[PR] 一戸建て
R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】京都旅行
About Circle Board Twitter Link Circle work Mail RSS facebook google+    同人サークル『R.U.K.A.R.I.R.I』のHPです。
ブログ内人気記事

他ブログ及び本ブログ最新記事


2013.05.07
身内が旅行に行ったもので妄想旅行。  
杏子とさやかがもし京都旅行に行ったらというものです。


 商店街の抽選で特賞『ドキッ関西どこでも四日間!』という旅行券を当てたらしく、誘われた関西旅行に付いてきたわけだけど……、
「あんたさ、食べること以外しないわけ?」
 食べるのは人間の本能だけどさ……それにも限度ってものがあるでしょ。
「んっ、にや? そうでもないけどさ、ほら歩いてるじゃん?」
「そういうこと言ってんじゃないって……」
 その賞を当てた杏子は京都に到着するなり、みたらし団子を買って食べて、今は八つ橋を頬張ってた。新幹線でもお弁当箱三つ食べ終えてたよね?
 あれからまだ時間も全然経ってないっていうのにさぁ、胃の中大丈夫なの? 正直あたしの方が胸焼けしそうだった。
「ねぇ、それ飽きない? 一体何個目の八つ橋なわけ?」
 確か清水寺への坂道を登り始める前に二つ買って……それは真ん中ぐらいでなくなって――途中でまた三つ買ったんだっけ? それにしても食べ過ぎでしょ……。箱に何個入ってるのか知らないけどさ、そうやって食べるもんじゃないよね?
「ん……?」
 修学旅行生らしい制服姿の学生が、やたらとこっち見てくるのは……もしかしてそのせいか?
 ――箱食いしてる奴がいるぞ!
 そんな風に思われてるとか?
 実際どうなんだろう……左手に下げた袋から、八つ橋の箱を取り出して開封、それを左手で持って、右手で食べる。
 うん、冷静に考えなくても家とか室内ならともかく、外じゃおかしい気がしてきた。そもそも食べるだけなら、お店の中に入って食べればいいものね。
 とはいっても、
「はぁ……」
 確かに、副賞的に……食べれるだけ食べなきゃ勿体ないのはわかってるんだけどさ。
 杏子が当てたのは――、十年目の何か特別な賞らしくて、食費に関しては全て商店街が出すという異例なものらしい。おみやげとかはダメらしいんだけどさ。
 でも、これっておみやげにしたのかどうかって、どう判断してるのかなぁ? 後でレシート精算されるらしいんだけど。
 もしかして、この賞自体が杏子の自作自演ってことは――ないかなぁ。それにしてはパクパクし過ぎだし、二人分の電車賃までどうしたのかって話になる。
 そりゃアルバイトしてるらしいし、必殺のマミさんまでもが控えてるとなっちゃ、さやかちゃんでも判断できませんわぁ!
「ははは」
 立ち止まって考えてたらしく、
「あれっ――」
 杏子が隣にも前にもいなくて、振り向いてみると、
「杏子……?」
 ちょうど新しい八つ橋を買ってたらしく、坂の下の方でお店の人にお金を渡してた。そういや、店の前通り過ぎてたわね……。
「おばちゃん、ありがと」
 嬉しそうな顔した杏子が箱をこじ開けて、また八つ橋を口にし始めた。
「あれっ?」
 さっきのとは違うの食べてるし、ほんと杏子の胃はよくわかんないな。一緒に合わせて食べなくて正解かも……しばらくダイエット地獄になりそうだしね。
 ゆっくりと杏子が坂道をのぼってくると、
「京都って言ったら、食べるのがメインじゃないのか? アタシは神社とか興味ないしさ。あぁ、教会は別だ」
 美味しそうにパクって、八つ橋を口に入れた。
「えっ?」
 食べるのがメインなのは、明日行く大阪だった気がしますよ、杏子さん。
 でも、
「まぁ、確かにあたしもあまり興味ないけどさ……」
 確か京都は……歳を取ると若い頃と違う印象を受けるらしい。
 だけどさ、あたしたちがその頃にまたこうやって京都へ来るのは一体いつになることやら。興味持つとか正直なところ、想像つかないよ。
「ふーん」
 それにしてもさ、八つ橋今何個目よ……また箱開封してるしさ……。
やっと登ってきたか――、
「えっ?」
