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R.U.K.A.R.I.R.I | 魔法少女ほむら☆マギカ Chapter of Sakura その6
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2013.08.25
暁美ほむらが巡ったもう一つの物語。
新たな魔法少女との出会いが、今始まりを告げる。

それは脅威なのか、救いなのか?

その5

※更新速度が遅いので、完了までに時間がかかります。

☓ ☓ ☓

 ――まどかは、今なにをしているのだろうか?

 まどかの安否は、美樹さやかの側にいれば、ある程度保証されている。
 それは昔も、今も変わらない。敵対しようと、しなくてもそれはわかっている。
 けれど、どんなに生命の危険から遠ざけても、まどかの魔法少女化は一向に防げていない事実も何一つとして変わらない。まどかが常に危ない状況にいることに違いはない。
 だから私は魔女の気配を追い、その場所へ向かっていた。ビルの上から、またビルの上へと、人目につかないように出来る限り急いだ。

 ――保険はまだある。

 そうだとしてもあの娘の微笑みを消さないために、魔法少女にもさせないためにも、魔女に近づけさせない。
 誰よりも速く、一つでも多く倒す。
 たったそれだけのことしか、今はまどかを救う方法として思いつかないでいた。
 そうだというのに、
「……?」
 何か――違和感がした。
 人の気配が全くしなかった。
 それは魔女の気配があった場所に近づけば、近づくほど確信に近いものへ変わっていく。
 空を見上げてみれば、確かに日は暮れて、空には月が昇っている。
 時間帯にしても深夜。皆眠っているのかもしれない。
「……」
 人の気配がないのは、魔女の力がそれほど及んでいないからなのかもしれない。
 今は仮にそうだとしても、人にいつ魔女の口づけが現れるかわからない。
 こうしている間にも時間は進んでいく、早く魔女を倒してどうにかしないと……。
 魔法少女になる可能性は、徹底的に潰す。
「……?」
 ――なんだろう? ビルから歩道へ降り立ってみて、
「……」
 違和感が実感を得るようになってきた。
 いつも感じる人の静けさとは、何かが違う。冷たい空気が私の神経を逆撫でするように刺激してくるようだった。いつもは違う――人の温もりを感じさせる静けさだ。
 でも、ここはそんな優しい感覚がしない。
 逆に身体中ねっとりと、見えない気持ち悪い何かを塗られている――そんな感覚がして、ここから早く離れたいぐらいだった。
「……はぁ」
 考えていても埒が明かないと改め、足を急がせた。
 そもそも保険がいつできるかどうかは――まだわからない。
 でも……いずれ美樹さやかは魔法少女になる。
 この世界では、まだ美樹さやかではないが、
「……」
 彼女が魔法少女になるのを止める術も、私は知らない。
 煽っても、脅しても全て無駄。
 そして彼女が魔法少女にさえなれば、最悪まどかが魔女と出くわしても、美樹さやかなら助けてくれるだろう。巴マミがいないのであれば、絶対のことだ。

 ――巴マミは『間に合わなかった』。

 間に合わせることもできた。でも、そうすれば必ずキュゥべぇがまどかを狙った。だから、間に合わなかった。そう私は認識した。
 美樹さやかが何を言おうが――そうなのだ。間に合わなかったことは、間に合わなかったことなのだ。
 まどかが最悪の魔女になる。あいつはそう話していた。私もそれは見たから、事実。あれは防がないといけない。まどかとの約束は守らなければいけない。
 だから、巴マミの犠牲は仕方のないことだ。
 まどかが魔女、キュゥべぇの罠にダマされないようにする。そこに注意を置くことが大事。それができなければ、私が魔法少女になった意味がない。
 巴マミがかつてしていたこと。それに今の私の状況は近いのかもしれない。ただそれはまどかを守るだけであって、人を守るためじゃない。
 たった一人であっても、時を止めればどの魔女にも対抗できる。誰にも頼らず、倒せる。
 だけど、『ワルプルギスの夜』だけは、何度やっても倒せない。
 ……ワルプルギスの夜が見滝原に来るまで時間が残り少ない。
 ……策を考えないと。
 こうして、他の魔女の相手をしている間も時は進んでしまう。
 この流れだけは、私にも止められない。

☓ ☓ ☓

「上か……」
 魔女の気配を清潔感のない廃墟ビルの屋上から感じた。
「……」
 廃墟ビルに足を踏み入れると長いこと廃棄されていたようで、埃や、苔のようなものがあちこちに見えた。一体どれくらい放置されていたのだろうか?
 受付口を通り過ぎると、三個のエレベーターと、扉が開かれたままの非常階段があった。
「……ダメか」
 エレベーターのスイッチを押してみても、反応はなかった。
 使われていないのだから当たり前かと、非常階段に足を向かわせた。
「……」
 老朽化よりも、自然化という言葉が正しいくらいに雑草が生い茂っていた。階段が抜けることはないと思うが、一応注意しながら上がった。
 例え階段が抜けても、別に何も問題ないことだけど、警戒心は必要だ。
「……」
 もうすぐ杏子がこの街にやってくる。
 巴マミの死亡をキュゥべぇに聞いて、必ず彼女はやってくる。杏子とは利害は一致している。こちらが相手の出す条件に乗ればいいだけ。
 だから今回も共闘を提案してみよう。
「……はぁ」
 階段途中にゴミが大量に捨ててあった。つい最近まで誰かがここで過ごしていたのだろうか。それか心霊スポットと呼ばれている場所なのかもしれない。何にしても、ゴミはゴミ箱に捨てるべきだ。

☓ ☓ ☓

 人の気配を感じないまま、六階ほど登り終えようとしたところで階段が消えた。その代わりに見えてきたのは、吹き抜けの天井。
 この先が……屋上。
「……?」

 ――黒い……炎?

