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R.U.K.A.R.I.R.I | 背中越しの笑顔 リニューアル版
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2011.02.09
再度、観直して内容修正する予定です。 2011//2/09


オリジナル小説の「背中越しの笑顔」をリニューアルしました。

登場人物

以前の背中越しの笑顔

こう二つをみると、文章力のなさがががが……

短編小説、原稿用紙およそ42枚~100枚相当の内容です。

「背中越しの笑顔」 リニューアル  


× × ×

「はぁぁああ……!」
(うーんよく寝たな。今日もいい天気。そして、今日で単位取れないのが決定か……どう考えても俺朝弱いんだよな、誰かどうにかしてくれないかな)
涼介は、高町涼介と書かれた履修表をベッドの上から眺めていた。眺めていても単位は増えないし、変わりもしないのだが大学には行く気があまりしなかった。その履修表には、赤く書かれた文字が多く「X」とかかれたものが殆どである。
(兄さん、起こしてくれてもいいのにな)
高町秀樹とかかれた賞状やトロフィーが涼介の部屋にもいくつか飾られていた。涼介は一度秀樹に起こしに着てほしいと試しに一度聞いたこと時のことをおもいだしていた。
「ふ、俺はお前の目覚ましになるつもりはない。起きたいなら一緒の布団で寝るか?」
返ってきた言葉はまぶしい笑顔でのこの発言で涼介は1秒もたたずに断っていた。
(い、いや断ってなかったらそれでいて危ないよな、確実に人間として何かを失うことになりそうな気がしてならない。あの兄さんだもんな)
寝巻きから私服へと着替えた涼介は朝食をとろうと台所へと向かう。
「母さん、父さんおはようございます。」
 涼介は台所の机においてある写真立てに挨拶をしながら朝食を作り始めた。
(今からなら十分に次の時間の授業は間に合うだろう。ご飯も食べたし顔を洗って、行くとしようか。あんま行く気はしないんだけど)
「母さん、父さんいってくるよ!!卒業できるかわからないけどね!」
きっと天国で怒っているだろうなと、涼介はそんなことを思いながら我が学び舎にのんびりと向かうことにした。きちんと身支度をすると鍵を忘れないように、ポケットからキャラクターのキーホルダー付きの鍵を取り出し、玄関へと向かっていった。
「ん?」
玄関には不自然に一枚の紙が落ちていた。
「今日は遅くなるからご飯はいらないから一人で食べてくれ。お前の愛しい兄より」
その紙には丁寧な字でそう書かれていた。涼介は読み終わるか終わらないかのところで丸めて廊下へ投げ捨てた。
「誰が愛しい兄なんだかな」
涼介には親ともう呼べる人間はうちにはいなかった。それは両親が即死するという事故が起きたからである。そのため兄である秀樹と今まで二人で生きてきた。家族と呼べる人は秀樹と、自分である涼介の二人だけだったのだ。
親戚の人が引き取ろうかという話に一度はなったが、親戚のおじさんたちの援助だけでいいと秀樹と二人で決めたのであった。
生活は父さんが残してくれた財産と援助で今までやってこられてきた。これがなかったら涼介と秀樹はきっとだめだったろう。涼介はお世話になった人に恩返しがしたいと考えている。
(が、そんな俺はこうして大学すら危ういがな)
「あはは」
(もう笑うしかないな、ちゃんと大学卒業できるかな)
涼介はそう考えながら数分かかる大学へと向かうのであった。
今日はいつもと違って学校指定のバスは既に運行が終わっていて、他のバスに乗ることになってしまったのだが、いつもと違うせいなのか眠らずに大学へつくことができた。

× × ×

涼介は次の授業どこの教室だったかなと晴れたいつもと変わらないキャンパス内を歩きながら考えているち目の前に見知った姉妹を発見した。
「おはよう、さくら、ひずみさん」
「あら、涼介君。おはようございます」
「あはは、りょーじゃん。学校こないんじゃなかったのかー?」
(相変わらず、さくらは俺が気にすることをずばずばと言うものだな)
日暮ひずみ、日暮さくら。双子の姉妹で涼介と秀樹のいわば幼馴染みたいなものであった。遠い親戚でもあり、二人がいたおかげもあって涼介はさびしいという感情を表にだすことはあまりなかった。
「お前だってな……ん?うーん」
(こいつ……何気に単位一杯とっているんだよな)
「お前だって何よ。なんか文句あるわけ?」
腰に手を当てながら迫ってくるさくらをちょっとよけながら、涼介は何かないものか必死に考えるが何も浮かばなかった。
「くそー、この完璧野郎め」
「へっへーん、できないやつよりはいいもん。ねぇお姉ちゃん」
「まぁ、できないよりはできたほうがいいと思います」
(あちゃー、ひずみさんにいわれたら反論できないじゃないか)
目の前のさくらは勝ったといわんばかりの笑顔でこっちを見ていた。さくらの単位修得はほぼ全部A判定で認定されていた。そして、姉であるひずみさんはほぼS判定であった。
「ばか、ばっか!」
(こんなやつほっといてさっさと教室にいってやる。ほっといて行くのが勝ちってな!誰かがそんなことを言っていたよな?まぁ、誰でもいいかな)
涼介は後ろを向くと一気に教室に向かって加速しながら走っていった。
「あー、まってよー!次の授業教室おなじでしょー。じゃぁお姉ちゃんあとでね」
「はいはい、あわてて転ばないようにね」
「わかっているって!」
涼介の後ろからそんなやりとりが聞こえた。だが、ひずみの忠告はむなしくすぐにさくらが転んだのは、涼介が振り返らかえらずともわかったことであった。

× × ×

「ぬぬぬ。はー!」
涼介は授業を眠たそうにしていたが最近買ったゲームの説明書を読んで眠気を妨げ過ごしているととなりに座っていた慶介がなにやらニヤッと笑って教授を見ていた。
「なぁ、何が楽しんだ?」
「ふ、涼介聞いてくれるのか?なら言ってやろう。ここはひとつみんなで先生に質問をし、授業を妨害しようとな」
慶介は決まったといわんばかりにかっこつけていた。相変わらずなにを考えているかわからない男であった。鳴滝慶介、放浪癖があって何かいつもやたらと面白いことをしようとしている。
「俺は、そんなことをする時間なんてねーの。帰ったらこのゲームをクリアしないといけないんだからな。それに授業妨害って他の授業聞いているやつに迷惑だろう」
涼介は手に持っている「A space children's story labyrinth 」の説明書を慶介に向かってひらひらさせた。
「こんなつまらない授業をおもしろくしてやろうとしている俺の考えがお前にわからないとはこいつぁ困ったものだ」
涼介の後ろの席に座っていたさくらが私も話にいれろよといわんばかりに話に参加した。
「ねぇ、何楽しいことしようとしているの?」
 さくらは慶介がするいつもの馬鹿騒ぎが大好きであった。そのため、慶介が何をするのかわくわくしていた。
「いや、楽しいことって別に俺はしないと言っているが」
慶介は涼介の言葉を聞くなり、あきれた顔付きで話す。
「ふ、そんなことを言って結局いつもやっているのはどこの誰だか……」
「ちょ、それはお前が強制でやらしているんだろ」
 説明書で慶介の頭をどつく。
「素直じゃないな涼介は……っ!まぁ、今日は別に他にやることがあるからやるなら一人でやってくれよ俺はちょっと忙しい」
 慶介はそんなどつきになぜか抱擁してきた。無論、涼介は殴って引き離した。
「あのなぁ忙しいなら声かけるなって……第一にやらないなら話を俺にやれというなよ」
「いや、なにやらお前が何かをしたいって顔をしてたからな」
(まったくどんな顔をしてたんだ俺……)
後ろでまださくらが何かをいっていたが涼介はそれを無視するかのように説明書に没頭して授業を過ごすのであった。
もはや授業を聞いてないのは仕方がないことであった。

× × ×

涼介はコンビニの棚の前で考え事をしていた。左手にはおにぎり、右手にはサンドイッチが握られている。
「さぁて、今日の夕飯は何にしようかなぁ」
 焼きそばに、うどん様々なものに目移りするがどれもいまいちであった。夕飯をコンビニで品定めることはたまにあった。
基本料理はできないので家に誰もいないとだいたいこういうことになる。いつもは秀樹が料理して二人で夕飯を食べているのだが、秀樹がどこかに行っている場合はいつもおなじみのコンビニの世話になっていた。
(しかし、24時間営業ってのはわりといいものだよな……)
「お、このモデルスタイルがいいな」
週刊誌に写っているモデルに魅力を発見した後、夕飯の買い物をすると家にすぐに帰って、大学のレポートをやりながら眠りにつくのであった。
秀樹はいつ帰ったのかわからないが次の朝には必ずいる。夜秀樹が何をしているのか涼介は知らなかったが秀樹を信頼しているので罪を犯していないと思っている。なのでそれほど心配したりといったことはしていなかった。

