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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】last memory
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2013.03.31
それは暁美ほむらの決意のアラワレ。

skype上で行われたまどマギSSコンペ・フリースタイル部門の参加作品、テーマは『3000字以内』です。
スペース等入れると、まぁ3000文字超えちゃったんですけどね。



『ねぇ、ほむら……ほんとにこれでいいの?』
 とある準備をしていた私に、美樹さやかから、魔法通話がきた。
「……何が」
 作業の手を止めて、通話に集中しようと空見すると、日は沈み始めて、蒼と朱が混じり始めようとしていた。
「一体どういうことなの?」
美樹さやかは……何を疑問に思うのだろうか。
 もう始めてから、数日、数週間と経過しているのに。今更困惑もないだろう。それに罪悪感が生まれるわけもない。
『ま、魔女空間に誘われた少女たちを、そ、そのほむらが言ってた場所に連れて行くことがだよ!』
 あぁ、なんだ。そんなこと? 予想外のことだわ。魔法通話のために、手を止めていたのが馬鹿みたい。手を休めるんじゃなかった。
 でも――まさか、あなたがそんなことを気にするなんてね。
「えぇ、大丈夫よ。私の言う通りにすれば、あなたは救われるわ。上条恭介とずっと一緒にいられる。未来永劫――あなたたちの邪魔をするものなんて現れない、良い事づくしよ」
 だって私が少女たちを彼岸の世界へ導くから。
 そうすれば、少なくともあなたの周りだけは幸せでいられるはず。
 そうすれば、少なくともあの娘の周りだけは幸せになれるはず。
『でも、これって……人殺し』
 人殺し――確かにそうかもしれない。そうと呼ばれることもあるかもしれない。でもこれは必要なこと。フラグの一つなの。
 あいつがくるまでにやらなければいけないことだから。
「私は……そうは思わない」
 必要ない少女を排除して、必要ある少女だけを選抜する。
 そして、私の駒として一緒に戦ってもらい、そのまま消えてもらう。
 ――一体何が違うというの? あいつと契約することと……。
 魔法少女は所詮インキュベーターの駒、生贄、ただの餌。魔法少女として死ねば、ほんとにそうなってしまう。
 魔女空間で少女たちが死ねば、この世界から永遠に消失する。そこにインキュベーターの到来があるかないか――それだけのこと。
 だけど、人として死ねるなら、きっと幸せなことなのだろうと私は思う。少なくとも絶望なんてありはしない。
 それに……私は……人じゃない。人として死ねない。だから、逆に羨ましい。こうして人として最後を迎えられるなんて、ね。
 だから、はっきりと口にする。
「そうは思わないわ――救われるから絶対違う。それだけは信じて、美樹さやか」
 誰だって化物なんかになりたくないし、誰だって家族のもとに還りたい。それも綺麗な姿のままで、大好きな人たちの場所へ。
「魔法少女は、絶対の救いじゃない。あなただって見たのでしょう? あの娘たちの最後を――」
『……』
 魔法少女になったら、もう誰も誰かを救えない。もう誰も何も願えない。
――あるのは絶望って言葉だけ。
もしかしたら、そう思う前に消滅するかもしれない。でも、結局そんなのはごく一部――、誰かを救うために、生命を燃やすように魔力を全て開放するか、その姿を跡形もなく喰われるか、己が認識するよりも先に消滅するか。……少なくともそんな例外なんて、まともに訪れやしない。
魔法少女は孤独で、自分のことだけでも精一杯。
例えチームを組んでも、あいつに勝てはしなかったのだから。
チームがダメなら、駒として使うしかない。あいつにはそのくらいの覚悟がなきゃ倒せない。
もうこうするしか手は残っていない。
それに誰かを救いたいって動くなら、今しかない。
 ――魔法少女になる前に救うしかない。魔法少女になっては全てが遅い。もう取り返しがつかない。
だからその代償はこっちが全て奪う。インキュベーターが次に狙う少女を攫い、精神を破壊する。願いたいなんて、思わなくなるように飼育する。
 そして。
「別に私たちは、人そのものは殺してないわ。知っているでしょ? 倒しているのは魔女と、そして使い魔たち。私たちは何も魔法少女のルールからはずれていないわ。それに人としてのルールからもね」
『……それはそうだけどさ』
「大丈夫よ、佐倉杏子のような二の舞はさせないわ」
 そして巴マミのようなことにも。
『杏子……』
 美樹さやかの哀れみの声が聞こえた。どこか俯いているような錯覚がした。
だから、言葉を続けた。
「あなたが悲しんでも、何をしていたとしても杏子は帰ってこないわ、私たちは前に進むしかないの」
 誰も誇ってくれない孤独な道を――。
『わ、わかってるよ、そんなことっ!』
「そう、ならいいのだけど」
 わかってくれなければ、まどかは守れない。
まどかを守るにはどうしても美樹さやかが必要不可欠。それぐらい、幼少期からの友だちという存在は重要。あの娘が少なくとも犠牲になる選択肢を選ばないようにするには、美樹さやかが必要。削るわけにはいかない。

出会う前に消滅させた巴マミとは理由が違うのだから。

唯一の失敗は……、杏子が死んでしまったこと。
私が――私がもっと気をつけていれば、私がもっと早くたどり着いてさえすれば、あんな結末は迎えなかった。迎えるべきでもなかった。
杏子は……杏子もいなくてはいけない存在だったのに。
でももういない。……もうこれ以上代償は払えない。
だから美樹さやか。あなただけは失う訳にはいかない。
 まどかのためにも。
だから。
「あなたはそうして、ただ私の前へ導いてくればいいのよ。だから、例えこれが人殺しでもあなたには直接的に関係ないわ」
 彼女の負担を少しでも軽くする。いつでも落ち着いていられるように、変な考えを持たないように、笑っていられるように。
『でも、間接的ではあるんだよね?』
「えぇ、でもこうするのが彼女たちを唯一救う手立て。他に何もないわ」
 大丈夫だと、告げる。
『そっか、そうなんだ……』
「でも勘違いしないで、人々を救うにはこうするしかないのよ、魔法少女はもう私たちしか残っていないの」
 ほんとは違った。私のいうことを聞くモルモットたちがたくさんたくさん駒として残っている。
「……」
 でもそんなことを美樹さやかが知る必要はない。悔やむ必要なんてない。
 そんなもの、私がもうしたから――。
 たくさん泣いて、たくさん謝った。
 そして心を無にした。
 壊れないように、壊れないように見えない透明なフィルターをかけた。
 人間じゃない、魔法少女じゃないって思うようにしたから。
『ワルプルギスの夜がくるんだよね? 杏子が言ってたよ、確かさ、すっごい強い魔女なんでしょ? 魔女の結界なんて必要ないくらいにさ』
 ほんと杏子はお喋りなんだから、でもそれが杏子らしさなのだろう。
「えぇ、だから。あなたには期待しているわ。また何か進展したら呼んで、私は彼岸の世界を構成して、少女たちを守るから」
『おっけー、わかった。ほむらのところに誘導するよう仕向ければいいんでしょ?』
「えぇ、お願い」

 彼岸の世界――。
 真っ赤のようで、漆黒の闇の世界。
 私以外誰もいない。
 生きている人も、動く生物さえいない。
 あるのはただの肉の塊。
 引きちぎられ、毟られ、泥水のように悦を吐き出し、砕かれる肉の塊。
 元は何だったのか、今じゃ私にも想像がつかない。
 これが少女たちの成れの果てなんて、誰が思うのだろうか?

「――今度こそはあなただけは救ってみせるから、まどか」

 ワタシノタッタヒトリノトモダチ。
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