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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】恋の魔法
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2014.02.09
叛逆後のさやかの話。


 休日――カフェテラスで頼んだ紅茶を飲みつつ、
「……」
 今日見たまどかの夢の内容を軽く思い出してた。
 まどかが一人暗闇の中で泣いてる――不思議な夢。
 何度見たかもう覚えてない。
「……」
 あれが夢なのかどうか言われると、不思議と現実のように思えてくる。
 でも実際は違う。あれが現実なわけがない。
 現実のまどかは泣いてなんかいない。愛想笑いというか、ずっとニコニコしてる転校生。夢と全然違う――夢のまどかは……とても表現できないくらい暗くて悲しい顔をして、泣いてた。
 まどかにそんな夢の話をしたら首を傾げられた。予想通り過ぎて、おかしくない。おかしいのはあたしで、まどかは当然の反応だった。
『夢は夢、現実は現実』あたし自身もそう思ってるはずなのに、何かがあたしを動かす。けれど――暁美ほむら。いつも、あいつの邪魔が入る。
 あいつがなぜかそのことについて聞こうとすると自然とまどかの側にいる。いつからか、絶対そこにいる。
 それも最初からいたみたいに、『美樹さん、夢は夢よ』と、あたしとまどかの会話を中断させる。
 そしてあたしが言い返す間もなく、
『ねぇ、まどか。今日は一緒に買物に付き合ってくれる約束だったでしょう』
 何かからまどかを遠ざけるかのように連れてってしまう。そういう意味じゃ、まどかに本当に聞いたことがあるのかと言われると違うのかもしれない。
 それにしても……遠ざけるって? 一体なに……から? これが違和感……? ……あたしは大事な何かを忘れてるの?
 違和感と、疑問。そういうのが重なるに重なって――あたしは仁美たちの後を追いかけるようになったのかもしれない。
 ただ単純に恭介と仁美が付き合ってるのが……未だに認められない気持ちがどこかにあるのかもしれない。それを違和感だの、疑問に置き換えて正当化しようとしてるだけなのかもしれない。
 ――最低。
「……っ」
 自分が最悪の奴に思えてきた。でも、あたしはやめることができない。心と身体のアンバランスさが、いつも恭介たちへ足を運ばさせる。
「……」
 半分になった紅茶に砂糖を加えると、同じカフェテラスにいる仁美たちの姿を遠目に確認した。
 視線の先には楽しそうに会話してる親友の仁美と、幼馴染の恭介の姿がある。
「……」
 こうしてる原因も行動理由も何度繰り返しても、一向にわからない。嫉妬からなのか、まどかが理由なのか、きちんとしたものはわからない。
 だけど……何かこうしないといけないって警告音のようなものがあたしの中で響いてるのは確かだと思う。
 それは『叫び声』に近い悲鳴のような『音』。
 そういう違和感があたしの中で渦巻いてた。
 そう……これは嫉妬じゃないってのは確か――でも……こうやってるあたしはただの嫉妬心まるだしの人でしかない。
「なぁ……」
「……」
「なぁ……さやか」
「……」
「おい、いい加減にしろよな、お前! いつまでこうしてるんだよ! 折角の休日がお前に付き合ってるせいでパーじゃねぇーか! マミの部屋でケーキ食ってる方がまだマシなくらいだ」
 今まで見てたものから視線を反らし正面に顔を向けると、座ってたはずの杏子が怒りモードで立ち上がって、こっちを睨みつけてた。
 ……怒ってる理由もわからなくもない。
 ……もうかれこれ何もしないまま一時間以上もただ座って見つめてるだけなのだから、恨みごとや文句の一つも当たり前に出てくるはず。だけど、
「……わかってるよ。でも、それがわかっててついてきてくれたんでしょ?」
 誰もついてきて欲しいなんて言ってもないのに、勝手についてくるのはいつも杏子の方だ。だから、怒りモードだったとしても、あたしの知ったこっちゃない。
 むしろ、あたしなんかに構わず帰ってくれてもいい――それこそ、マミさんのところでケーキを食べてくればいいのにって思うくらいのこと。