× × ×

経済学、いつもと同じように教授が経済に関してくちゃとまるで呪文のような話をしていた。それに加えて教授が配る資料には日本語が日本語ではかかれていなかった。妙にカタカナ表記で書かれている。例えば、支払うがペイするといったそんな感じである。役に立ちそうなのはわかっているのだが、どこかこの教授を好きになることはできない。というわけで今日は話をして過ごすことにした。
「なぁ香奈」
 授業が始まってからずっと空ばっかり見ていた隣に座っている女子学生へと声をかける。
「……なに?」
その女子学生は犬飼香奈といって、いつも無口でいつも何を考えているんだがよくわからない友達であった。
(ぼーと外を見ていているわりにはテストできんだよなぁ……世の中不公平だ)
授業中に教授の話をまったくきいてなくてなんで単位がとれるんだろうと気になりつつも、涼介は以前から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。
「いや、いつもなにを見ているのかなと思ってね」
「―雲」
「雲ねぇ」
涼介は香奈と同じように窓から見るが、空にはいつもと同じように雲がぷかぷかとういていた。
(確かに雲があるよ、それもたくさんね。そもそも、雲って単体なのか塊なのか知らないな、まぁそんなことはどうでもいいか)
「あそこで寝たら気持ちよさそうだなぁ」
「……そうね」
「えー、雲ってマシュマロみたいでおいしそーじゃん」
 話を聞いていたのか、さくらがいつものように話に加わった。
「それはお前だけだって…まったくさくらはいつだってお菓子だな」
 あきれた顔でさくらをみつめる。
「いつもお菓子ばっか、考えていないもん!」
「じゃぁ手に持っているチョコはなんだよ……」
さくらの手の中には袋からだしたばかりと思われるモッキーのチョコ菓子が握られていた。それもおいそうな顔をしながらほうばろうとしていた。
「こ、これはそ、そう真由奈にもらったんだよ」
(まぁ、確かにあいつはお菓子昔から好きだからね)
真由奈の方に目をやると、確かに同じようなお菓子を食べていた。
「なによ!文句あるの!」
 萩野真由奈はこっちをにらみつけるとおいしそうにお菓子を食べることを再開した。真由奈以上においしそうにお菓子を食べる人間はいないんじゃないかと思うくらいにおいしそうにいつも食べていることに尊敬できた。しかし、こんなことを尊敬している自分はだめだなと頭を横に振った。
「うーん」
二人が同じものを食べてるといっていたけど、さくらも同じようなお菓子を食べているけど、真由奈のは何か別の限定販売にみえた。
「いや、ないけどさ、いつも何かしらお菓子食べているよな。まぁ好きなのはわかるがね」
「べ、べつに私がなに食べていてもあんたには関係ないでしょう!」
 ジト目ではげしく見つめられてしまうが、いつものことなので軽く流すことにする。
「そんなにつっかかるなって」
「わ、わたしは別につっかかってないもん!」
「わかったからさ」
(あぁ、もうなんでこいつはみんながいるとき俺と話すと二人でいるときとの反応が違うんだ。意味がわかんねぇなもう……)
「欲しがってもあげないからね!」
「はいはい。」
「んで、アンタは何してるのさ?」
慶介に、哀れみをかける様な、呆れて物も言えない様な視線を注ぎながら聞いてみると予想通りな答えが返ってきた。
「いや、ちょっと仕込み消しゴムでもおもしろいかなぁと」
「へー、そうなんだ」
(もういいや、ほうっておこう……)
 今日も無事に授業は終わりそうであった。何事も何も起こらないことはいいことだけど、何か物足りないそんなことを考えるときもあった。

× × ×

空が夕日に包まれているころ、涼介は真由奈に呼ばれて教室にいた。いつものように呼ばれて、きっといつものようなことをされるんだろうなと予測しながら向かっていた。
「まったく、こういうのはいい加減勘弁してほしいものだよ」
扉を開けながら中にいると思われる真由奈に叫んでみる。
「ねぇ、りょうすけぇ」
(無視かよ……)
真由奈は涼介の名前を呼ぶと力いっぱい涼介を抱きしめた。
「はいはい、そういうのはあっちで一人でやっていてくださいと」
真由奈がくっつくのを引き剥がすのはいつものことだからな。また、涼介はこのだけのために呼ばれてしまったみたいである。
「はぁ」
(なんなんだろうなこいつ。不思議ちゃんってこういうやつのことをいうのかな、扱いが難しいというべきなのか)
「ん?」
今教室の外に誰かいたような気がしたけど、こんな状況を見られると勘違いを起こされそうだな。まるで、涼介と真由奈が抱き合っていて、何かをしようとしているという誤解を……
これが男と男、女と女ならまた話は別のものになるんだろうな。
(まぁいいか……帰るか)
「おーい、真由奈先帰るからな。お前ももうこういうことするのやめろよな」
「えー、いつか絶対私を受け入れてもらうんだもん」
涼介はやれやれと感じながら、真由奈を引き剥がすと教室をでるのであった。
廊下には、人がいたような感じはしなかったのであった。それに加えそこには数時間前から誰もいないようなそんな気配さえしていた。 それに人がいたとしてらここの廊下は木がきしむ音が聞こえてくる。それこそ走ったりなんかしたら合唱しているぐらいのボリュームは奏でられるだろう。だから、人なんていなかったとほぼ断定できる。音もなく歩けるなんて天井を歩くか秀樹のような俊敏な動きで人を驚かしたりするような人だけだろう。

× × ×

「先に言っておくが惚れるなよ」
「あんたがそんな性格じゃなきゃ惚れるかもな。あと女だったらなもちろん」
「そうか、why , or why not.」
「ん?なんだそれ」
「なぜそうなのか、なぜそうではないのか。お前はそれを感じているか?」
秀樹は何か得意げにそう話してくる。涼介は頭の中をフル回転させるが答えという答えが出る気配を感じなかった。
「うーん、ようは疑問を持って行動ってやつかな。あんま感じてないかな」
何も答えないのはよくないと思った涼介はそう答えた。
「それが大事となることもあるからな。注意しろよ。あぁ、あとあの姉妹は元気か」
「あぁ、日暮姉妹のことか。あぁさくらは元気だし、ひずみさんもなんも問題ないよ」
「そ、そうか」
(兄さんも好きなら好きと告白でもすればいいのにな)
こういうことに関して秀樹はぜんぜんだめな人であった。いわゆる人間得意不得意があることであろう。完全であっても、1つ恋愛という分野において秀樹はあまり得意でないのだろう。
「あぁ、そうそう。さっきの言葉は賢者カリスがかつて言ったことらしいぞ」
「あいつかー。何年前の話かしらないけどそんなやつ本当にいたのかな」
賢者カリス、この世に最初の憲法という名の処罰を作ったといわれる人物である。涼介はこの人物はあまり好きではなかった。勉強が得意でない涼介だったのだがこの人物がしたことだけは頭に残っていた。カリスが定めた憲法は、処罰の仕方がすべてむごいものでありいずれも死にたどり着く処罰であったのだ。
「まぁ賢者はいたと思うぞ。もっとも俺のようなワイルドな行動をしないといけないがな」
「兄さんは賢者なくて慶介と同じ変態もしくはねじぬけやろうだ」
 秀樹の天才なのかよくわからない言動を軽く流しながらその夜は過ぎていった。

× × ×

次の日、学校の中庭で写真を記念に撮ろうということになっていたのであるが、どうも真由奈がお菓子、お菓子とうるさい。
「だってじゃないって」
「だって」
「ってつっこみはえーーーよ」
 真由奈の行動をよんでいったことだが、涼介の周りはどんびきしていた。
「常に先を読まなければ生きてはいけないさ、それが生きるということのジャスティス」
 涼介はかまわず正義を感じながら主張する。
「言ってること意味不明だし」
「まぁ涼介だしね」
「そうだね、そうだね」
「……馬鹿だからね」
 女性全員がそういって涼介を笑った。
(なにか一人ボソッとひどいこといってないか……いつものことだからさ。いじられるのはこのメンバーで俺だけだ!!!)
 涼介は少しうれしいような、悲しい感情を抱きながら場所を真ん中へと移動する。
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
 涼介は両手を思いっきり空へと伸ばすと叫んだ。
「なんか吼え始めたよ」
「ほっといて写真とろうよねー。ほらお姉ちゃんも」
「はい、いいですよ」
「香奈ちゃんもはいるだけ入ろうよ」
「……わかった」
 写真を撮るといっていたはずなのにフレームの外にいた香奈をさくらは腕をつかむと輪に入れた。
「ほら、りょー、あんたもはいりなさいよ」
そして、もう1つの腕で涼介を招き入れた。涼介はこのとき妙な視線を感じたが気にしないことにして写真に写ることを優先した。
「……ん、あぁわかっているよ」
このときはこんな日常が永遠にきっと続くと信じていた。そう、このときはまだ何も知らない。それはきっと誰でも同じ、永遠なんて起こりえないのだと後になって気づいた。
この写真が全員そろっての最後の写真となると誰もが予想していなかったことだろう。それは誰も未来を見ることはできないのだから当然のことであるが、変えたかった未来があるなら俺はこの未来を変えたかった。

