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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】ホワイト・ドリーム
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2014.03.18
ホワイトデーかと思ったら、なに違う気がした。


『いつもまどかの家でご馳走になるのは、気が引けるから』
 ほむらちゃんがそんなことを急に言い始めたのは三月に入って間もない頃だった。
 それも学校の帰り道で突然いうから、びっくりした。そんなに気になることだったのかな?
 ご馳走っていうほど、パパはいつも張り切って作ってるわけじゃないし、それにほむらちゃんが家にくるのは、それこそ毎日ってわけでもないし、不定期。
「……うーん」
 私にはどうしてもその理由がはっきり浮かんでこない。吐く息がただ真っ白で、私の思考も真っ白に染まっちゃうような雰囲気だった。もう春なのに、不思議な気分。
「……」
 第一に……ほむらちゃんのことをママもパパも全然気にしてないのだから、ほむらちゃんが気にする理由なんてどこにもないんだよね。タツヤだって、『ほのら、ほのら!』って、ほむらちゃんに寄り添ってるんだもん。私だって、もちろん気にしてないのに。
「……ふぅ」
 そういえば、『二人目のお姉ちゃんが出来たみたいだな』ってにやけるママの言葉に、ほむらちゃんは愛想笑いのような微妙な表情を返した後、『ありがとうございます』なんて言葉を口にしてたような?
 私はあの時、とっても嬉しいんだなって思えた半分、ほむらちゃんの表情から哀しさも見えた気がしたんだ。
 ……あれがもしかすると、気の引ける部分なのかな?
 うーん。わからないなぁ――そういえば、ずっと一緒にいるのに、ほむらちゃんのことよく知らないような気がする。何度もお泊りしあってるのにどうしてだろう……?
 ほむらちゃんは私のことよく知ってるみたいだけど、私ってそんなにわかりやすいのかな……?
「……うーん」
 ほむらちゃんについてわかってることは……本当はとっても寂しがりやさんってことくらいかな。でもそれもはっきりと言葉にしてくれないから、本当にあってるかなんかどうかなんてわかんない。だけど、きっとそんな気がする。
 だって……ほむらちゃんは一緒にベッドで眠ると、私のパジャマを放してくれなかったり、眠る直前まで握ってた手を放してくれなかったり、とにかく私を動けなくするんだ。
 そしてうめき声を出しながら、私の名前を呼ぶんだ。それに魔女って言葉と、インキュベーターって聞きなれない言葉もたまにいう。
 私はそんなほむらちゃんをほっとけないから、ベッドにそのまま戻るのだけど、月明かりでうっすらと見えるほむらちゃんの表情はいつも不安の色。だから私はその頭を優しく撫でて、『大丈夫だよ』ってしてる。
 それでほむらちゃんのうめき声、辛い夢が消えればいいのだけど、不安の色が特にひどい時は、ほむらちゃんの身体が震えたりする。寒くもないのに、暑くもないのに、痙攣するように震えてるの。私は怖くないよって、そんな時は手を握ったりする。それでもダメ時は、『ここにいるよ』って気持ちを込めながら優しくその身体を抱きしめるの。
 私の体温と、ほむらちゃんの体温は似てるようで、何かが少し違う。私と同じ人間で、魔法少女なのに、よくわからない冷たさをほむらちゃんの身体の奥底から感じる。病気かなにか別の問題じゃないかなって不安に思って、ほむらちゃんにそのことについて聞いたのだけど、『まだ大丈夫だから』って、微笑まれたから病気かどうかはわからない。
 それに体育の授業も普通に走ったり、テニスをしたりしてるから、身体におかしいところがあるように見えない。私には冷たさ以外におかしいところはわからなかった。
 だから、私にできることはひとつだけだった。
 ほむらちゃんが何の夢を見て、いつも何に苦しんでるのかは私にはわからないけれど、私が一緒にいてあげるだけで、ほむらちゃんの安らぎに満ちた顔が見れるなら、トイレに行くのを我慢したり、飲み物を飲みたいのを我慢するのも良いのかなって、思うんだ。
 私の我慢で、嘘みたいに不安の色がほむらちゃんの顔から消えて、綺麗な寝息の入った音色を聞かせてくれるなら、お安いお願いごとだよね?
 だからこそ、どうして自分から断りを入れはじめたのか、よくわからない。私で良ければ助けになってあげたいのに、踏み込んでいいのかもよくわからない。
「……」
 でも、こうやってほむらちゃんの部屋に招待してくれるってことは、それはそれほど重要じゃないってことなのかな? 私が気にしすぎてるだけってことなのかな……?
 そういえば、ほむらちゃんの料理はちょっとというか、かなり凄い大胆だなって思うことがたくさんあるけど、これは関係ないよね? そうしたら、むしろ私の家でパパのお手伝いをしてるほうが、よっぽど上達すると思うんだよね。マミさんも料理が上手だし、たくさん先生が近くにいるんだもの。
「……うーん」
 でもでも、ベッドで眠ってるほむらちゃんは、酷くうなされながら泣いてることも何度かあった。
 何度かそのことについて聞こうって思うんだけど、次の日には何もなかったような顔で『おはよう、まどか』っていうから、それほどのことじゃないのかなって、思っちゃってたんだ。本人が口にしないことを言っちゃダメだよね?
 さやかちゃんなんかはすぐに口に出しちゃうから、杏子ちゃんとよく喧嘩しちゃってるから、どうなんだろう? ほむらちゃんに言ったら、喧嘩になっちゃうかな?