 これはあたしの我が儘みたいなもんだし……、
「――杏子は」
 一呼吸してから、その名前を呼んだ。
「そ、それはまぁそうなんだけどさ……」
 図星を指したせいか、頬を真っ赤にしながら意気消沈するように椅子へと杏子は座り直して、あたしが今まで見てた方角へ話題を断ち切るように視線を向けた。
「でもさ――いつまで眺めてる気だよ」
 あたしも同じように視線を元の場所へと移すと、そこには相も変わらず仁美と恭介の奴が楽しそうに会話してる。
 ……本当に楽しそうで、良かったって思える。二人は付き合ってるのだからこれは当たり前で、むしろあたしが今まで散々こうやって追いかけ回してることの方がおかしいんだよね。
「あいつらがつるんでるの見ててさやかは面白いのか……? そういう趣味ってなら、アタシは別に口出しするこっちゃないけどさ、もっと明るい趣味にしないか?」
「……そうね。こうやって羨ましがって見てても意味なんてないのはわかってる」
 ――お似合いの二人なんだ。
 仁美なら、別に恭介を取られても構わない。だけど、
「だけどさ、どうしてもこうしたいって――」
「それって、ただの嫉妬なんじゃねーの?」
「うっ!?」
 今度はあたしが図星を指されてしまった。
 うん、そうなんだろうな。杏子があたしを見て、そう思うならきっと他の人にも仁美にただ嫉妬してるように見えるんだろうな。
「……そうかもね」
 自分の声が弱々しく聞こえた。最低、最悪なあたし。でも、どうすることもできない。
「……わかってはいるんだけど、心の奥底で誰かが叫んでる気が無性にするんだよ。虫の知らせってやつ?」
 嫉妬は当然あるんだろうけど、あたしにはわからない違和感がまだある。それがわからない限り、たぶんあたしは止めれない。
「何か、それは……新しい魔獣か何かか……?」
 心配そうな杏子の声で振り返り顔を見てみれば、眉根を寄せて警戒心を強めようとしてた。だから、
「いや……そういうのじゃないかな? どっちかっていうと、あたしって存在に近い何かが呼んでる気がするんだよ」
 あたしは冗談混じりのある声色で答えた。大分落ち着いてきたのは、杏子がいつもの杏子でいてくれるからかもしれない。
「はぁ……?」
 そのおかげか気の抜けそうな吐息と一緒に、
「意味わかんねーし……ほんとどうしちまったんだよ――、」
 杏子の警戒心が解けてった。
 冗談に杏子は思ったかもしれないけど、あたしの知らないあたしがあたしの中にいるんだよ。
「さやか……おかしいな……確か現代文の試験結果はお前の方がよかったんだけど、アレか……」
 表情もだんだんと呆れ顔に変わってきた。
「宿題やる奴とか勉強する奴ってのはそういう風になっちまうのか?」
 唸り声を上げながら杏子は腕を組んで急に黙りこむと、目を閉じた。
「……アレかお前――、」
 そして何か考えが思い浮かんだらしい杏子は目を開け、
「……あいつと同じで頭がいっちゃった系か……? ほむらも確か――、」
「あいつと一緒にしないで!」
「な、なんだよ、さやか? い、いきなり叫ぶなよ……びっくりするだろ?」
「えっ、あ、あれ……ごめん――」
 なぜかほむらの名前を聞いたら、
「怒鳴るつもりなんてこれっぽっちもなかったんだけどさ、なんか……あいつと一緒にされたくなかった」
 あいつに恨みごとなんてないはずなのに、憎しみしかわかない。これっておかしいよね……? 何でだろう。わからない。
「ふーん。まぁ、あいつはお前とは全然違うから安心しろよ。あいつはどっか変だ。変人の部類に入るってアタシは思う。今のさやかも十分変だけどさ」
 微笑しながら、杏子に肩を叩かれた。それは肩に力が入ってるとでも言いたげな感じだった。だから、あたしはそっとほむらのことを隅においやると、
「はぁ……確かにあんたの言うとおりかもね」
 杏子の言う通りにしようと思った。夢を気にし過ぎてるだけなのかもしれない。あれは夢、そう夢なんだ。違和感は、違和感。
「何がだよ」
 困り顔の杏子に、
「こうやって、眺めてても何も解決しないどころか、むしろ悪化しそうな気がしてきた」
 あたしの想いを告げた。杏子から視線を仁美たちへと向けるとあたしのことなんかお構いなしに、仁美のやつは恭介とポッキーゲームなんかし始めた。
 まぁ……そもそも仁美たちにはあたしたちが監視してることなんて知らないんだから、当たり前か。イチャイチャするのも当然か。