× × ×




 すべてが憎かったわけじゃない、すべてが愛しいわけでも決してない。
 ただ、ただあなただけ。誰にも言えず、ずっと胸に秘めたこの想い。
 決して誰にも言わなかった気持ち、決して離したくない気持ち。
 背中がいつもより冷たく感じる。それはあのこがいないためなのか、これからすることを身体が拒否しているのか……
 わからない、わからない、ワカラナイ。もう、全てがわからない。こうしたい、ずっとそうしていたい。見たい、全部みたい!
 そう、わからないなら壊してしまえ。わからないものは壊してしまえ。なくなってしまえばわからないことはなくなるはず。怖いものだってなくしてしまえば怖くないんだから。
「うん、いつまでも一緒にいられるといいね」
その言葉と同時にかつて背中に感じた暖かい温もり。それは、今となってはただのいやな温もり。 
 本当の気持ちはただ、すべてが憎くなっているのかもしれない。
 本当の私はきっと死んでしまった。だから今からすることは私じゃない、私じゃない。
「だって、許せないのだもの」
 だから、私は決めたんだ。握り締める手からは爪が深く食い込んで血が流れていた。私じゃないという自分と決めた自分の二人が私の仲でお互い傷つけあっていた。どちらかが勝ったとしてもやることは変わらないというのに……
それは私の中にいる悪魔なのか、死神なのかわからない。けど、こうしたいと思う気持ちには何も偽りはなかった。
 そして、私は眠りについた。偽りという名の始まりと共に……

× × ×

 薄暗い倉庫の中で動く二つの影があった。その周りにはさらに二人の人物。そして、その二人の間には鎖によってつながれた人物がいた。
「へへへ、こんな上物がいただけるとはな。感謝しないとな」
「そうでげすね…ほらもっと顔を上げろ!」
「おいおい、まだ先は長いんだぜ。少しは落ち着けや」
「そうやで、わしなんてあと6回ぐらいはぶちこむつもりやぁ」
「あははははは」
「ぁあ……」
その人物にはもはや意識すら残ってもいないかのように目に光を感じることはなかった。
 バタンッ!
 激しい音ともに、倉庫の扉が乱暴に開けられた。そこには息をきらしながら、一人の若者が立っていた。
「はぁ……はぁ、お前ら、殺してやる……!」
 その若者は、近くにいた男に向かって突進していく。
「あん?誰のことをいってるのかなぁ?」
「混ぜてほしいのか?けけけ。俺はそれでもかまわねぇーがな」
「えっ、いいすかね、まぁ兄貴がそれでよろしいなら」
「こういうときはやっぱ聞いたほうがいいんじゃないですかね?」
「お前ら話をきいているのか!」
若者が徐々に近づいていく。男たちの中のリーダーと思われる人物が携帯電話をとりだし、どこかへとかけ始めた。
「お前ら、電話終わるまで近づけさせるなよ!」
「はい」
残りの三人のうち二人がその若者へと向かっていた。一人は鎖につながれた人物の近くから動くことはなかった。
「はい、そんな状況なんだがどうすればいいんだ……」
その男が話している最後の方をききとることをその若者はできなかった。二人の男がこぶしをぶつけてきてるからだ。
それを回避するのに余裕がなかったのである。隙を見つけては攻撃をするが二人のコンビネーションがいいためかなかなか攻撃が通らない。
何分かのこの攻防戦を繰り返しているうちに、リーダーと思われる男の電話がおわったらしい。
「そいつを生け捕りにして、俺たちのディナーを見てもらえだとよ」
「けけけ、そいつはいいなぁ」
そういって、もう一人いた男とともに若者のもとへとむかっていた。もう一人いた男はどうやら鎖につながれた人物が逃げれないように鎖を足に縛りつけ柱へと固定していたようだ。そうしなくて両手が既につながれていた人物は動こうとする気配すらもはや残っていなかったようだ。
「何人いようとかわらんよ」
若者はそういってまずリーダーのもとへと急ぐのであったが、後ろから何か鈍器のようなもので殴られて気を失ってしまった。
意識を失ってからもその若者には多くの暴行が加えられた。無論、生け捕りということなので死なない程度に痛めつけられた。その後若者にとって苦痛となる時が満ちていくことになることはその若者にとって予想外のことであった。

× × ×

「兄さん?」
突如としてなぜか秀樹のことが思い浮かんだ。それがなぜなのか涼介はわからなかった。授業に今日はまじめに参加をしていた涼介は胸騒ぎというのにはじめてなったような感覚に少し戸惑いを感じていた。
(さくらがこんなときにいたら心配でもしてくれたかな)
 さくらは珍しく授業を休んでいた。話に聞くとひずみが熱を出して休んでしまったためと聞いている。香奈はいつもどおり空を見ているし、慶介は静かだと思っていたら寝ていた。
教科書を開いている涼介は周りに比べると優等生のようである。
(兄さんそうだ兄さんはなにしているのかな……)
 胸騒ぎが収まらない、秀樹のことが妙に頭をよぎった。
ピンポパポーン♪
授業中だというのに突如として放送がなり始めた。
ぼっとしていた香奈も眠っていた慶介もそれに気づいて耳を傾けていた。
「えー、高町涼介さん。いらっしゃいましたら、至急学生科まで」
(え、俺…呼ばれるようなことしたかな)
周囲の高町涼介を知っている人間はみんな涼介を見ていた。
 あまりにもみんな見てくるものだから少し涼介はてれた。
(て、てれるじゃないかそんなに見たら)
「……早く行けば?」
「そうだぜ、いってこいよ」
「まぁ行くけどさぁ。先生ちょっといってきます」
「あ?お前がそうなのか、早くいってきなさい」
聞いた話は一生のうちで一回でも聞きたくない話であった。

× × ×

 あいつらがいけないんだ。私は別に悪くない。
ただ……
ただ、彼と一緒にいるのを見るのがいやだった。
最初は本当に普通だった。けれどそれは心の中から飛び出していった。もう止まらない、私には止められない。
彼に近づく全ての人を憎んだのだから、これからたいへんであった。なんせ彼に近づくものは一杯いる。例え老人であろうと生まれたばかりの赤ん坊であったとしても全ては敵、敵、敵、敵。
彼が本当のことを知ったとしたら?
それはない。
知っている人なんて存在しない、これからも生まれない。
だって……みんな死んじゃうんだから。
「こんな風にね」
血に染まったナイフをきれいに舐めきった人物は満足したのかその場から立ち去った。
その場には、赤く染まったゴミ箱があるだけだった。

× × ×

恐怖と絶望は同じであっても決して一致はしない。
幸せと平和は同じではない。
なにが正解でなにが不正解。
正義と悪。
白と黒。
それを説明できる人はいないだろう。
混沌と秩序。
血と涙。
天使と悪魔。
嘘と真実。
このことを知っていれば何か変わっていただろうか?
自分がそうなら変わっていた?結局自分はなんなのだ?
人は結局どうして生きているのか?神は存在するのか?
なぜ過ちを人は起こすのか?答えはでるのだろうか……

× × ×

涼介は突如なった電話により急いで病院へと向かっていた。
病院の中に入ると真っ先に電話から聞いた場所へと向かった。そこにいた秀樹は涼介が今まで見たこともない顔をしていた。鬼かあるいは悪魔か、その顔はまるですべてが憎いと叫んでいるようだった。そう、すごく怖い顔である。
「に、兄さん?」
「あぁ、涼介か」
声をかけるといつもの秀樹の顔に戻った。全身をみると傷だらけであり、病院で手当てをしたと聞いていたのでいたる場所に包帯がぐるぐるまいてあった。
「ひずみさんは?」
「あぁ、今だに意識が戻らないってさ……俺は結局彼女に何もしてあげられなかった、あの場所にいたのに無力とはまさにこのことをいうんだろうな」
「兄さんが悪いわけじゃないよ。俺なんかなにもしらなかったし」
「俺は結局無力なんだよ。天才なんてものは結局なにもできないのさ、例え何でもできても一人の女性を守ることすらできない。意味のないスキルだ」
バンッ!
壁を叩くとその場から涼介は離れた。こんな弱りきった秀樹を見るのがいやだったからだ。ひずみの様子を見に病室の中へと向かった。
「失礼します」
 病室に入るとカーテンとさくらの後姿しか見えなかった。どうやら、親御さんはいないようでさくらとひずみしかその場にはいないようであった。
「お姉ちゃん……なんでこんなことになったのかな……」
 そこには秀樹と同じように元気がないさくらがいた。涼介はそんなさくらを元気付けようと近づきながら声をかけようとする。
「元気出せとはいわないがもっとお前らしい姿をしていればきっとひず……」
 しかし、いい終わるか終わらないかの時にさくらが振り返ってどなられてしまった。
「そんなことを言ってもいつ元気に元に戻るの!」
 さくらの目はずっと泣いていたせいか赤く染まっていた
「それは……」
 さくらにいわれた言葉に何も言い返せない自分がそこにはいた。
(俺は自分が見たくないものを結局見たくないがために行動しているのかもしれない。だからひずみの姿をこの日見なかった)
 そのまま何もいわずに病室を出た涼介は病室外で意気消沈している秀樹の手を引っ張ると一緒に家へと連れて帰るのであった。
それがひずみとの最後となることをしっていれば……このとき、この場から去ることはなかっただろう。

