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R.U.K.A.R.I.R.I | 魔法少女ほむら☆マギカ Chapter of Sakura その5
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2013.08.23
暁美ほむらが巡ったもう一つの物語。
新たな魔法少女との出会いが、今始まりを告げる。

それは脅威なのか、救いなのか?

その4

※更新速度が遅いので、完了までに時間がかかります。




☓ ☓ ☓

 それから、わたしは魔法少女として、生活しだした。
 それがわたしにしかできないことってキュウべぇに言われたから。新しい生きがいというものが出来たんだ。
 はじめに魔法少女って言われた時は、何を言ってるのか、正直よくわからなかった。だって、魔法少女だよ? 空想上の存在って思ったよ。
 歩けるようになって、しかもそんな存在にわたしがなれるなんて、夢のなかのまた夢なのかと思ったぐらいだよ。今じゃ指先一つ一つがわたしの思い通り。魔法で何でも思うがまま。
「――♫」
 魔法少女になってから、すごく身体が動かしやすい。身体が自分の身体じゃないぐらいの勢いだよ。
 昔のわたしは、何も出来なかった。
 他の子と比べられるのが嫌だった。何も出来ないし、何もわからない。そんなわたしの姿を見られるのが凄く嫌だった。だから、帽子をかぶった。帽子を深くかぶってさえすれば、誰もわたしを見ない。誰にも見られなければ、何も怖くない。誰と触れ合いたくなかった。嫌だった。
 だから、幼稚園も小学校も行かなかった。行けなかった。車椅子から降りて少し歩くだけで、すぐに目眩を感じて倒れて、誰かに迷惑をかけてたのをよく覚えてる。
 今はあの時が嘘みたいに感じる。

 ――今は何も感じない。

 飛び跳ねても、走っても、転んでも、わたしの身体は痛みと、生きてることを感じられた。車椅子はもう必要ない。わたしの、わたし自身の足で歩いていける。
 それにわたしの姿を見て、ママたちが喜ぶのが、とってもうれしかった。
 そして念願だった友達もできた。
「あはは、それ面白いね」
「そうだよ」
 名前はキュゥベぇ。
 わたしを魔法少女にしてくれたコ。キュゥベぇはわたしが知らない色んなことを知ってる。
「うん、面白い!」
 わたしがあの時、意識不明にならなかったら、こうはならなかったかもしれない。
 事件……。
 具体的に何が起きたのかは、わからない。
 わたしが目を覚ました時には、もう病院のベッドの上にいたんだもん。
 ママとパパ、それに先生にも聞かされたことだけど、それだけじゃよくわからなかった。
 結局、自分で色々調べてみることにしたんだ。その情報は病院内限定のものだったけど、わかったことは、わたしが『誰かに襲われた』ってことだった。
 確かに、眠ってしまう前に黒い影が見えた気がする。凄い大きい影がわたしを覆ったような気がするんだ。それ以外は何も覚えてない。
 きっとそれが犯人だってママたちはいうけど、それは犯人逮捕のカギにならなかった。そのせいで、迷宮入りと言われてるみたい。
 事件後、唯一わたしの身体に残ってるのは、額にちょっとわかりづらい傷口があるだけで、他は何もなし。
 ただ、頭――脳にダメージを受けて、完全に歩けなくなる、言語障害等の後遺症が一杯出るって言われてたみたい。
 元々動かない身体だったから、そういう大変なことになるかもしれないってのは、わたしもそう思う。当然、その逆がないわけじゃないだろうけど、ママいわく『最悪なケースを考えるのが医者』らしい。
 でも、目覚めたわたしは何もなくて、先生の言ってた逆――歩けるようになってた。
「それでね――」
 こうやってキュウべぇや、ママたちと笑って過ごせてた。
 こんな幸せな時間がいつまでも続くんだなぁって、信じてた。
 だって、やっと……手に入れた幸せなんだもの。
 でも――それは、わたし以外の魔法少女に出会ってから、崩れ落ちてった。

 ――本当は気づいてたのかもしれない、偽りという幸せだってことに。

 いつまでもこうしたいって、願うのはいけないことだったのかな……?

× × ×

「え、どうして……どうして!? わたし以外に魔法少女がいるの!」
 魔法少女がわたし以外にいるなんて、意味がわからなかった。
 そんな話キュウべぇから何も聞いてないよ!?
 どうしてわたしの目の前で、魔法少女同士が協力して戦ってるの?
 それは魔女の結界内に入って、すぐのことだった。
 わたしと同じような姿をして、それぞれが剣、槍を使って魔女へと立ち向かってた。
「……っ!」
 その場にいてもいられなくなったわたしは、逃げるように病室へと戻った。

× × ×

『わたしの他に魔法少女がいるの?』って、キュゥベぇに聞いたら、キュゥベぇが『言っていなかったかい?』って、逆になぜかわたしに問いかけた。
 教えて……キュウべぇ。わたし聞いてなかったかな? 自分のことなのによくわからなくなっちゃったよ。

