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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】スイート・パニック
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2014.04.27
Skype上で行われたまどマギSSコンペの参加作品、テーマは『昼ご飯』です。
書き終わって、スイートって、昼ご飯だったっけなと。


 あぁいったいどうしてこんな事態になったんだろうかと、あたしは不思議に思う。いや、必然性はもしかすると、どこかに置いてあったのかもしれない。あたしの知らない場所で二人のロウソクを誰かが灯してしまったんだと。
 ただそれがゆっくりだけど、じわじわと勢いを増してって、よくいう火に油を注ぐってやつに……なったのかな? うん、たぶんそうなんだよね……そう考えるしか、結局のところあたしにはできそうもない。というか、そういう結末になっちゃったのだから、後は見守るしかない。
 そう――こんな馬鹿騒ぎをただ視聴者のように見る羽目になったのは、他でもないあたしと、まどかが招いた結果。
「……うーん」
 だから、唸り声をいくらあげようが結果をどうあがいても待つしかない。
「ほむらちゃんもマミさんも凄いね」
 傍観者となったまどかがこちらを見るとそう静かな声で呟いた。
「……凄いって、素直に褒めるのはどうかと思うよ、まどか」
 あたしも見てるだけだと胸焼けしそうだったので、一旦目の前のものから違うものへと意識をリフレッシュするために、まどかの方を向いた。まどかはタピオカジュースを片手にはにかんでた。
「そっかなぁ? ほら、よく、食べるこは育つっていうでしょ?」
「それはただ単に横に大きくなるって間違いじゃない? あぁ、でもこれをマミさんに言ったらまた怒られそうだし……ってか、まどかはもうちょっとお肉をつけたほうがいいんじゃない?」
『ひどいよ、さやかちゃん』とそっぽを向くようにまどかが正面の二人へと視線をそらしたので、あたしもまた正面の二人を見た。
 これでちょっとくらいは気晴らしになったかな? って少しは期待してたんだけど、この問題はそもそも終わってくれなきゃ何も変わらないんだなって再認識させられるだけだった。
 ってか、よくよく考えたら、このテーブルの座り方ってお店にかなり迷惑なんじゃないって思ったのだけど、このホテルはほむらに何かコネがあるらしく、今日は貸し切りに出来たらしくて、他のお客さんが誰もいないんだよね。
 だから、堂々というのかなんなのか、四人席を一人ずつ座るというよくわからない状態を作れたんだ。ほむら席、マミさん席、まどか席、あたし席。
 そして唯一立ってるのは、杏子の奴だった。
「……」
 杏子は、四つのテーブルの真ん中に立って、ほむらとマミさんを見守ってた。
 杏子が二人を見下ろす状態は、あの時見た情景と少しかぶった。
 あの時はなんていうのかな。ありえないって言葉がもしかするとふさわしいのかもしれない。奇跡って言葉があるんなら、今の状況とあの状況が奇跡だと思う。
 アレはあたしたちが魔法少女になるために願う奇跡みたいなおかしな出来事だって、あたしは思うよ。それぐらいの衝撃があの時した。したというか、今現在も進行形だから、奇跡が続いてるっていうのかな?
 あの日は、確かマミさんがただまどかの魔法の使い方を熱心にわかりやすく、呪文名まで考えて説明してくれてたのだけど、何かの言葉がほむらにとっては気に食わなかったらしくて、どういうわけか口喧嘩にまで発展したんだ。
 うーん、今思い出してもどこが気に食わなかったのか一欠片もわからない。
 確か『円環の理が導く方程式は、こうよ』って言葉をマミさんが口走ったら、ほむらのやつが急に立ち上がって、マミさんを見下ろしたんだっけ?
 うーん二人の気迫が凄すぎて、正直鮮明に覚えてないや。
 というか、その後のあいつがした行動のせいで、記憶が上書かれたって言った方がいい。
「……」
 とにもかくにも怒りだした二人は、仲介に入ろうとするまどかの話も、あたしの言葉も聞く耳持たずだったんだ。マミさんでさえ、冷静を失ってたんだから、対処のしようがなかったよ。ほむらに至っては、普段まどかの言葉を『はい』、『Yes』でしか答えない奴なのに『いいえ』、『No』としか対応しないから、正直あたしもどうしたらいいのかわからなかった――んだけど、意外なやつが意外な方向に持っていったからびっくりした。
 いや、ぶっちゃけそのせいもあって、この事態が余計にわからない。
 例えをあげるなら、これは1+1が3になる数学の問題。それくらいの理不尽さというか、不可解さがあるよ。
 だって――今もあの時も、あいつの行動原理がよくわからない。
 そう……食べ物に一番がめつい杏子の癖に、どうして『ケーキバイキング大食い対決』の審判なんて、一番損な役割を引き受けたんだろう?
 損してるってだけなら、あたしもまどかも見てるだけなのだから実際問題違うのかもしれない。
「……はぁ」
 美味しそうなケーキを勢いよく食べ続けてくのをただ見てるのは、本当に苦痛だよ。違う意味で胸焼けがしてきそう。
「……うぅ」
 マミさんは優しそうに見えて、怒らせると実はかなり怖い。優しい人ほど怒らせると怖いって話は、案外本当のことじゃないかと、あの時のマミさんを思い出すと今でもちょっと肩が震えてくるよ。
 ほむらもほむらで、まどかをバカにされたみたいに思ったらしく、『……それ以上は許さないわ』とめらめら闘志を燃やしてたよ。
 だからこそ、杏子が『なら、これで早食い競争な!』と、三角テーブルの上にとあるホテルのケーキバイキングの宣伝広告を置いた時は、冷や冷やもんだったよ。こいつ一体何を急に言い出したのかって、思わず正気を疑ったよ。
 でも、あいつの顔はいつも以上に真剣で、二人の顔を交互に見たんだ。そしたら、二人がなぜか合意したんだ。利害の一致というものが起きたのかな?
 まぁ、何にしても、魔法だと手加減できないからとか、魔法だと一方的な攻撃になるとかそんなことを二人が交互に口走ってたよ。
 かれこれそんな経緯で、もう一時間ぐらい経ったかな? 壁時計を見ると大体そのくらいの時間が過ぎてるのが目に入った。
「同じ条件でワタシに勝てる?」
「根競べなら……負けないわ」
 言葉だけ聞くと、なにかとてつもない勝負でもしてるのかと思うんだけど、あたしの目の前に広がるのはそんな勝負ごとじゃない。
 ちゃちなものってか、明るくて華々しいものってやつですかい?
 まぁ、そう見えてもしかたないよね……だって、山盛りのケーキをひたすら、口へ運ぶ作業なんだもの。それをただ見るあたしたちは、まさにお預けされた犬の気分。犬のしつけって、やられる方は大変なんだって犬の気持ちがなんだかわかりそうだよ。
 あたしも食べたいって思うんだから、絶対杏子は食べたいってそもそも思うはずなんだけどね?
「……っ」
「……う」
 うめき声が突然聞こえたと思ったら、二人のフォークを握った右腕がテーブルの上で微妙に震えてた。