× × ×

プルプルプルルルル♪
何の前触れもなくその日の夜遅くに電話が鳴り響いていた。部屋で寝ている兄さんを起こさないために急いでその電話を取った。
「もしもし?」
「……」
「え?えっ、それは本当のこと?」
突如としてかかってきた電話それはとても考えたくもないことだった。
「お姉ちゃんが病院の屋上から飛び降りて死んだ」
そう、電話の受話器からそんな泣き叫ぶ声が聞こえた……
その声はどこか悲しいという感情と何か別の感情を一瞬感じたがすぐに秀樹へと伝えると秀樹はそのまま家を出て行った。

× × ×

あの電話があってから4日ほど過ぎた今日、ひずみの葬式が行われた。
死因は飛び降りによる出血死。
遺族や親はあの事件があった後なら起こりえる事態だったのに防ぎきれなかったことに悩ませられていた。
特に妹のさくらは心ここにあらずでこの日はなにをいってもなにも反応がなかった。それはそうである、涼介でさえ何も声がでなくなるほどで、さくらとひずみは双子の姉妹。双子といえば背中越し、同じぬくもりを得て生まれてきたものである。いわば半身が消えてしまったのと同じ心境である。
警察は彼女を襲った犯人を捜索中である。体に付着した体液が証拠になるとのことである。連続強盗の犯人が今回も関与していると考えられるとのことである。この事件がおきるまではそんな事件が発生していることすらさえ知らなかった。この事件を知っていれば事前に何か対策ができたのかもしれない……
しかし、現実はもう起こってしまった。しかも最悪な結果となって。身内でまさかこんなことが起こるなんて考えたくもなかった。
「なぁ、兄さん」
 両手を合わしながら秀樹に話しかけるが秀樹から何も反応はなかった。
「……」
 ただ、目から涙を流すだけで何も動こうとしなかった。
「なんでこんなことになってしまったんだろうね……」
「……」
しばらくして、涼介の問いに何もいわずにその場を秀樹は去ってしまった。秀樹の背中からは何か黒いものがとびだしているようにも見えた。現場にたどり着いて止めることすらできなかったという話だ。その場にいたはずなのに何もできなかった自分を許せないだろう。その後ろ姿を見たときもうなにも秀樹にいうことができなかった。ただ、その後姿が見えなくなるまでみつめていることしか今の涼介には秀樹にしてあげることはできそうになかった。
「兄さん……」
「こんなことってないよな……どうして、どうして……」
理由なきただの快楽のための犯罪によって消えてしまった命、どうしても許せなかった。たとえそれが直接的な死因となっていなかったとしてもだ。この事件を知らなかった自分に対しても怒りは消えそうになかった。悪は、結局悪でしかないのだ。両親が即死した事故だって、本来なら事件として対処されるべきである。
交通事故、それも仕事の相手先の車に跳ねられる。それしか詳細は知らないが、交通事故といっても事件と同じではないのだろうか。それに仕事の相手先だ。絶対何か裏があったと最近は思うようになった。

× × ×

次の日、秀樹は突如として姿を消した。葬式から家に帰ってきたことは確認できているので間違いない。まわりからはひずみのあとを追ったとか、いろんなうわさが流れていたが、本当のことはわからない。それが神隠しなのか単なる家出なのか、はたまた後を追ってしまったのか……秀樹ほどの人物であるならば、犯人を探し回っていると涼介は思って心配はしていなかった。ただ、1つ気にしているのは食べ物の心配ただそれだけであった。
そして、それから三日ほどたって学校ではあまりいいうわさを聞かなかった福田大輔他3人が死んだというのをうわさで聞いた。
それが事故か殺人かわからないらしい。しかもその遺体はとてもひどい状態であるという話も聞いた。このことを聞いたとき、真っ先に秀樹が犯人として警察に重要人物としてあげられたと思った。実際に警察が家を訪ねてきた。これはもう警察の中で重要人物としてあげられているのは間違いなさそうである。
行方不明、それはある意味白であるが黒でもあった。いないのではなく消えた。つまり現れることもある。それは、犯人であって犯人ではない曖昧な立場である。

× × ×

(うーん相変わらずこいつの授業はおもしろくねぇな)
いつもどおりに攻略本でも読んで過ごそうとかばんをあさる涼介。
(む、隠しアイテムとってないな。帰ったら入手しに行こう)
「えーと、じゃぁ次の文章を……んー……じゃぁそこのお前読んでみろ」
生徒をさすことが好きなことで有名な石坂教授は、ちょうど涼介の前の席に座っていた真由奈を指差していた。
「うは、お前かよ。まぁがんばれし」
(ふぅ、俺じゃなくてよかったよ……今大事なところなんだからな)
「ねぇさくらここでいいの?」
 隣に座っていたさくらにどこを読んでいたのかページというか教科書まるごと借りるとそのまま席を立った。
「そだよー。」
相変わらず、真由奈も話きいてない。もというのは最初から涼介は聞いていないのでもというわけだ。
さすがさくらというべきか後ろからノートを覗くととてもわかりやすい字と説明がそこには書かれていた。全部聞いてる優等生だからな、できているんだろうな。あれから、何日もたっていないけどある程度元気になって登校するようになってよかった。あのままずっと学校にこなくなるかもと思っていたから涼介はうれしかった。
学校に来なかったのは、葬式から二日後くらいであるからそれほど休んでいたわけではなかった。
さくらにどこか教えてもらった真由奈は自慢げに読み始めた。なんていうか、どこか前と違って元気になったような気もしなくもないけど。
「えっと、情報理念は……」
文章が自慢できる内容でもないのに、自慢げに読むのもどうかと思うけどね。情報について音読させても何の意味があるのかわからないけど、いつあたるかわからない緊張感を与えるという意味ではいいことなのかな。そもそも緊張感を与えるのもどうかと思う。
「げほ、げほ……」
真由奈がこっちを見て何か驚いた顔を見せてくる。口元からは血が流れていた。その血を止めようと口元に手を添えるが止まる気配は依然として変わらなかった。真由奈の目は涼介の顔を焦点にあわせることはなく左をみたり、下をみたりと変な動きをしていた。
口元から視線を手に向けると、口元を抑えていた手も血だらけであった。
「ま、まゆな!?」
「き、きみぃど、どうしんたんだね?」
落ち着きがなくなった石坂がそこにいた。それはそうだろう生徒の一人が血を噴出し始めたのだから。
「さぁ?なんだろうね。あ、あ、あ……」
その一言を最後にその場に真由奈は倒れた。
「真由奈!」
席を立ち近くによると、徐々に床がぬれていった……それは、赤、徐々に周りを赤く染め上げていった。
(しかし、なぜだろう。なぜこんなにも俺は平常心でいられるのだろうか)
 涼介は平然とした状態でその場に立っていた。周りの生徒はその場から逃げ出したりしているのに。
「ひ、ひぃいいいいいいいい!」
石坂はそのまま外へといってしまった。その顔は恐怖に駆られて何か悪いことをしてしまったそんなあわてぶりだ。
たく役にたたねぇ教授だなと感じつつ真由奈の隣に軽く座り声をかける。
「おい、大丈夫か?」
真由奈の身体をゆさってみるが反応がない。首筋に手をやるが脈がないことがなぜか最初からわかっていたのだが現実はそんなことは認めたくない感情で一杯だった。
周りの人に救急車を頼んだとき、警察、救急隊員によって死亡と断定されたとき、その考えははかなく消えた。
その日、荻野真由奈は突如としてこの世を去った。
死因は不明とされ、事件性も不明、なにもかも不明として対処されたことをその後おばさんから聞くのであった。
葬式の日さくら、慶介とともに参加をしたが、真由奈は今にも動き出しそうな気配を感じるのであった。顔はいつも笑いかけていた笑顔、両手もいますぐ大好きなお菓子を掴み取りそうである。
さくらが教科書を処分しようとしていたのでその教科書を真由奈が生きていた証としてもらうことにした。別に彼女が好きであったわけじゃないけど、なぜかこうして生きていた証を残しておきたかった。
「真由奈……」
この数日間起こったこと何もかもがすべてうそであってくれと神に祈るほどであった…
 神など存在せずそんなことはありえないことであった。存在しているのならば、なぜこんなむごい未来を作り上げるのだ。
 あの楽しかった空間をもう一度……
「兄さん……どこいったんだよ……こんなときに」
 手には血だらけに染まったさくらの教科書が強く握られていた。