 喧嘩は嫌だなぁ。
「……ふぅ」
 さやかちゃんと喧嘩した時は、仁美ちゃんが間に入ってくれた。
 私がほむらちゃんと喧嘩したら、誰か間に入ってくれ――あれ? 喧嘩することを前提に考えるなんて、それこそダメだよね。
 もしかしたら、すっごい悩みごとをほむらちゃんは抱えてるのかもしれない。それこそ、誰にもいえないようなとてつもない話。まだまだ転校してきて、日が浅い私には話せないことなのかな? マミさんに相談しようにも、マミさんは知らなそうだし……。
 それに一人暮らしは色々大変ってマミさんに聞いたことがある。そういうのもあって、私の家に居候すればいいのにって誘ったこともあったけれど、未だに答えをもらってない。いつも顔を背けるだけなんだ。あれって、本当はどういう意味なんだろう?
 嫌がってるわけじゃないんだよね? 泊まりにはきてくれるし。
 ほむらちゃんは顔色悪い時が多くて心配だよ。 答えられないって意味……はそういう意味なのかな? 心配して欲しくないからだとしたら、逆に違うよね……?
 そんなことを考えてる内に、ほむらちゃんの部屋の前まで辿り着いてしまった。おみやげもきちんと持ってきたし、大丈夫と、私はチャイムを鳴らした。
「いらっしゃい、まどか」
 するとすぐにほむらちゃんが出てくれた。
「外寒いでしょ? はやく中に入って」
「うん、お邪魔します。ほむらちゃん。んっ、どうかしたの?」
 玄関に踏み入れた時、視線を感じて振り向くと、ほむらちゃんが私のことをじーと見てた。
「え、えぇ、その服着てくれてるんだって、思って」
「……? ほむらちゃんがプレゼントしてくれたんだから、着なきゃダメでしょ?」
 それもお揃いの白のマフラー。白の手袋。
「それにほむらちゃんも着てくれてるでしょ?」
 でも、一緒には着てくれない。折角お揃いのをバレンタインデーの日に買ったのに、どうしてかほむらちゃんは私とお揃いにして出かけてくれない。
 別に私にそういうことを強制できる力なんてないし、ほむらちゃんの意思は尊重したい。だから、無理強いはできない。
 でも、ちょっとだけいつも残念に思うんだ。
「……そうね」
 ほむらちゃんが微笑んだ。
「入って、少しレイアウトを変えてみたの」
 そして、ほむらちゃんの部屋の中に招き入れられた。
「うわぁ、凄いね」
 ほむらちゃんの魔法はよくわからないのだけど、部屋の中はプラネタリウムみたいに、星空が宙を舞っていた。というか、部屋というか、映画館みたいな広いホールの中に入り込んだみたいだった。
「これって空が吹き抜けてるの?」
 そうだとしたら、上に住んでる人ってどうなってるんだろう?
「違うわ、宇宙がここにあるのよ」
「……ん? そうなの?」
 宇宙……? 何かそういう特殊な装置があるのかな? プラネタリウムの機械もたくさんあるってマミさんが言ってた覚えがあるから、宇宙っていう装置があるのかもしれない。
「そうだ、ほむらちゃん。はい、これ」
 ほむらちゃんに案内された部屋の中心にあるダブルベッドの上に腰掛けると、持ってきたおみやげを手渡した。
「……? これは?」
「ホワイトデーだから、チョコ。マミさんに教えてもらったんだ」
「あけても、いい?」
 私が頷くとほむらちゃんが包装を破れないようにしながら、四角い白の箱をあけて、中身を取り出した。
「星……?」
「そう、奇遇だよね。ほむらちゃんの部屋がこんな風になってるなんて思わなかったよ」
「そうね、そうかもしれない」
「……?」
 そういって、ほむらちゃんは下を俯いてしばらく黙ってしまった。何を考えてるんだろうって、思い始めたら、
「……じゃぁ、わたしも渡さないとダメね」
 ほむらちゃんは空に手をやると、ゆっくりと私へとそれをつきだした。
「えっ? 星って掴めるの?」
「これは……正確には星じゃないの。かけらといったほうがいいかしら」
 握られた手から、現れたのは黒い羽根と、桃の羽根だった。
「これがお返しのチョコレート」
「……?」
 羽根型のチョコなのかなって考えてると、
「はい」
 そのまま手渡された。
「あ、ありがとう」
 ほむらちゃんに手渡されたのは、二つのうち黒い羽根の方で、もう一つの方はほむらちゃんの口の中に入っていった。ほむらちゃんのは桃色だし、桃味なのかな?
 そうすると、これは黒いから、普通のチョコ味?
 それはそれとしてこのチョコ……綺麗な羽根だから食べるの迷っちゃうな。ほむらちゃんは一口で食べちゃったけど、どうしよう。
 こんなの売ってるのを見たことないし、特注品かな? それともほむらちゃんの手作りなのかな?
 もしかして、これを作るために最近私の家にこれなくなっちゃったのかな?
「どうかしたのかしら」
 あまりにも凝視してたせいか、
「な、何でもない」
 ほむらちゃんは私を見ながら、首を傾げてた。
「綺麗な羽根だね」
「そ、そう?」
 ほむらちゃんは私の言葉に途端に赤くなった。
「……? 大丈夫? ほむらちゃん?」
「だ、大丈夫。そう、まどかのチョコレートがつい美味しかったから、ちょっと言葉が詰まったのよ」
「へぇ、そうなんだ」
 その後は、何気ないお話をして、一緒にお風呂に入って、一緒にベッドで眠った。

 その日、ほむらちゃんはとても優しい顔をして、眠ってた。
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