 ――限界かな?

 そりゃ一時間もただひたすらケーキを食べてるってこともあるし、お菓子は別腹になるっていっても、その別腹が満腹になれば当然そうなるよね。
 そんな二人を見てどうしてだか、
「なんだよ、二人して」
 ぷるぷると杏子の肩を突然震わさせた。
「どうかし……」
 たのかと手をのばそうとしたら、もうそこには杏子はいなかった。足早に二人の元へとかけよって、
「お前ら、根性が足んねぇよ。どうしたんだよ、マミも、ほむらも!」
 二人のテーブルの真ん中に立って右手で、それぞれ指さした。
「な、なによ!?」
「これは、ワタシと暁美さんの勝負……よ」
「うっせなぁ、勝負にしてはさ、二人共全然ダメだろ?」
 そういって、杏子はマミさんと、ほむらのテーブルがないちょうど真ん中のソファーに陣取ると、
「ちょ、ちょっと杏子!?」
 左手にほむらのケーキを、右手にマミさんのケーキを手づかみで口に運び始めた。
「な、なにやってんのさ!?」
「見りゃ、わかるだろ、さやか。ケーキ食べてんだよ」
「そ、そういうことじゃなくて……!?」
 あぁ、もうなんなの? あんた審判じゃないの?
「杏子ちゃん……?」
「ほら、まどかもこっちこいよ」
 そういって、杏子はまどかを顎でほむらの隣へと誘導した。
「ま、まどか、ごめんね。わたし、負けちゃった」
「ううん、大丈夫だよ。カッコ良かったよ?」
 語尾が怪しいアクセントのまどかに口元をクリームで真っ白に染めたほむらがにっこりと笑った。いや、クリームだけのせいじゃないかと思うよ、青白いのはたぶんね。
「わ、たしはまだイケるわ……!?」
「ワタシだって、こんなのほんの小手先に過ぎないわ。ティロ……はまだ見せてないわ」
「うるせぇぞお前ら、どう考えても引き分けだろ。だから、もう終わりだ。後はアタシたちが食べる番だ。ほら、さやかもこっちこいよ」
「え、う、うん」
 お預けをくらってたせいもあって、あたしは素直に杏子の誘導に従うことにした。審判がジャッジを下したんだから、もうこの戦いは終わりだものね。
 その後は、そのままタイムリミットまで、楽しくと言うかちゃんとしたケーキバイキングが始まって、対決は言うまでもなくおじゃん。まぁ、マミさんとほむらはさすがに飲み物だけ飲んで雑談してたけど。勝敗って考えてみると、杏子の一人勝ちのようにあたしには見えたというか、思えた。食べた量も、二人の二倍ぐらいだった気がするしさ。
 そうすると、杏子は一人で四倍食べたってこと? そ、そんなバカな話はないよね……? だって、家でここにくる前に普通にお昼ご飯を大盛りで食べてたよ?

 あの時、杏子の胃の中でどんな化学反応が起こってたのか、よくわからないけど、なんだかんだあの後、普通にマミさんとほむらは仲直りというか、食べさせあってたし仲良くなったというのか、元に戻ったというのか。
 あの重い空気はどこへいったの? って感じ。
 そういうことじゃあ、杏子に感謝するしかない。
 ケーキも食べれたし、ほむらとマミさんも元通り。

 ただ、元通りにならなかったのは……あたしの体重。どうしてか、あんなに食べてた二人よりも、杏子よりも若干増えてた。
 そっちのほうがあたしにとって、大問題だった。
 それでどうやって杏子を無理やりあたしのダイエット計画に協力させたかは、いつか気が向いた時に思い……だしたくもないかな。
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