× × ×

「ねぇ、知ってる?」
「なになに?」
 大学ではいたるところで女子生徒や男子生徒が会話をしていた。日が一日一日進むごとに学校では様々なうわさでいっぱいになっているからだ。その内容もどこかおかしく、まじめに授業を受けていないと吸血鬼が血を求めて人が消える。ある教授の授業を聞いてしまうと何時間後に血を見るなどである。
涼介はそんなうわさをしている人たちをあんまよくは思えなかった。実際に友達をなくしてしまっているからだ。今この街にあるいくつかの学校では、しばらく休講等にするところが増えているが、まだ涼介の学校ではそんなことにはなっていないが自主的に学校を来なくなっている人たちは結構いた。
そういえば、慶介の妹の歩が学校にこなくなっているのをさくらから聞いた。外に出て安全である保障がないのとともに、やはり兄である慶介がいなくなったことが大きいらしい。ご飯も何も食べないので衰弱していて、いずれは病院に入院させられるとのことを聞いた。そう秀樹がいなくなってしばらくして慶介もまた行方がわからなくなっていた。
誰でも、たて続きにいなくなれば精神がだめになる。だが、そんなことでやわになってはいけない気がする。
そう、あのときひずみが自殺をしたときから……そう、あのときから何かが狂い始めたのだと思う。

× × ×

「ん、あれおかしいな……」
台所で整理をしていた涼介はいつもその場所においてあるものが少しずつだがこの部屋から消えていたことに気がついた。そのことに気がついたのはつい最近のことだ。
それは、ある可能性が1つだけ浮かぶことになる。その可能性は決してありえないことではないことは調べるまでもない。
それが真実なら、その人物……
秀樹から話を聞くしかない、なぜいなくなったのか事件に関与しているのか、なぜ好物だけもっていくのかだ。
秀樹とあうことは危険が多いだろう。もし秀樹が犯人であったのだとしたら涼介であっても真実を知ってしまったということで命を奪うのかもしれない。
だがそんなことが起きても後悔は決してしないといえるだろう。
ただひとつ後悔というか……
今になって自分の気持ちに初めて気づいてしまったことを除けば、今すぐにでも会いに行くべきだろう。それはきっとある種のアドレナリンのようで、危機的状況になって気づくものではないことなのに……だからこそなのかもしれない。

× × ×

緊張するというのはまさに今のことをいうのであろう。時は夕暮れ、空が赤く染まって風も冷たくなったころである。これが最後になるかもしれないというならなおさらである。答えがどうなろうと明日終わるかもしれない命を無駄にしないためにも今を大事にしよう。
「やぁ……」
 ある程度いつもどおりの雰囲気を出すために軽く手を上げた。
「りょう……」
涼介の前に一人の少女さくらが現れた。
「どうしたの?こんなところに呼び出して……おねえちゃんみたいに私も殺すの?」
「馬鹿をいうな、俺はそんなことをしないし、まして犯人でもないさ」
「じゃあさ、なんでよんだの?」
さくらからまったくといっていつもの元気が見つからない。それはきっと涼介や皆と同じ心境であろう。本来ならばこのような時期外にでるのは危険であると判断できるだろう。そんな中さくらはこうしてきちんときてくれたのだ。まずは感謝すべきだろう。涼介が事件の犯人であったとしてもこうしてきてくれたのだから。
「さくら、きてくれてありがとう」
「……」
「一言言っておきたいことがあってな」
「そうなの?」
「こんなときにいうのもなんだが、俺お前のこと好きだったみたいなんだ」
「え……」
「じゃぁ、それだけだ。またな。……またがあるかはわからないけど……」
さくらに背中を見せそのまま行こうとするが、突然背中にぬくもりを感じた。
「わ、私だって好きなんだ。どっかいかないでよ!!」
後ろを振り向くと泣きながらシャツを引っ張るさくらがそこにはいた。
「さくら、俺明日死ぬかもしれないんだ。今のままじゃいやだし、なにもかわらないと思うんだ。俺といたらもしかしたら死んでしまうかもしれない」
「いやだよ、そんなこと言わないでよ!」
さくらはシャツを強く引っ張り、しがみ付くように断固として離そうとはしなかった。
(はぁ、しょうがないな……)
「どうしたら、行かせてくれるんだ……?」
さくらはそっとシャツを離すと、慮助の前に回り込むと強い口調でいった。
「私の前から消えないって約束するなら。もうおねえちゃんみたいに誰かいなくなっちゃうのはいやだ!真由奈だって慶介、それに秀樹さんだっていなくなってしまった……私もう一人ぼっちになっちゃうよ……」
「あぁ、わかった約束する。かならず帰るって。」
……夕日に染まったその場で誓いのキスを交わした。

× × ×

 あと一人、あと一人……それですべてが完成

× × ×

かちかちと時計の音だけが部屋に響いている。それ以外の音はない。
静かだ。
まるで世界が闇にそまってしまうかのようだった。
そう…孤独を感じていた。真由奈、ひずみは死んでしまった。そして慶介までもが行方不明となった。その妹までもが学校にこなくなった。
香奈はいつもどおり何事もなかったように過ごしている。香奈の性格は悔やんだりしたりするまえに、前に進もうってのがすごく強いからそう行動しているのだろう。
俺はそんなに強くないんだ。この想いだってこんな状況になってやっと気づいた気持ちだ。だがなぜ今更なんだろう……まるでそれはそうなるように決められていたかのように感じてしまうのは…… 
なぜなんだろう?
そんなことを考えても結局答えはでない。
「つくづく、いやなことばかりが起こるよ……」
次から次へと人が死んでいく、深まる謎、すべて自分が関わっている登場人物……だが、その中で1つだけわかったことがある。
それは秀樹が生きているという事実である。そう、ただその事実だけが真実なのかを知りえることはできなかった。
だから、涼介は昔秀樹との連絡方法として使っていた方法を試みようと考えた。
秀樹が生きてこれを確認したのならば、この場所にやってくるはずである。逆に来なければ、さくらと共にこの街からしばらく離れたほうが身体の為になるとそう考えた。
「なぁ、さくらお前はどこにも行かないよな?」
 さくらの手を強く握り締める。
「私はりょうのそばからどこにも行かないよ!」
さくらが涼介を力強く抱きしめてくるのを感じながら夢の中へと落ちていくであった。