 廃墟ビルの屋上に出て、目に入ったのはその光だった。
 エントランスホールのように屋上はひらけていた。その中心で、黒い炎が月の光とは別に周囲を黒みかかった紫色で彩り、燃え続けていた。
 魔女の気配を頼りに着いた場所だが、魔女の反応はない。でも、魔女の気配だけは、未だにこの周りに存在しているようだ。使い魔の影響……? 違う。使い魔の気配はしない。
「……」
 数分前まではいた……と、考えるのが妥当なのだろうか?
 視線を中心点から外すと、屋上の至るところで、このビルをかつて支えていただろう壊れた柱がいくつか見えた。
 屋上と思っていたこの場所は、昔は他の階層と同じように何かの部屋だったのかもしれない。
 黒い炎以外に、おかしな点は見つけられなかった。
 仮に黒い炎を焚き火だとしても……それは、赤い炎。明るい炎になるはず。
 だからこそ、何かが変だった。黒い炎などあり得ない。
 中心にあるその光は、四つ。何かを囲うように四角の角で燃えているようだった。
 遠くからでは、黒い炎の中心地が具体的にどうなっているか見えなかった。
 魔女を倒せないのなら、ここにきた意味がない。
 だから、少し近づいてみることにした。
「うっ!?」
 黒い炎へと近づこうとした瞬間、鼻に入ってきた異臭の刺激によって、
「……っ!」
 思わず声が漏れてしまった。

 ――しまった!

 人か、魔女が仮にここにまだいるのだとしたら、感付かれてしまう!
 魔法を発動すれば――だから落ち着いて……まだ大丈夫……!
「……っ」
 階段へとしゃがみ込み、そして目を閉じ、精神を集中させた。……大丈夫だと、念じた。
「……?」
 再び目を開けてみれば、気付かなかったものが足元には存在していた。
 ――赤い水たまり。
 あったというよりは、どこからか流れてきたみたいだった。それもただの赤じゃなくて、ドス黒い赤の、赤。
 周辺をよく見てみるとこの赤い水は、どうやら黒い炎の方から流れているようであった。

『ねぇ、あなたは魔女なの?』

「!?」
 声が、突如として頭上から聞こえてきた。反射的に右手にM92Fを魔法で取り出して、息を潜め、その声の主を探そうとした。その声の主は、すぐに見つかった。
 屋上にあった柱の上……。
 そこに髪の長い紫色の髪をした女の子が片足で立っていた。
 魔法少女なのだろうか? 服装はどことなく、普通とは違う気配を感じる。その少女の左手には月の光で反射された短剣があった。右手では、『何か』をくるりとまるで『バスケットボールを回す』かのように、回している。額には、宝石のようなものが光の反射を受けていた。ソウルジェムなのか……?
「魔女いないかなぁ、あいつだけか。つまらないなぁ。最悪な魔女にはやく会いたいなぁ。ふふふ、楽しみだなぁ」
「……」
 少女の存在に気づいて慌てて息を潜めていたが、一行にその少女はその動きが変わる気配はなかった。
 ……こっちに気づいていない?
「……?」
 見たことのない少女だった。一体ここで何をしているのだろうか。
 仮に魔法少女であるなら、目の前にいる少女が魔女を倒したということ?
 確かに魔女はいない。
「あぁ、つまんないなぁ」
 そうつぶやいて少女が回していた『バスケットボールのようなもの』を停止させた瞬間、
「……っ!?」
 胃の中の何かにあるものが逆流してくる感覚がした。
 それでも、声は出せなかった。出しちゃいけない。でも、人間としてそれは無理だった。だから魔法少女として、その感覚を消した。
 それでようやく『その何か』を普通に見ることができた。
「……」
 停止したそれは、よく見るものだった。誰もが目にするが当たり前のもので、『絶対に人として分離してはならないもの』がその手の上にはあった。
「あぁ、ねぇ? どう思う? そう? じゃぁ帰ろっか? 病院ではやくお風呂に入りたいなぁ。でも、順番があるから、きっとすぐ入れないんだろうな。めんどくさいよね? また、魔法使えばいいって? そうだね、そうしよう」
 少女が何かに話しかけていた。
 私にはそれが見えなかった。少女以外に私以外の人らしき物体は見えない。
 だから少女に答える存在なんてこの場にいない。
 それになぜ少女が――そのようなものを回していたのか理解できない。
「ん? なぁに? まぁ、いいんじゃない。よっと」
 少女がビルの柱を連続で飛び跳ねて、奥へと進んでいく。
 そして、なぜか一度振り返る素振りをみせ、
「ふふふ」
 笑ってその場を去っていった。
「……!?」
 私はそれを見て――急いで逃げるように、自然にその場から離れ始めていた。
 少女の笑顔に得体の知れない恐怖を感じていた。
 どうして、こちらを振り向いたのだろうか?
 私に気づいていた?
 私に話しかけていた?
 どうして、どうして!?
 ……情報がなさ過ぎる!
 彼女が魔法少女であるならば、次に会う機会がきっとある。
 その時あの少女は敵になるのか、味方なるのかはわからない。
 でも今は『関わっちゃいけない』と直感させた。

 少女との再会はすぐにやってきた。

 ――それは最悪のタイミングであった。

 美樹さやかが魔法少女になり、杏子と出会い始めた頃だった。

続く
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