも繰り返す。それ以外にほむらができることはない。それが暁美ほむらの魔法少女としての願い。
「……私の戦場はここじゃない」
 そう何度もつぶやく、たった一つのゴールを目指すため……。
笑ったまどかと“ワルプルギスの夜”を超えた未来へ行くため。ほむらが繰り返した過去の中に、その未来はなかった。できなかったことをできるようにする。
――だからこそ、今この状況。
「くっ……」
 ほむらは、唇を噛みながら思った。
どうして、こんなにもうまくいかないのだろうか。
 うまくいくというのは、結局、どういうことなのだろうか。
あいつを引き離そうとすればするほど、あいつはまどかに接近する。
 あいつ、キュゥべぇ。
――いいえ、インキュベーター。あいつだけは、絶対に許さない。
「まどか……」
 どうして……私の言葉を誰も聞いてくれないし、信じてくれないのだろうか。
私は“本当のことをただ伝えているだけなのに”。何がいけないのか。何がだめなのか。
本当のことというのは、本当のことなのだろうか? 
たとえ信じてくれたとしても、もうそれは何もかもが遅すぎるときであった。
だから、私は……。
もう誰にも頼らないと決めたんだ。
――彼女……。
“彼女”と別の出会い方をすれば、まどかと同じように友達になれたかもしれない。それは、美樹さやかや佐倉杏子たち、他の魔法少女にも言えることだ。
 別は、別だ。別なんてのはない。
私にはこの出会い方しかしなかった。友達は、鹿目まどか。そして、私はそれを選んだ。もう、この選択肢を選んでしまった。振り返ることはできない。振り返ることは許されない。
「……っ」
 それに私は、人間ではない。そう、魔法少女なのだから。だから、選ばないことなんて、できなかった。
選ばないことなんて、私にはできなかった……か。
あの時感じた絶望を、希望という光に変えて、まどかと一緒にただ、笑い合いたかった。まどかの笑顔が見たかった。悲しむ顔なんて見たくなかった。
「さようなら、ほむらちゃん。元気でね」
 そんな言葉聞きたくなかった。脳裏に彼女の別れ際の言葉を思い出す。
ずっと一緒にいたかった。ずっとずっとずっと……いつまでも友達でいたかった。
「……」
 魔法少女。そう、人間ではない少女。
 だから、“彼女”は魔法少女になる前に、殺さなければならない。
 それが人間ではなくなった私ができる、彼女への最後の人間としてのアプローチなのかもしれない。まどかを守るために、それは殺さなければならない障害。
そして、厄介な人物、
「さくら……」
 それが“彼女”の名前だった。
 さくら、そうキュゥべぇが呼んでいたから私も呼んでいる。苗字はわからない。それは、漢字で桜なのか、ひらがなのさくらなのかまた、それ以外なのかはわからない。だから私は、勝手にひらがなのさくらとして認識した。
本当はそんなことどうでもよかった。
だって、モノには、本当は名前なんて、ただの飾りなのだから。
 私も暁美ほむらではなく、人間ではなくただの魔法少女と呼ばれるモノ。さくらが魔法少女になる統計的データは、決して高いものではない。それは、キュゥべぇが間に合わなかったケースつまりは、死んでしまうケース、彼女が奇跡的に助かるケース。
そして、私が殺したケース……。
“彼女”が魔法少女になった場合、最悪な魔法少女になることは統計的にみて、ほぼ間違いない。
 それに、彼女は壊れてしまっている。
それは、私と違って確かに、これ以上魔法少女が増えるのを、食い止める手のうちのひとつかも知れない。だけど、そのためにまどかが巻き込まれるのは……私が絶対に許さない。
「許さない……。あなたを殺さなければ、あなたは、まどかを殺す。そんなの私が許さない。だからこそ、これは仕方がないこと」
「……」
 壁に寄りかかって座る血だらけの彼女は何も答えない。至る所にほむらが打ち込んだ弾の傷跡から血が流れている。顔はぐったりと下をむいて、両手足は無気力に放り出されていた。そして、動くことは決してなかった。
「……まどかは私の全てなのだから」
 それに答えるかのように、さくらの肉体は、光る粒子になって空中へと消えていった。まるで初めからそこにいないように。そう、それが当然であるかのように。
 まどか、私のたった1人の友達。私の生きる希望。
「今度こそ、救ってみせるあなただけは……」
 そして、暁美ほむらはさくらがいた場所に落ちていた“グリフシード”を手にし、その場を後にした。