× × ×

絶望が人を強くすることがある。
それはきっと秀樹を狂わせ、過ちを犯させたのだろう。朝日が昇り始めるこの時刻、人の気配はほとんどない。動物たちだって気配を感じない。ほとんど世界にいるのは自分だけと錯覚してしまう瞬間かもしれない。
(さぁ、そろそろ約束の時間だ……)
ビルの扉がぎぃと音をあげながら開いた。
そして、一人の男がこちらに向かって歩いてきた。
「まさか、本当に兄さんが生きているとは思わなかったよ」
「ひさしぶりだな、涼介。あぁ俺は生きているとは言わないさ。
死んだことにしたほうがなにかと行動に制限がかからないんでな」
頭をかきながら目の前にいる兄さんは俺に話しかけてくる。
「あぁ、いつだったかな……」
涼介は目の前にいる秀樹はなぜか秀樹ではないような気がした。
「ん?どうした。俺に会いたかったんじゃないか?何か話があったんじゃないのか?」
「あぁ、もうこれ以上犯罪を犯してほしくないんだよ」
「ふ、なんのことをいっているのかな、意味がわからないよ」
「もう、わかっているんだよ」
秀樹の右手には銀色に光るナイフが握り締めているのが、キラキラと太陽の光に反射してわかった。
「こんなことをしてひずみ先輩が喜ぶと思っているのか?」
「そんなことはもはやどうでもいいんだよ。俺を馬鹿にしたやつは全員俺が死の鉄槌を与える。そう、いわば俺は神だ、神なんだよ。わかるか……それにお前は何もわかっていない」
「わかってないのは兄さんだろう!そんな兄さんの理屈なんてわからないさ、もう死んだものは蘇らないし、なにも語らないんだよ。
今ここで兄さんが行動してもなにも変わらないさ。だからもう、終わりにしよう?」
「ははは、そんなことは既に承知さ、だがな… やらなきゃ変わらないこともあるんだよ!」
 お腹を押さえて笑う秀樹。落ち着いたのか少しずつ秀樹が涼介の方へと一歩一歩近づいてくる。
(まずい!兄さんは俺を殺す気でいる……)
その目は秀樹のいつも見る……いや、見ていた本気であるときの目であった。
「くっ」
ドアのある左の方向へ飛ぶと同時に同じ方向に秀樹も飛び出してきた。
「さすがに逃がしてはくれないか!」
「あぁ、お前が生きているとたぶん、俺の障害となるからな。ここで息を止める。まぁ、その方がお前後悔することがないからな」
なぜか、秀樹は泣いていた。慮輔は距離をとって様子をみようとするが秀樹のフットワークによって追いつかれてしまう。それは、涙を見たせいで身体がほんの少し鈍ってしまったのかもしれない。
「くっ!」
「ほらよ!」
これをきいた瞬間、身体に衝撃がはしった。それはお腹を狙った一撃。しかしその一撃はそれて右手にあたり、ぶつかったとき回避行動をした衝撃か地面にふっとび倒れてしまった。そのとき右手がへんな音をたてた。
そのまま、蹴飛ばされると転がるようにして端へと飛ばされてしまう。なんとか立ち上がり、なんとか逃げようと試みるが、さきほどと変わらず秀樹が少しずつこちらへと向かっていた。
(いやな風だ……冬でもないのにこんな冷たい風なんてふくなんてな)
「う!」
動こうとしたその瞬間首筋が冷たい何かを感じた。
「チェックメイトだ!涼介。もうあとがないってのをこういうことをいうんだなきっと。間違いないな」
目の前にいたと思った人物はすでに直前に立ちナイフを突きつけていた。なんとか離れようとするが少しでも動けばナイフが首筋を動き、首筋をきられることになってしまう。
また、秀樹をふっとばしたとしても確実に首に重症をおくことになる。涼介の右手は秀樹の左手によって押さえ込まれているが、左手が空いてる。
しかし、その左手もさきほど転んだときのダメージでうまく握ることはおろか力が入らない。
(まさしく兄さんが言うとおりチェックメイトってやつだなこれは)
「……なんとかできると俺はいつでも思っているよ」
「そんなことができるならな、俺だってなとっくにやっているよ。できなかったから、これがその結果なんだよ。お前にそれがわかるのかよ!」
秀樹の目からさらにたくさんの涙がこぼれた。
「そう、奇跡だって。運だってな。結局は役に立たないんだよ。どんなこと全てのことができても何も守ることができないんだよ」
「あぁ、兄さんの気持ちなんて俺がわかるはずもない。だけどなこんなやりかたは間違っている。こんなことをしたって……」
「じゃぁお前ならどうしたんだよ。結局力がないものはなにもできないだよ。俺はあの状況になって始めてそれを知った。だがそれはもう遅かったんだ。ならばもう二度とあのようなことおこさないようにするのが一番だって考えたんだよ!」
「に、兄さんやはり自首はしてくれないのか?」
(そろそろこの状態はだめだ……なにかの弾みで間違いなく首がきれる、それにこの寒気だ震えで少しずつきれしまうかもしれない)
「わかっているだろう?もう無駄なんだよ。せめて兄弟としての情けだ何も真実を知らないでいってくれ!!」
「!」
ナイフに力が入ったと感じたとき、ふとおかしなことが起こり始めた。
「なん!うっ……」
突然、頭を秀樹がうめき声をあげると左手で押さえ始めたのだった。
「あぁ、わかった。自首するよ、だけど、1つだけ今言っておく、裏切られることはとてもつらいことだ」
「!」
(なんだ……今のは?苦しみ始めたと思ったら……)
首筋を冷たく冷やすナイフを感じながら秀樹が突然豹変したのを感じだ。そうこの豹変がなければこのとき間違いなく死んでいただろう。しかし、このときなぜ豹変したのかはわからなかった。

× × ×

その後秀樹は言ったとおり警察に自首した。涼介は秀樹と一緒に警察についていった。それはたった一人の兄弟として、けじめであると考えたからである。そのときにはさくらにも一緒についてきてもらった。これですべてが終わったと思ったからである。けれども、それは終わりではなかったことを秀樹が死んでから感じた。

× × ×

あの事件から数年がたって、俺とさくらは結婚して二人の子供が生まれた。男の子と女の子だ。それぞれ祐樹と柚という名前を与えられたかわいらしい子供たちだ。未だに警察が俺たちのことを疑っている。それは当然である。俺たち以外は行方不明、もしくは死亡。疑わないほうがどうかしている。そして、一番の疑われる理由といえば兄さんはあの後病院で謎の死をとげ、真実を知るものはさくらと俺だけになったからである。
あの事件はまだ未だに多くの謎が残っている。一番わからないといえば兄さんがなぜ死んだかということだ。手錠をされた瞬間にいきなり倒れ、病院で精密検査を行っているときに死亡が確認されたという。
その検査を行う前には、数分間もの間涼介たちと会って話をしていた。そしてすぐそのあとで突然の死亡、これでは俺たちが疑われても仕方がない。
しかし、何がなんだかわからなかった。最後に俺たちが話したのは、兄さんが警察に話にいくと話しただけだ。
なぜこんなことになったんだろう……俺にはわからない、警察もわからないのも無理はないだろう。昔ほどしつこく聞いてくることはないから多少気になる程度になったのは気楽だ。
「よーし、そろそろ帰るかな!」
(こんなことをかんがえていても仕方がない。もうあれは終わったことだ。兄さんのぶんまで生きようと思う。兄さんが奪った多くの命に申し訳なさで一杯だが、たった一人の兄弟のためにも俺は長く生きたいと思う。兄さんのあのとき見せた顔が毎日のように頭に繰り返されていただけだった)
涼介はあの後無事に大学を出て、念願だった株式会社ケイローンに入社し、自分のため、家族のためがんばって働いている。卒業するために2年ほど留年はしたが、無事に就職した。単位がすでに足りない時点で留年決定という事実をうけとめその後きっちりと単位をとろうと努力を行ったおかげなのかもしれない。
いつもどおりの仕事をし、今日は残業もなく帰れると思ったそのとき突然電話がなり始めた。
 トゥルルルルル♪
(今日は電話係の矢部さんがいないから俺がとらないとな、もう仕事しなくてもいいんだが、まぁモラルとしてな)
涼介は働く顔になり先ほどからなり続けている白い電話の受話器をとった。
「はい、こちら株式会社ケイローンでございます。大変申し訳御座いませんがわが社の営業時間を過ぎておりますので……」
いつもの、受け答えだけで済ませようとしたが、受話器の向こう口の人物の声は何故か慌てていた。
「た、高町涼介さんはいらっしゃいませんか!?」
都合よく残っていた人物でさらに電話を受けた本人がまさにそれだった。
「はい、私が高町涼介ですが……どのようなご用件でしょうか?」
「お子さんが交通事故で今病院に運ばれているので至急……」
何をいっているのか一瞬わからなかった。涼介は頭の中で多少混乱を起こしながらも、出来る限り早く伝えられた病院へと向かった。

× × ×

病院へとタクシーでやってきた涼介は、すぐさまに手術室を目指した。その扉の前に一人の女性が立っていた。その人物が誰かわかるとすぐに名前を呼んだ。
「ゆ、柚が轢かれたって本当か!!さくら!」
(叫んだ後に気づいたがここは病院なんだ。大きな声を出しちゃいけない、だけどそんなことを言っている余裕は俺にはない)
「落ち着いて、涼が慌てても何も解決しないから!」
「俺の娘が、柚が、柚が車に轢かれたんだぞ?」
さくらに近づきながら万が一のこと、これからのこと色々なことを考えた。そんな涼介の考えたことがわかるようにさくらは落ち着きながら、涼介を落ち着かせた。
「あなた、もう少し落ち着いて!!今手術の真っ最中なのよ!?あなたが騒いだって、何にもならないわ」
手術室のランプは赤く光っていた。
「わ、わかっているけど、で、でも……そ、そうだ、祐樹は?」
さくらの近くには祐樹の姿を確認できなかった。
「あの子は先に家で寝かしちゃいましたよ。もうこんな時間ですしね」
病院の掛け時計は9をさしていた。電話が掛かって来てすぐ飛んできたつもりであったが、思った以上に時間がかかっていた。柚の状態が心配だった。柚はさくらと祐樹と夜中にコンビニに買い物に行って帰るときのことだったらしい。青信号で渡ろうとしたとき、勢い良く車が突っ込んで来て衝突したとの事だった。
幸い祐樹はまだ信号を渡っておらず、さくらは軽傷ですんだみたいだ。
彼女の腕には包帯が巻かれていた。
俺はまず目の前の心配をしなければならなかったのに、周りが見えていなかったと思った。確かにさくらが言うとおり落ち着いたほうがいいらしい。
「さくら、腕は大丈夫なのか?」
「えぇ、少し痛むけどなんともないわ」
少し腕を動かして、痛みをこらえるようにしていた。
心配だったが彼女は心配しないでと、言って今は柚のことだけを考えることにした。