 キュウべぇは――わたしの前から度々いなくなるようになった。

× × ×

「真っ黒い宝石……」
 窓から入りこんだ月の光で、ソウルジェムが黒く反射してた。こんなに黒かったっけ? 最初の色は違ったような、こうだったような……。はっきりしないや……それに最近何をしてるのか、よくわからない。『何をしてたのか』わからない時がたくさん、たくさんあった。
 気づいたらベッドの上で、どうしてって考えてると、またベッドの上でソウルジェムを見つめてた。日付だけが勝手に進んでた。
 魔法少女として、魔女や、魔女の手下を倒してたような気もするし、してなかった気もする。ずっと病院にいた気もするし、パパやママと話してたような気もする。

 ――よくわからない。

 はっきりした記憶があんまりない、存在してないみたいだった。
 だから、わたしはあの時キュゥべぇに『嘘だよ、言ってないよ』と、自信を持って言え返せなかった。
「大丈夫……大丈夫。わたしは大丈夫」
 きっと気のせいなんだ。わたしは疲れてるんだ。
 魔法少女って仕事は、タイヘンだったんだね。
 でも、わたしは魔法少女。魔女を倒すものなんだ。

~少女の母親の日記~

◇月▲日
 どうしたのだろうか。あの娘は、独り言しかしなくなった。わたしが話しかけても、なかなか答えてくれなくなった。昔はあぁじゃなかったのに……少し怖くなったので、お医者様に見てもらうことにした。
 その結果はどこも異常はなく、脳も特に何もなかった。むしろ健康そのもので、普通の人以上に身体はしっかりしているとお医者様に言われた。
 お医者様に見てもらう時、さくらは常時不機嫌だった。いつもなら、無表情で何も反応しない娘だったのに。なぜ不機嫌なのだろうか……? 理由は不明。
 お医者様は、「過度のストレスからの開放による気持ちの整理期間ですよ」といった。
 ……本当にそうなのだろうか? 魔法少女、魔女。あの娘は、そんなことをいっていた。
 魔法……おとぎ話によく出てくる言葉だ。毒りんごを作ったりして、人を騙す存在だ。
 それとストレスが一体何の関係があるのだろうか? お医者様が嘘を言うことはないことだろうけど、ピンとこなかった。
 第一ストレスなんて、あの娘が感じるわけがないというのに。あの娘が嫌がることは極力避けていたはず……そのはずだった。
 あぁ……さくらを襲った犯人が憎い。

 ――今どこで何をしているのだろうか。

☓ ☓ ☓

「あっ……」
 目の前で、人が、魔法少女が、魔女になっちゃうのを見た。
 ソウルジェムが破裂して、大きな黒い影になったんだ。
「――待って」
 それから、助けようとした。でも、何度やっても間に合わなかった。魔法少女が魔女に変わっちゃうのを、何度見たか覚えていない。
 わたしが、ただ赤く染まるだけだった。
 魔法少女が他にいてもいい。だったら、協力するんだって思ってたのに、助けたいのに助けられなかった。
 記憶を思い出せないせいで――わたしが仲間を魔女にした気さえしたぐらいだった。

 ――もしかしたら、私以外の魔法少女なんて最初いなかったのかもしれない。

 そう……かもしれない。いないんだ。わたしだけが魔法少女なんだ。後は真似っ子。わたしの真似をしてるんだ。
「……」
 そうだ。魔女がそこにいるんだ。
 魔女がわたしの近くにたくさんいるんだ。
 倒さなきゃ、倒さなきゃいけない。わたしは魔法少女。魔女は敵なんだ。
「……うるさいな」
 敵なのに、魔女なのに、こいつらはどうして話しかけてくるの?

 ――そっか、わたしを騙そうとしてるのか。

 魔女、魔法少女、魔女、魔法少女、魔女、魔法少女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔法少女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔法少女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔法少女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女、魔女……。
 全部、全部魔女がいけないんだ。魔女がいるからいけないんだ。

 わたしは、また聞いた。

 当然のようにキュゥベぇは、無表情で「そうだよ」と返してくれた。
 裏切られた気がした。でも、その答えは何だかすっごく安心できた。何でだろう?
 その答えはよくわからなかった。

☓ ☓ ☓

「……あは、あはははは」
 病院の外で、はじめて友達ができた。
「なぁに?」
 でも、その友達がわたしに必死に手を伸ばしてくるのは、何でだろう?