「……っ」
 でも、イラッとした。チクチク痛みすら感じる。
 そうだ――あたしが結局何を考えても……この世界は夢と同じで、勝手に動く。
「あぁ、だから言わんこっちゃない」
 杏子の声で視線を正面へ戻すと、
「……」
 杏子がやれやれと言わんばかりにテーブル片肘をついて、その上に顎を乗せてた。
「……どうせだし、あたしたちもアレやってみない?」
 向こうが見せつけてくるなら、こっちもすればいい。これであたしの嫉妬心が消えるってことはないだろうけど、何かが変わりそうな気がする。
「はぁ……? お前、本当にどうしちまったんだよ? 頭どっか打ったか何かしたか、それとも……誰かの魔法にでもかかったでもしたか?」
 ……魔法か。そうかもしれない。あたしの見る夢は誰かの魔法が見せる夢、作り物の世界。もしそうなら、
「んっ」
 ――そんな夢は解けてしまえばいい。
 テーブルの上にあるお菓子の詰め合わせセットの中から、一本ポッキーを取って、チョコレート部分の先っぽの方だけ咥えて、
「なんだよ、本当にやるつもりなのか?」
 残りの方を杏子へと差し出した。困り顔が強くなった気がした。それでも、
「んっ!」
 あたしもお構いなしに頷いてみせて、杏子に強要させようとする。
 これができたなら、たぶんあたしは『やりたかったことができる』そんな気がした。
「ったく、仕方ねぇーなぁ……お前がそれで満足できるってんなら、アタシが付き合ってやるよ。ここまで待ってたんだから……それなりの見――、」
 最後の方は杏子がポッキーを銜えたから何を言おうとしたのか聞こえなかった。ただ……あたしの我が儘に付き合ってくれる好意だけは感じた。
 素直な嬉しさで、涙が出そうだった。
「もぐもぐ」
「もごもご」
 ポッキーゲームというのは、あたしと杏子がやるように端と端からお互いがポッキーを食べて、最終的にはお互いの口と口が触れる、そんな遊び。
 だからなのか、杏子が途中からゆっくりになった。というか止まった。
「……っ!」
 頬を真っ赤に染め上げて――あぁ杏子は『もしかしたら、そうなのか?』と思いつつ、あたしは噛むスピードを上げた。そして、
「お、お、おい!?」
 杏子が跳ね上がるように、あたしから離れた。
「な、ななな、何しやがるるるんだ!」
 ポッキーゲームを完遂させたのだから、そうしたくもなるかもしれない。あたしは杏子とキスしたのだから。
「ははん、ひょっとして杏子はまだキスしたことなかった? もしかしてもしかすると、ファーストキスってやつですかぁ?」
 ――やっぱ予想通り。
「う、うるせぇ! さ、さやかなんかとのキスなんて、フ、ファーストキスに、は、入るかよ!」
「ははは、そうかもね」
 ……キスは悲しみの味がした。それは杏子が悪いんじゃなくて、きっとあたしのせい。ごめんね、杏子。あたしなんかとキスさせちゃって。
 でも、何かが胸の中で強くなった気がする。それはあたしじゃない、誰かの心。身体の奥から、羽根の擦れる音が聞こえてくる。
「そ、そういうお前はしたことあるのか?」
「……どうだったかね。小さい頃にそんな思い出もあったかもしれない」
 あったといえば、あったというべきなのか。
「ふーん。で、やっぱ相手はあいつか? 上条なのか……?」
 話題をあたしに振ったせいなのか、杏子の心は平常心を取り戻しつつあるみたいだった。
「あはは、さぁ、どうだったかな……もう覚えてないよ」
 そう……あいつは絶対に覚えてない。そんな思い出も目を閉じれば、浮かんで消えた。
「そのわりには、なんで悲しそうなんだよ? あ、あれか、や、やっぱアタシなんかキスなんかしちまったからか!? も、もし、そう――、」
 落ち着きを再びなくしそうな杏子を制止しさせるために、
「いや、あんたのせいじゃないよ」
 あたしは両手でそれを否定した。そう……これはむしろ全面的にあたしが悪い。杏子に罪があるというのなら、それはお門違いで、キスしたのはあたしなんだから、悪くない。
 ……罪が本当にあるなら、あたしにあるべきなんだ。
「お、おい、どうして泣くんだよ!? なぁ、泣くなよ。さやか……!」
「べ、べつに、あ、たしは、泣いて、な、んて、ないよ」