× × ×

涼介がきてから、しばらくの時が流れた。
涼介たちは立つのをやめ、椅子に座りお互い手を握りながら、手術が終わるのを待っていた。
そして、そのときがきた。それは、今まで赤く染まっていたランプがパッと消えたことによりわかった。
手術室から手術を担当した先生たちがぞくぞくと出てきた。
「先生!そのむ、娘はどうなんですか?」
今すぐに柚の容態を知りたかった。
「お父さんですか?」
そう言って、マスクをはずして手袋を脱ぎ、看護士の一人に渡すとその人は廊下へと歩いていった。
「はい、そうです。」
「そうですか……大丈夫です。お嬢さんは元気ですよ。」
「そ、そうですか……ふー」
大丈夫といわれたとき思わず倒れそうになったが、踏ん張って耐えた。
その先生は一回お辞儀をすると先ほどの看護士のように歩いていこうとしたとき、突然振り返り、一言聞かれてしまった。
それはあまりに不自然で涼介の脳裏に残ってしまうのだった。
「娘さんは今少し血が足りない状態なんですが、今病院に輸血する血が届いてないん
ですよ。どちらか血をお嬢さんに輸血してもらいたいのですがお二方何型ですか?」
「私が、A型で妻がAB型だと思いますよ。」
「はぁ、そうですか」
それを聞いてなぜか変な顔を先生にされてしまった。その先生は近くにいた看護士に何か話しかけながら歩いていってしまった。
そして、会話の内容が静まり返った廊下に響いていた。
「病院内で輸血できる人を至急探してくれ。血液型はO型だ」
「わかりました」
そう言われた看護士は足早に先生より早く歩いていった。何かが変だった。何かが変だと思ったのは、そのときが最初だった。
このときはまだこの事件がまだ終わっていないことに気づいていなかった……
 秀樹の死という現実をよく考えておくべきだった。

× × ×

数日後、柚は何事もなかったように退院した。怪我は後遺症も残らず、元気に走り回っている。少し元気すぎるのがたまに傷だが、なんともなくてよかった。
柚が帰ってからは二度とそういう事故に巻き込まれないよう家族で話し合いをしたり、家族との団欒を大切にした。
今日は休みだった。涼介はのんびりしていられるということでいききとしていた。
それはさくらと子供たちがデパートに買い物にいっているため、いつもと違い趣味ややりたいことに専念する時間が帰ってくるまで堪能できたからである。
気の緩みからかよくあくびがでた。もう一度寝る前に水を飲んでいようと考えた涼介は机の前を通り過ぎようとしたときあるものが眼に入った。
「ん?なんだ。これ」
テーブルの上に数冊のアルバムがおいてあった。
アルバムがこうしておいてあることから察するに柚たちが自分たちの子供のころはどうだったのとかきいてきたんだろうと考えていた。
「どれどれ、俺も見てみるかな」
アルバムの一冊をとるとソファーへと腰を落とすと、1ページ、1ページゆっくりと思い出を頭からひっぱりだしながらめくる。
「はは、今見るとやっぱあいつってばかだなぁ」
 かつて、自分がした悪いことや友達がしたおもしろいことなどを思い出していくうちに何か昔に戻ったような気配が少しした。
「みんな若いや、当たり前か……」
おもむろに一枚の写真をとると、それをなつかしむように眺める。
その写真は、あの事件が始まる前に撮った一枚の集合写真。この中で今を生きている人は少ない。この写真があるからこのアルバムは、あの事件が起こる前の1週間前のものらしい。
「ん?あいつも若いなぁ……」
ふと、目の中にとびこんでくるものがあった。さくらだ。
なんでこのさくらは、右手を使って箸をもっているのだろう?他にも写真に写っているさくらは右手を主として使っていた。それはありえないことだった……だって、さくらは左利きのはずなのだから。アルバムをめくれば、めくるほどその事実は決定的であった。どの写真もあるときを境に右手を使用したり、左手を使用していたりしていた。
「……!?」
ちょっとこれは変だった。ふいにあの医者がいっていたことが頭の中を駆け巡った。そう柚の血液型のことだ。
(血液型……確かA型でさくらがAB型だったな)
不審な点はアルバムの写真以外全然ないと思うのが、一応血液型が気になり急いで居間に置いてあるパソコンのスイッチをつけ調べてみることにした。
「うーん……」
生まれる確率はほぼないと断定した方がいいとそこには書かれていた……それは、どのサイトを探したとしてもまったく同じことがかかれていたので、決して偽りではない真実であった。
(そういえば兄さんが書いたと思われる紙切れにこんなことが書いてあったな、今まで気にしたこともなかったけど)
涼介は記憶の片隅に覚えていたその言葉を思い出すと口に出した。
「それはいつもと違ういわばパラドックス。そんなことは決してありえないこと」
その字は記憶によれば走り書きで書かれていたような気がした。これはきっと何かのメモなのだろう。あの秀樹が残したものなのだから意味がないものは残すことない。
(ありえないこと、ありえないこと……血液型が異なって、右手を使うことができる)
それを考えるとあるひとつの点が線で結ばれていく。
(どういこうことだ!まるでこれじゃ……)
ガチャ!!
「!」
扉が開く音共に後ろから、何かの気配を感じ振り返った。
「……くすくすくすくすくす」
そこには微笑を浮かべながらドアの隙間から光る目がひとつ輝いていた。その目はどこか生気をそこから感じることができなかった。
それはまるでその目は見てはいけないものを見てしまったものを見つめているかのようであった。
「ね?・・・何見ているの?・・・」
 そうあのこがつぶやいた。
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Posted by at 2008.04.25 01:49 | 編集
日宮理李 様

こんにちわ。
読み物.netの代表Sugarpotと申します。
LINKご登録のお申し込みをしていただきありがとうございました。
 (こんにちわの「わ」は敢えて「わ」にしています。
  理由は「輪」「和」「環」をイメージしているからです)

LINKの完了までずいぶんとお時間をいただきましたこと。
申し訳ございません。

現在、読み物.netは、
日宮理李 さんをはじめ、多くの方のおかげで、
想像していた以上のLINKの申請(お申し込み)を頂くようになり、
ひとつひとつのサイト様(サイトの作品)を拝見させていただいてから、
LINKをさせていただくため、LINKまでの時間がかかるようになってきました。
 ※(当サイトは、良質なサイト様へしかLINKしない。
   というルールがあるため、
   作品を拝見・拝読させていただくためです)

また、読み物に全く関係ない登録の申請が増えてきたため、
その登録処理を消す作業に手間取るようになったことで、
LINKの完了までのお時間がかかるようにもなってきています。

お時間をいただきましたこと。
本当に申し訳ございません。
どうか、ご容赦くださいますようにお願いいたします。


この後にて、
簡単になってしまいますが、
「R.U.K.A.R.I.R.I」さんを拝見させていただいた感想と、
重要な事柄 を記載させていただいておりますので、
最後までお読みいただけますよう、お願い申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このたびは、サイトリンクのご登録申請ありがとうございます。
申請後確認の結果。
貴サイト様「R.U.K.A.R.I.R.I」さんを下記のURLにて掲載させていただきました。

 (なお、LINKページにて掲載させていただいているバナーは、
  貴サイト様のバナーが表示されていない場合、仮表示のバナーとなっています)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ご登録ありがとうございました。
今回、ご登録いただいたURLは、
下記のアドレスにてリンクさせていただいております。
http://www.yomunara.net/yomidata/html/modules/mylinks/singlelink.php?cid=6&lid=1407
上記のHPアドレスより、ご確認いただけたら嬉しく思います。
  (当サイト内の検索機能より、創作者様や貴サイト様のお名前で検索することでも探せます)

ご確認いただきまして、何かコメントなどの不備・訂正が御座いましたら、
ご連絡いただければ、対応させていただきます。

また、
作品更新情報など…
何か、おしらせのございます場合には、
ご投稿をしていただきますと…
当サイトTOPページ左側に「最新情報」として掲載されます。

 ■何か、HPを更新された場合は、メンバーログイン後に
  LINK欄にあります「修正」を行っていただければ、
  TOPページに記載されたり、
  各カテゴリーでの更新順で上位に掲載されますので、
  ぜひ、ご活用いただけたら嬉しく思います。
 