もう、後ろを振り返ることはなかった。

☓ ☓ ☓

「……」
 病室のベッドに眠る少女は、ベッドから動かない。ただ、目を閉じ、人工的に人工呼吸器から送られてくる空気を肺にいれて、外に放出する動作を繰り返していた。それと共に、ピ、ピ、ピと少女の生命の音を刻むように、ベッドの隣に置いてある心電図モニターが鳴り響く。
 その心電図は、正常に動作しており少女がまだ生きていることをあらわす。
「……」
 その病室は、少女のために用意されているのか、壁紙は全面ピンクで彩られ、ベッドシーツや、枕カバーに至っても、かわいいクマさんの絵柄が描かれていた。それとベッドの隣には、大きなテディベアが少女を見守るかのように少女を見つめるようにちょこんと座っていた。
窓からは風がやさしくカーテンを撫でるようにふく。それはこの場の空気を変えたいと願っているようであった。
その場の空気を作り出しているのは、少女の姿を見つめるように男と女だった。
「ふぅ……」
胸には『面会』と書かれたバッジをつけている。他には、誰もいない。部屋には、少女のために用意された機材と家具、そして外の中庭がきちんと見える窓があるだけだった。
「……どうして、どうしてなんだ」
 そう低い声でつぶやいたのは、ベッドの隣にある椅子にいた悲しげに見つめていた長髪の男だった。髪の毛は、黒色に若干紫色の髪が混じっていた。ヒゲは剃っていないのか、整いが悪い状態である。服はTシャツにGパンだけの流行のファッションを着込んでいる。
対して女はロングヘアーで服はどこかに出かけるつもりなのか、キャリーウーマンのようなびしっとしたものを着こんでいた。胸には赤いネックレスをつけている。
「くそ……うっ」
 男が言葉をつまらせ、つばを飲み込む。
「……」
ベッドで眠る少女は、男の髪の色に似た純粋な紫色のセミロングの髪の毛をしている。その顔は無表情で何も感情を表に出さない。ただ呼吸をしているだけである。
「代われるなら、代わってやりたかった。どうして、私たちが無事なのにこの娘だけがこうなってしまったんだ」
 男がベッドのシーツを強くつかむ。その影響で少し少女が揺れた。
「……そうね。お医者様がいうにはさくら……可能性もあるみたいだけど……でも、それは……」
言葉をつまらせながらやさしく話す女が、男の肩をたたいた。
「医者の言うことなんか、あてになるかよ! 奇跡なんて、起きやしないんさ……。そう、この娘は奇跡か魔法がなきゃ、もう笑うことも泣くことも歩くこともできないんだ……。もともと、身体は強い娘じゃなかったけど、一生懸命笑っていてくれた。笑っていてくれた! ずっと、その笑顔を見ていけると思ったのに。あのときだって、奇跡、奇跡と……医者は言っていた。でも、そんなのなんておきやしなかった! あるのは、無駄にこの娘に期待させるだけだった。ここには絶望しかない……」
 男が少し怒鳴り声が混じった声で語る。
「……そうね、そうかもしれないわ」
「そんなものがあれば、この娘は最初っから元気な姿で走り回っていたさ……現実は、これなんだよ……」
 女が、見つめることが辛くなったのか少女を視界から外した。
「桜の花びらか……」
「くっ……!」
 窓から桜の花びらがひらひらと、散っていくのを女は見つける。それが何か少女と一致したのか目には大粒の涙が溜まっていった。
「俺が一緒に連れていければ、こんなことには……!」
 男が顔を歪め、その両目からは涙が滲む。ベッドシーツが男の涙で少し濡れた。
「あなたが悪いわけじゃないわ! 私がこの娘に留守番なんてさせたのがいけないのよ! 折角の一年に一度の帰省できるときだったのに!」
 女の怒鳴り声が、病室内を静けさから空気をかえた。風が優しく二人を撫でる。
「やめましょう、この話は……」
 女がかばんからハンカチを取り出すと涙を拭った。そのハンカチは、刺繍でママありがとうと書かれていた。それを見た男の目が大きく開く。
「でも、それでも俺は! 俺は……!」
 ベッドの隣の机に新聞がおいてあった。そこには、『少女が血だらけの床に倒れていた。原因は不明。現在意識不明の重体。回復見込みは皆無……』と、大きく記事に書かれている。
 そう、その被害者である少女はベッドで眠るまさに、この少女であった。
「くそ……! どうして、うちの娘ばかりがこうも不幸な目ばかり合わなきゃいけないんだ……! 本当なら、年齢が近い娘たちと、外で遊んだり、しゃべったり、買い物に行ったり、学校で勉強したりしているはずなのに……!」
