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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】飼い猫
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2013.02.10
明るい話を書こうとしたら、こんなお話になりました。

ほむらの部屋に、杏子がステイする話。


「……ふぅ」
 ここらへんで今日はやめておこうかと、空間描写した魔女マップを更新し閉じる。
「なんだよ、ほむら出かけるのか?」
腰をソファーからあげた時、杏子が言った。声の場所に目を配ると、その口にはチョコレート味のポッキーが咥えられていた。よくもまぁ咥えながらうまくしゃべれるものだ。
魔女マップを更新する前からしていたような気もするが、とはいってもそれとは違うような気がする。さっき食べていたのは、チョコレート部分がチップに包まれていたような気がする。
「えぇ――」
私の視線に気づいた杏子が、一気にポッキーを慌ててかぶりついていく。別にとって食べようとか思ったわけじゃないのだけど。
「はぁ……、あなたも付き合いなさい」
暇そうだし、荷物持ちが必要になるだろうし。
ほんとは、――ほんとはいらないけど、何もさせないのは癇に障る。荷物の重さなんてあってもないようなものだから。だといっても、無償の居座りはやっぱり癪。
「えっ? あたしはいいよ。適当に菓子食いながら待ってるからさ……」
 どうぞどうぞとわかりきった言葉が返ってきて、思わず頭痛がしそうだった。
それならばと、
「――居候なのに?」
言葉を増やした。効果はたぶんない。きっとというか、絶対的に。何度も言ったし、何度も耳元で呟いた。呪言のように繰り返してきた。
結果はやっぱりというわけなのか、
「それは関係ないだろ?」
杏子は予想通りに、変わらずソファーでゴロゴロと動きまわる。
「はぁ……」
 誰がここを掃除すると思っているのだろうか?
 お菓子を食べる分には、何も文句は言わない。食べることは人間として必要のあることだった――はずなのだから。だからといっても、なぜそこまでして部屋を汚そうとするのかしら? それとも部屋を汚すために私の部屋に居座っているのかしら?
 普通……ゴロゴロすれば、食べカスが散らかっていくのは否応なくわかるものなのに……。
「誰のおかげで毎日お菓子が食べれて、誰のおかげで――巴マミから離れられてるのかしら。そう、巴マミよ」
 そもそも杏子がここにいる理由である巴マミ。
 そこまで結果的にいえば考えがまわらなかったが、彼女にそもそも対処してもらえばよかったのだろうか? 忘れていたとはいえ、有用な人物のはず。
でも……いや、きっと彼女のことだ。『佐倉さんに任せるわ』みたいなことを言って、結局何もしない気がする。
 優しさなのか知らないけど、今回に限って言えば迷惑。
はやく引き取って欲しい――この大きな猫を。
それとも、しつけを巴マミにお願いすべきなのだろうか。
「マ、マミのやつは関係ないだろ!」
 大きな猫が毛を逆立て、威嚇してくる。その結果、ポッキーのパッケージが手からこぼれ、昨日掃除したばかりのカーペットに散らばった。
 別にいいのよ――杏子。私は――怒・ら・な・いから。
 でも、でもね。一つだけ許せないことがある。
「そう、ならさっさと仲直りして、早く帰って欲しいものだわ。今すぐにでもね? 私は別に構わないのだけど、早く出来るだけ早く帰って欲しいって――誰しも思うわ。当然のことよね?」
ここは私とまどかのために用意した部屋なのだから。邪魔者はさっさと出て行ってくれないかしら。
そうしないと、追々まどかも呼べない。私だけが一方的にまどかの部屋に行くことになる。それはそれでいいのだけど、まどかの家には邪魔者が多くて満足できない。
やっぱり私の部屋じゃないと――。
「なに、ニヤついて言ってんだ? 出かけんじゃなかったのかよ」
 意識が飛びそうになった私に向かって、ソファーにやっとまともに座り直した杏子が犬歯をちらつかせてくる。
ほんと、叩き折ってやろうかしら?
「ニヤついてなんかいないわ、絶対に。そう、美樹さやかを見るあなたみたいな顔はしていないわ。私はあなたたちとは違うのだから」
 そう――変な顔なんてしない。したとしても、まどかの前だけよ。笑う顔も、怒る顔も、泣く顔も、悲しむ顔も、つらい顔も、全部全部まどかのものよ。
「さ、さやか!? あ、あたしはお前みたいな顔なんかしてないぞ!」
 立ち上がり反論してくる。
「そう……それならいいわ、立ち上がったなら行くわよ」
 ついてきなさいと背を向け、手でジェスチャーするとため息を吐きつつも杏子がついてくる気配がした。
「まぁいいけどさ、どこいくんだ?」
 杏子が部屋から出るのを確認すると、鍵を閉める。
「そうね……、この時間だと駅前のスーパーが妥当のところよ」
 ちょうど日は暮れようとしているから、たぶん夕暮れの特売が始まっている。
「だったらさ、夕飯に提案があるんだけどさ」
「別にいいのだけど? 何?」
 荷物持ちにもメニューを決める権利くらいはあるわ。当然のことよ。それが猫だとしてもね。
「それは――」