 ――よくわからない。

 だけど、その姿は凄くおかしくね、見えたんだ。とても楽しそうだった。どうして涙を流してるのかは、よくわからなからいけど……。
「これ、プレゼントだよ?」
 わたしはその手を斬った。きっとプレゼントが欲しかったんだよね?
「そっか、これじゃ足りないの? ごめんね」
 物足りなそうなトモダチにたくさんプレゼントをあげた。わたしはいい娘だよね、ママ?
「次――、」
 だって、トモダチは魔女なんだもん。魔女はみんな殺さなきゃダメだよね?
「ふふ」
 赤いシャワーを浴びて、わたしの手が赤く染まった。この赤は臭かった。いつもの魔女はこんなの流れないのにどうしてだろう? こんな臭いを放つ魔女がいるなんて信じられない。
「そっか」
 魔女にも色んな種類がいるんだね。これで、また一つ強くなれたのかな?
「これでいいんだよね、キュウべぇ」
 キュゥベぇは、いつもわたしに正しいことを教えてくれる。
 いつの間にか、キュゥベぇはまたずっと一緒にいてくれるようになった。わたしだけの側にいてくれた。
「そうだよ。上出来じゃないか、さくら」
「そうだよね」
 魔女を倒さないと、世界が壊れちゃうんだ。
 キュゥベぇは絶対なんだ。キュゥベぇはすごいんだよ。
 何でも知ってる。何でも知ってるよ。知らないことなんてない。ないんだよ?
「あははは! ねぇ教えてよ、キュゥベぇ?」
 キュゥベぇだけは、わたしの質問にちゃんと答えてくれる。

 ――間違ってるのは、キュゥベぇじゃないよ。

「違うよ」っていう魔女の方だよ。
 魔女の言葉は、ひどいんだよ。わたしに「お願い。助けて。やめて、やめてよ! こんなことしたって意味ないよ!」っていうんだよ? おかしいよね?

 ――なんで?

 魔女は、みんな倒さなきゃ、殺さなきゃ。これが世界のためなんだよ。

☓ ☓ ☓

 最近の魔女は、わたしたちと同じ言葉をよくしゃべる。
 魔女たちも成長するのかな? よくわからない。
「あぁ……服が汚れちゃった。魔女の液体なんてばっちぃ、ばっちぃ」
 着てる服を叩くと、紅い雫が白いコンクリートの上に落ちた。
「あぁ」
 着替えればよかったんだ。
 指をはじくと、魔法少女の服装からパジャマ姿へ変化させた。
「これで匂いもしない。行こう、キュゥべぇ」
「うん、行こう! さくら」
 キュゥベぇと共にその場を立ち去る。

 ――ここはどこだっけ?

~少女の母親の日記~

◇月■日
 あの娘がついに、話してくれなくなった。
 とても大切なことが起きたから、話をしたかったというのに。
 ――パパが……行方不明になった。会社から帰る途中にいなくなったと警察官の方に聞いた。
 あの人に限っては、何も無いとは思うが心配だ。大丈夫なのよね?
 まだ、二日目だ……。きっと、見つかる大丈夫だ。
 パパがいなくなったと話したのに――なぜかあの娘は、笑っていた。
 ……どうしてだろう。

 ――それにあの娘の病室は最近変な臭いがする。

 お医者様に確認してみると、きちんと清掃も除菌もされているという。
 その臭いが、いつからしたのか、わからない。
 あの娘もそうだが、お医者様もお医者様だ。同じ反応しか返してくれなくなった。
 何を聞いても『大丈夫デスヨ』としか言わない。
 本当に大丈夫なのだろうか? お医者様を信頼しきっていいのだろうか。
 結局お医者様がさくらにしてくれたことは、さくらの重荷になってしまったように今なら思える。全て間違いだった。
 それじゃぁ、何がさくらを治してくれたんだろうか? 誰が治してくれたんだろうか?
 わからない。一体どういうことだろう? あの娘が何かを隠しているのだろうか?
 あの娘が心配だ。
 私だけはあの娘の味方でありたい。あの娘は私たちの宝物なのだ。
 だから、守っていきたい。
 これから何が起ころうとも、最後までわたしだけはあの娘のことを信―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……ねぇ、どうして? どうして、何も答えてくれないの! ねぇ、聞いてるの? ママ」
 ママとパパがいつからか、わたしと話してくれなくなった。わたしのことを無視するの。わたしに笑ってくれない。
 ただの人形みたいに、その場にいるだけで何も答えてくれない。
 ママたちの笑った顔見るの大好きだったのに。
 昔はそうだった――と思う。
「ママ……ねぇ、どうして答えてくれないの?」
 今はわからない。わたしには、もう何もわからなかった。
 だからもう考えることをやめた。
 わたしは魔法少女。魔女を狩るもの。それができれば、いいんだよね?

 ――そうでしょ。キュウベぇ?

「……魔女は、みんな殺さなきゃ」
 わたしに答えてくれるように、右手に持ってた黒色のソウルジェムは、右手の中へと消えてった。そうだね。
 もう変身なんてする必要ないよね?
 わたしが魔法少女なんだ。全部魔女は倒さなきゃ。
 だから、最悪の魔女は殺さなきゃ。世界が壊れちゃう。
「そうだね、さくら。その調子でいこう」
 キュウベぇが笑ってくれた気がした。
 そうだよ、キュゥベぇが喜ぶことをしよう。

 ――もうキュゥベぇ以外、誰もわたしに答えてくれなくなった。

続く
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