 イチゴミルク……の八つ橋!? そ、そんなのまであるの?
「ん? 欲しいのか? 一個くらいならあげてもいいが――条件がある」
 驚いた顔が、物欲しそうな顔に見えたらしく、杏子が口元をあげつつ言った。おみやげ屋でそんなんあったかなぁと杏子の左手にある八つ橋をガン見しつつ、自分の手荷物をよく見た。
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
 おみやげ用に買ったし、後で食べる用にも買ってある。でも杏子が何個食べたか気になってるあたり、あたしも心の片隅では食べたくなってるのかもしれない。
 人が食べてるとほら、食べたくなるじゃない?
 なので興味半分、面倒くささ半分で、
「ちなみに条件って何よ」
 右頬を掻きつつ横目に問うと、
「――着物着てくれない?」
 急に上目遣いでそんなことを言ってきた。
「はぁ? 着物? 確かに京都といえば舞妓さんだけどさ。あたしにはあんなの無理だって、それにこないだのお祭りで見せたじゃん――」
 予想外のことが返ってきてよくわからなかった。杏子が上目遣いするなんて、滅多にないから。それこそ、本当にして欲しい時ぐらいしか見たことがない。本人は気がついていないみたいだけどさ。
 だから半分からかうつもりで、
「――それに着物が見たいなら、ほむらみたいな日本人らしい外観の方がいいんじゃないの? 黒髪ロングのあいつはお祭りで見た浴衣着は、糞似合ってて嫌になったよ――んっ?」
 ほむらの話を例に取ると、なぜか杏子が急に俯き出した。
「ほむらはあれだったけどさ……。ほ、ほら、だ、だってさ、あの時はほら……ふ、ふふふふ」
 そしてぼそぼそとよくわからないことを口走り始めたので、
「ふ菓子?」
 そう受け取っちゃった。いやぁ杏子が考えるとすれば、まずお菓子だしね?
「ち、ちげぇよ!?」
 顔を真っ赤に染めた杏子は首を振りながら、
「ふしゃりひりじゃなかったじゃん!」
 謎の暗号文を送ってきた。
「えっ、何それ? 不毛布? なにそれ……食べ物……?」
 それともどこかの地名……? まず日本じゃなさそうだけど。
「もういいよ!」
 何かそっぽ向かれた。どういう意味なのよ?
「はぁ……?」
 あまりからかい過ぎて怒らせても後が怖いし、それに変な境界線ができて旅行に支障が出ても仕方ないので、杏子の顔を両手で掴んでこっちを向かせた。
「あのさぁ――」
「ふ、ふぇ!?」
「――あたしは着るのは別にいいんだけどさー。うん、お願いじゃなくても着てもいいよ。でもさぁ。あたし一人だけ着ても意味ないでしょ?
 折角さぁ、こう二人で京都に来たのにさ、杏子は着ないの?」
 それは……と、杏子が瞬きしながら目だけ横に向けたので、
「あぁ――」
 やっと何を杏子が言おうとしてたのかわかった気がする。もしかしたら、二人っきりって言おうとしたのかな?
 ――まさかね。
「いやさ、ア、アタシは、ほ、ほらさ……そういうの似合わないし?」
 目があっちにいったり、こっちにいったりと泳いでる杏子を見るのは久しぶりかもしれない。というか、何で最後疑問形……?
 あたしが見る限りじゃ、浴衣姿の杏子もほむらに負けず劣らず似合ってたんだけどなぁ。あたしも髪の毛伸ばそうかなぁって、思ったぐらいだしさ。
「ふーん。じゃぁ、杏子が着なきゃあたしも着ないってことで! 元々八つ橋食べたかったわけじゃないし、ってかあれですよね。お店のサンプルを少し食べればいいわけですよ!」
 何も杏子の思惑に乗る必要なんてない。それに気が変わるかもしれないしさ。
 あぁ――一緒にお店に入っちゃえば着ないわけにはいかないかな?
「そ、そ、それならしょうがないなぁ! 残念だなぁ。うんうん、本当に残念だ」
 少しも残念そうな顔じゃないんだけど? 顔真っ赤のままだし。
「じゃぁ、次行こうか? 時間もあまりないしさ――」
 両手をゆっくりと下ろすと杏子が持ってた八つ橋を奪い取り、口にしてあたしは清水寺への坂道を一人先に登りはじめた。
「ど、どこ行くんだよ! さ、さやかぁ!?」
 隣に追いついてきた杏子は、妙に嬉しそうな顔だった。
 何でだろうって思ったら、
「そっか」
 食べたら、着る約束だったっけ――。