なお、お願いがございます。

読み物.netでは、リンクを登録させていただいたサイト様に、
貴サイト様から 「読み物.net」 への相互リンク (リンク) をお願いしています。
 (すでにLINKしてくださっていた場合は、そのままでお願いします)

http://www.yomunara.net/yomidata/html/modules/sugar1/content/index.php?id=17
に、バナーを各種サイズでご用意させていただいておりますし、(テキストでもOK!です)
ソースにて貼り付けて下さる方は、

<a href="http://www.yomimono.net/" target="_blank">
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という、ソースを、ご自分のホームページ、ブログ等の『HTMLソース』に貼り付けて下さい。
ぜひ、「読み物.net」へのリンクを よろしくお願いいたします。

 (どんな方法でのLINKでも、OKです。お好きなようにLINKして下さい)
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 (既に、メンバーご登録してくださっていた場合は、ありがとうございます)

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読み物.netは、2003年秋に始まったサイトですが、
すこしづつ、訪問者さんの数が多くなってきております。
先日、累計90万人様のご訪問を数えました。
(「人」と表現したのは、
 IPによる判別のため、短時間の同IPはカウントしないため、
 クリック数(Hit)ではなく、ユニークアクセス数にてカウントしているためです)

これはひとえに、ご登録いただいたサイト様やご協力いただいた方。
そして、みなさまのサイトからの相互LINK。
勿論、作品を楽しみにご覧頂いている方々。
皆様のお陰と思っております。

日宮理李 様にもご愛顧いただけますよう精進いたしますので、
宜しくお願いいたします。

※ 「読み物.net」のサイト公開者・サイトの目的・ご利用方法などの
  サイト自己紹介は、FAQをご参照くださりますよう、お願いいたします。

---------------------------------------------------------------------------

当サイトは、
ご登録申請いただいたサイトには、必ず訪問させて頂き、
どういったサイトさんなのか?
チェックしてからでないとリンク登録を致しません。
良質なコンテンツかどうか?または なりそうか?を見たいからです。

この点に関しては、各サイトさんの評価をこちらがしているようで、
未熟な私どもが行うことではない。
そう、感じる点はあります。

ですが、このようなシステムを用いることで、
作品を読みたい!と、
当サイトを訪問していただいた方(読者さん)にとっては、
すぐに良質のコンテンツが見ていただけるのではないかなぁ。
と 考えて、このようなシステムを保持してまいりました。


日宮理李 さんのサイト「R.U.K.A.R.I.R.I」さんも、
拝見させていただきました。

「R.U.K.A.R.I.R.I」さんは、
すばらしい作品を掲載されておられるサイトさん。
興味深く拝見させていただきました。

各作品とも拝読させていただきました!
どの作品も味わい深くて…
どんどんと拝読させていただきました!

オリジナルの作品、二次作品とも、
拝読させていただきました!
全ての作品を最後まで拝読させていただいたわけでは無いのですが…
「登場人物の個性」が強く印象に残りました。
人物たちの表情が伝わってくる作品です。

とても、印象に残るセリフが多く、
テンポ良く読み進められるのは、
作品のもつ「魅力」に他ならないと思いました。

作品へといざなってくれる「魅力」は、
セリフや登場人物のイキイキとした言葉・姿から感じるのかなぁ?
と、考えました。

登場人物の内心。
揺れ動く気持ちがとても丁寧に描かれていて、
次はどうなるのかな?
どういう行動になるのかなぁ?
と、考えながら拝読させていただきました!


また、サークル活動でもご活躍とのこと。
僕たちも、微力ながら応援させていただきます!
読み物.netにご参加してくださっている創作者さんのなかにも、
多くのサークル活動をされている方がいます。

何ができるか?
というと、何ができるわけではありませんが…
LINKさせて頂くことで、応援させていただくことで、
少しでもお役に立てたらいいなぁと思っています!


日宮理李 さんの作品は、すばらしくて。
作品の数々を読んでいくうちにどんどんはまってしまう魅力。

それは、その物語に描かれておられる「気持ち」から、
僕たちはどんどんとその世界にひきこまれ、
拝読させていただけるからではないかな?
と、考えました。


読み物.netに来てくださる みなさんも
ご活動を期待されると思います。
これからも、素敵な作品を公開してください。

日宮理李 さんの描きたい思いがすごく各作品に伝わっている。
だから、作品がその「思い」を読み手さんへと伝えてくれる。

「R.U.K.A.R.I.R.I」さんに、
LINKのご登録をしていただいたこと。
光栄に感じます。

創作活動をされている日宮理李 さんを、
微力ながら、LINKというカタチで応援させていただきますので、
これからも。どうぞ、素敵な作品を公開してください。

そして、今後も読み物.netに遊びにいらしてください。

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以上、リンクご登録の完了ならびに、
相互リンクのお願いをお伝えしました。

これからも精進いたしますので、今後も読み物.netを宜しくお願い致します。

なお。早朝や夜分遅くにメール送信しました場合に、
メール着信音などが鳴った場合にはどうぞご了承ください。

読み物.net 砂糖計画 / Sugarpot / はっかパイプ
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ご提案  貴サイトバナーの表示について

※ 最初にお話しますが、下記のことで何かご不明なことがありましたら、
   下記のアドレス (お問い合わせフォーム) までお申し付けください。
   初心者の方には、ならべくわかりやすくご説明させていただきます。
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読み物.netでは、あなたのサイトのバナーをつけることが出来ます。
サイズは、縦40px(ピクセル)以内、横200px以内です。

登録されたリンクにバナーを貼り付けたい方は、バナーを制作後、
http://www.yomunara.net/yomidata/html/modules/contact/
から、その旨をご連絡ください。
 (その際、バナーは添付しないで下さい。添付ファイルは削除されます)
メールを送信していただければ、折り返し、ご連絡差し上げます。

なお、その際には大変申し訳御座いませんが、
できる限り、
貴サイトにバナーを置いていただく「直リンク」とさせていただきたいと思います。
 (その「バナー」のあるURLを教えてください。)

詳しくお知りになりたい方はお問い合わせ下さい。
こちらから折り返しご連絡いたします。
(その場合、決してバナーを添付しないで下さい。添付ファイルは全て削除されます)

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※ メンバー登録制度におきまして・・・

各サイトのご登録者さん・当サイトに訪問してくださる方に、
より楽しんでいただくためのコンテンツの充実を図るために、
2005年7月より、データベース化とともに導入しました。

こちらのシステムは、
たとえば当サイトから貴サイト様を訪問してくださった方が
 「このホームページ面白い!」とか、
 「この作品面白い!」と なった場合に、
メールアドレスを使わず、
そのサイトの管理人さんにメッセージ(コメント)を寄せられる。
そういったシステムになっています。

これは、訪問者(読者)さんにとっても、
サイトリンクのご登録者(創作者)さんにとっても、
どちらにとっても、良いシステムと考えています。

コメントを送るほうは「メールアドレスを相手に知られないから気軽にコメントできる」
創作者(ご登録者)さんにとっては「自分の作品の感想が寄せられやすくなる」
と、考えられるからです。
 (嫌がらせなどに対して、対処するため。
  サイトの管理人さんから、コメントの削除を求めることもできます)

他のリンクサイトさんで多く使われているCGIではなく、
データベースを使っていることもあり、
動的サイトとして、みなさんのツールとしての役割も果たせるものと考えております。
 (ダウンロード機能もあります!!)

今後は、チャット・ストリーミングなどの発信も行える…
そんな機能の追加も考えております。


読み物.netのサイト目的は、
「どんな方にも楽しんで頂けるサイトを公開すること」です。

一緒にワイワイ楽しみたい人には、様々なイベントで一緒に盛り上がってもらえる。
一人で作品に没頭したい人には、じっくりと読んで頂ける。

そんなサイトになって、
各創作者さん同士 や 読み手の方との「交流」が盛んになるように。
そんな思いで公開しています。

当サイトのTOPページにて、ご登録サイト様へのLINKをさせていただく企画、
創作者様へのインタビューを行う企画、
創作物の特集企画などなどの多彩な企画を行っていく予定です。
 (現在も、企画を実施中です!)

ぜひ、お時間の空いたときには遊びにいらしてください。


日宮理李 様にとって、有意義なサイトとなるように公開をしてまいりたいと思います。
読み物.netを 創作活動にお役立て下さったなら、幸いです。

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今後とも読み物.netでは、日宮理李 様のお越しをお待ちしております。

末永く「読み物.net」を宜しくお願いいたします。

 ■ この感想メールは、代表管理人 Sugarpot が書きました。


読み物.net & 読むなら.net  砂糖計画 / はっかパイプ / Sugarpot
Posted by よみもの.net at 2008.04.25 01:47 | 編集


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