 男は乱暴に何も出来ない自分に敵意を向け、自分の足を叩いた。バシバシと部屋の中に響く。
「あなた、やめて!」
「くそ、くそ、くそが……くっ……」
 その様子をじっと、部屋の角から見ているモノがいた。そのモノは、座り込んでおり、無表情で何かの“一瞬”を待っているようである。その目は赤く光り、その部屋では異質にみえた。
「……」
 男と女には、そのモノは見えなかった。そのため、部屋にいる三人はそのモノに一方的に見られていた。しかし、そのモノの視線はその二人にはなかった。主にベッドで眠る少女に向いている。
「さくら……、どうしてこんなことになったんだ」
 男がさくらと呼ばれた少女の頭を優しくなでる。
「……神様は、残酷な未来しかこの娘にくれない」
 そういう女の目から涙がまたこぼれ落ちた。それを隠すようにハンカチを当てる。
「神様なんてのはいないんだよ、そうだよ、うちの母さんの時だってそうさ。もうだめなんだ、俺はだめだ……っ」
 男が両手で頭を抑え、音のでない声で泣いた。
「……」
 その“何か”がきたのか、ふいにそのモノは立ち上がると、窓のふちへとのぼる。
「……んっ」
 少女が呼吸とは別の言葉を発する。それは、呼吸器の音ではなく少女の口からでる音。そして、それと共に、音もなく少女がうっすらと目を開ける。
「あ、あなた、さ、さくらの目が!」
 ハンカチをかばんにしまおうとしていた女が、それを発見するとうれしそうに男の肩を揺さぶる。
「おぉ……!?」
 男は、女の手をとり、少女を見つめる。少女の目は完全に開いており、それは意識不明からの復帰を荒らしていた。男の目から一度引っ込んでいたはずの涙がまたあふれていた。
「奇跡は、本当にあるんだな! よかった! よかったよ……さくら」
 少女は何が起きているのかわからない表情をして、少し困った様子で男をたたいた。
「っ!?」
 男は、その感触がうれしいのかさらに少し強くだきよせた。
「パパ、痛いよ!」
「あぁ、あぁ……!」
 ただ、少女が起きたそのベッドの枕のすぐとなりには、真っ黒に染まった時より紫色に光るソウルジェムがそこにはおいてあった。
「”   ”」
 そう何かをつぶやいて、その様子を見つめていたモノは満足したのか、その場を何事もなかったように開いていた窓から去っていった。

☓ ☓ ☓
 
 歩ける。歩く。その一歩は、わたしにとって十分だった。
 わたしにとってその一歩は、人類が月に一歩足を踏み入れたことと同じ意味合いを持つ。
だから、歩けることがこんなにうれしいことなんて知らなかった。みんなとやっと同じ世界を見ることができる。
 車椅子から見た世界と、さようなら。
立って見えるこの世界がこれからのわたしの居場所だ。だから、今日もわたしは病院内を歩いていた。歩き、それが今のわたし。
「今日はどこいこうかな。どちらにせよ、行ける範囲は限定的だけど」
 もう退院してもわたしはいいと思うけど、先生からあと数週間は精密検査がいるって聞いた。確かに、急に歩けない人が歩けるようになるなんて、例外はないとは思う。
だからといって、病院に缶詰ってのも正直どうかと思う。
 でも、わたしにとってはそんなことどうでもいい。はやく、いろんなところに行ってみたい。もっといろんなモノをみたり、触れたりしたい。外にはいろんなものがあるって昔から聞いていた。わくわくする。
「ん? なんで、こんなところに猫がいるのだろう」
 病院に見られない白い生き物が目の前にいた。
ここは病院だ。
ペットの持ち込みは禁止である。一部可能なところもあるかもしれないが、この病院は確か、禁止だった気がする。でも、わたしの記憶力はあてにならない。学校にもいっていなかったし、不安。でも、カウンセリングに動物を使うとも聞いたことがある。
そういえば、過去にわたしもそういうのを体験したような覚えがある。そのときは、犬だったかな。
――ゴールデンレトリバー。
確かそんな犬だった気がする。
「なんだろう?」
 赤い目をした白猫は、わたしに丁寧にお辞儀をしたように見えた。それが終わるとこちらを見ながら奥へと歩いて行った。
猫って、社交的なのかな? 紳士的でかっこいいかもとわたしは思った。
「ついてこいってことかな?」
 ちょっと、その猫に興味がわいた。
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