 今日も疲れたなぁって、布団で休み始めたのはいいんだけどさ、
「ねぇ、わざわざ布団二つ用意してもらったのにさ……」
「うん」
「どうして、あんたはあたしの布団入ってるわけ?」
 それも何で背中から抱き寄せてるの……?
「それはだな、抱き枕代わり。いたっ!? 殴ることないだろ!」
 適当に左手を動かしたら、どこかに当たったらしい。いい気味だ。
「あたしはいつからあんたの枕になったのよ?」
「はじめて会った時からだよ」
「はぁ? 意味分かんない」
 耳元にそうっと吹きかけられた息とともに、
「――余韻に浸りたいってやつかな?」
 囁かれた言葉で身体が急に熱を発し始めたのがわかった。
「っ――」
 顔まで熱くなってきて、杏子にバレないようにそっと、布団に潜ろうとしたけど、
「あっ! 赤くなった。もしかしてさやかぁ、思い出しちゃった?」
「ち、ちがっ!?」
 気付かれて、杏子の手が腰をそっと撫でてきた。
「あの時のさやかは綺麗だったよ。カメラに撮ってほむらたちに見せびらかしたいくらいにさ」
「や、やめてよ!」
 逃げようと身体を動かそうとしても、何かの拘束が決まってるのか頭と足くらいしか動かせなかった。
「昼間のお返しだよ」
 やるんじゃなかって――思ったのもつかの間、
「でもな……ほんとな、違うんだ」
 声色を変えた杏子の声が耳に入ってきた。吐息のような消えそうな声にあたしは身動きをやめて、
「何が?」
 それを聞こうって思った。
 真剣に聞かなくちゃいけないような胸の痛みがしたんだ。
「ほんとはさやかが……どこに行っちゃいそうで、怖かったんだ」
 どうして、そんなに寂しそうな声を絞り出すんだろう。あたしの腰にある杏子の手にももう力は入ってないみたいだった。
 だから、ゆっくりと杏子の手を腰からどけた。
「そう……なんだ」
 もしかすると、この旅行はこいつなりのフォローだったのかもしれない。あたしが恭介のことで悩んでるから、こうしてくれたのかもしれない。
 もしかしたら、マミさんたちが元気づけるためにしてくれたのかもわからない。
 それならあたしは少しでもお礼がしたくて、
「し、仕方ないなぁ」
 身体を反転させて、杏子を正面から抱きしめた。
「さ、やか?」
 少しだけ見えた杏子の顔は、いつも見る凛々しいものじゃなくて、どこか可憐で頼りない女の子みたいだった。
「もう、寝よう。杏子」
「あ、あぁ、そうだな」
 杏子の腕が包み込んできた。

 ――優しいおひさまの匂いがした。
スポンサーサイト
関連記事
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...



この記事へのトラックバックURL

この記事にトラックバックする (FC2ブログユーザー)


この記事へのトラックバック
この記事へのコメント


管理者にだけ表示を許可する
 




他ブログ情報

ブログパーツ