 そうあたしは泣いてない。悲しくなんてない。こんな毎日を送りたかった。杏子と笑って過ごせる毎日、恭介と仁美が付き合う毎日。
 それが嬉しくて良かった――これは嫉妬なんかじゃなくて……安堵な気持ち。
 そんな気持ちが強かったはずなのに――違和感がした。
「うっ……!?」
 胸の中がざわついて、痛かった。
「だ、大丈夫かさやか!? ど、どこか痛いのか!?」
 何もかもがもがれて、背中がずきずきした。あたしはその内痛みに耐えられずいつの間にか目を閉じてた。
 そして聞こえてたはずの杏子の声は、いつからか聞こえなくなった。何も聞こえない。冷たい空間――まるで夢の世界にいるような感覚がして、
「……えっ」
 目を開ければ、真っ暗な世界があった。カフェテラスも、杏子も、仁美も、恭介もいない。
 いるのはただ一人――、
「……ま、どか?」
 夢と同じ暗い表情で、まどかがあたしを見てた。
『さやかちゃん』
 ピンク色の薄い羽根の生えたまるで女神さまみたいな姿で、夢の中で見るまどかがいた。
 そしてゆっくり指差すと、泣くのを我慢してまどからしい笑顔で消えてった。
「……」
 世界が――暖かみのある世界へ戻ってく。
「おい、さやか!? 聞こえてるのか!? だ、大丈夫なのか!?」
 だからなのか、あたしの身体は自然と動き始めてた。
「ってどうした!? なんで立つんだ!? って、どこいくんだよ!」
 杏子の声が背中から聞こえてくる。
「眺めてるだけじゃなかったのかよ!?」
「……」
 そんなのはもうどうでもよかった。今聞こえてくるのは、あたしじゃない声、
『……頑張って』
 まどかの声が遠くから聞こえてくる。その声は、勇気をくれる。いつまで経っても、出来なかったことを後押ししてくれてる。
「……仁美、恭介」
 気付けば、もうあたしは仁美たちのテーブルの前にいた。
「っ――」
 二人共まだポッキーゲームの途中で、もう少しでお互いの口に到達しようとしてた。そしてあたしの接近に気付いたらしく、ばつが悪そうに慌てはじめた。
「あんぐ」
 二人の中心にあったポッキーをあたしが食べると、戸惑う二人をおいたっきり最初に恭介を、
「さ、さやか!? っ――」
 次に仁美の、
「さ、さやかさん!? んっ……!?」
 口を奪った。
「あぁ、スッキリした。じゃぁ、後は二人でごゆっくりしていってね!」
 これで良かったんだ。これで良いんだ。胸の奥がすぅっとした気がした。そして、何かが抜け落ちたような気もした。
「えぇ、さ、さやかさん!?」
 それは念願叶った口吻で魔法が溶けたのか、嫉妬を自分なりに消化させたのかはわからない。
 だって――もうなんでこうしたのかよくわからない。
『……さようなら、さやかちゃん』
 誰かの声が聞こえてた気がするけど、そんなはずもない。
「杏子、マミさんのところ行こっか? 確か、メールをもらってたんだよね」
 だけど、そんなのはどうでも良い。違和感もしないし、肩の荷が下りて、自由になれた気がした。
「へっ? あ、あぁさやかがそういうなら、そうするけどいいのか……もう?」
 こっちを見て、呆然としてる二人を目に焼き付けて、あたしは杏子の手を引っ張りつつカフェテリアを後にした。


 あれ以来複雑な三角関係というか、仁美たちとギクシャクした関係になってしまった。でも、不思議と気分だけは良い。ずっと我慢してたせいなのか、自然体でいられる。
 仁美には悪いけど、やっぱり恭介が好きなのは変わらないのだから、これで良かったのかもしれない。
「ねぇ、ほむらとまどかも一緒に今度駅前にできた新しい――、」
 代わり映えしない昼食。
 まどかがいて、ほむらがいて、杏子がいて、マミさんがいる。
 どこがおかしいのか、何が正しいのか――違和感がない。
 違和感がどこにあったのか、もうわからない。何を疑問に思ってたんだろう?
「さやかはもう少し、運動した方がいいと思うわ。その方が上条恭介に好かれるんじゃないのかしら? それこそプロモーションは志筑仁美のが良いのだから」
「そ、それってどういう意味よ、ほむら!」
「……さぁ、あなたが思った通りの意味じゃないかしら?」
「こ、こいつ!」
 胸の奥は幸せで満たされてる。

 何が違和感だったんだろう……?
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