 やっとのことで、駅前のスーパーまで辿り着くことが出来たのだけど……。
『夕飯に提案があるんだけどさ』
 杏子の発言から、どうしてこうなったのだろうか。
 たまたま巴マミとの買い物に遭遇し、たまたま後をつけ、たまたまこうして同じ食材を買い物カゴに入れていくなんて、偶然って恐ろしいわ。
 えぇ偶然よ。たまたま杏子が巴マミの行動パターンを理解していたなんて、偶然に偶然が重なった奇跡なだけ。私がまどかの家に行くと――いつも誰もいないのと同じ偶然よ。
 だから杏子の言葉は信じるわ。疑いなく……ね。
「ほいっ」
巴マミが牛乳を入れるのと同時に全く同じものを杏子が手に取り、カゴの中に入れ込んだ。
まるで連想ゲームね……。この場合は、連想したものがまるわかりだから全くつまらない遊びになるはずなのだけど……。もしかすると、ゴールにシュートするサッカーなのかもしれない? いや、ポストにいれるバスケットボール……?
でもなんで、
「そんな急いでいれる必要があるの……?」
「えっ、そうなのか? 何かこうやんのがさ、正しい気がして……さ」
 タイムラグがほとんどない。
「巴マミの姿を見失って焦るなら、話はわかるけど……。監視対象は大分ゆっくりだわ」
 これが戦いであるならば、タイムラグのない攻撃は大切なことだと理解できる。だけど、これはなんだろう? ただの食材集め。それをこんな俊敏に行う必要があるのかしら……?
 傍から見たら、変な人に思われるかもしれない。
 あぁ……、そうかやけに私たちの側に人がいないと思ったら、そういうことなのだろう……か?
「はぁ……」
「どうした、ほむら? ため息ばっかだぞ? 買い物に必要ないだろ、そんなの」
「あなたの……せいでしょ?」
 言った意味が理解できないのか、杏子が頭にはてなマークを浮かべる表情をした。本人だから、わからないのかもしれない。
「それで、どこまで巴マミと同じにするつもりなの? 私には巴マミのような料理なんて出来る自信なんてないわ」
「そうだよな、ほむらの飯はマミと比べるとぺったんこレベルだもんな」
 ぺったんこ……? なにそれどういう意味なのかしら?
「おい、ほむら! しらたき潰すなよ! 破裂して中身が出るだろ!」
「……そうね。食べ物に当たるのは良くないわね」
 危なく破裂寸前のしらたきをカゴの中へと戻す。……いつから握りしめていたのだろうか。
「巴マミに勝つために、徹底的に巴マミと同じにしてみようって話だったわよね?」
 確か歩いている時の会話はそんなんだったはず。
 そうして、こう巴マミと同じ夕飯メニューにしようとストーカーまがいのことをしているのだけど。
 どうしてだか、不安になる。
 相手の本質を知れば、戦いでも優位にたてる。
確かに大事だとは思うけれど、
「例え同じ食べ物を食べても同じにはなれないわ」
 同じ食材、同じ食生活を送ったとしてもその人にはなれない。
 だって、私はまどかになれなかったのだから。あの娘の匂いも、あの娘の甘い声も、あの娘のすべすべした肌も、何一つ同じになれなかった。虚しさが残るだけだった。
「でもさ、やれることはさやっておきたいじゃん。それが勝てる秘訣になるならさ、やっておいたほうがいいだろ?」
「そうね」
 それはわかっている。わかっているけど、たったそれだけで巴マミに勝てるだなんて思えない。
 安直な考えだわ。
 それはたぶん――杏子自身もわかっているのだろうけど……。口には絶対しないわよね? 美樹さやかの前だったら、わからないけど。
「巴マミの攻撃パターンから、攻めてに返る一手になればいいわね」
 これも安直な考えなのだろうけど。
「ずいぶんと他人ごとのように返すじゃねーか」
 ジト目になった杏子がこちらを睨みつけてくる。
「他人ごとでしょ!」
 とはいっても、巴マミの攻撃は一点集中砲火、そして周囲爆殺。
オールレンジに戦えるように考えられた魔法に隙はない。あったとしてもおそらく、それをカバーする何かを持っていると考えたほうがいい。
それに対抗するには――、
それこそ、時を止めるほどの力があれば。
それこそ、時を削るほどの力があれば。
それこそ、時を侵食するほどの力があれば。
その力があればなんとか出来るかもしれない。
その一つを持つ私が対峙したとして、巴マミを倒せるかなんてわからない。油断してない巴マミは誰よりも強いことを私はこの身で知っている。
どんなに同じ時を何度繰り返そうと、どんなに鍛錬したとしても、巴マミの強さは揺るがない。
だからこそ、
「あなたに対処出来るの?」
杏子に問う。策と手段がなければとてもじゃないが――彼女には勝てないから。
「そんなん当たんなきゃいいだけだろ」
余裕と意気込む杏子は自信ありげに笑った。確かに当たらなければどうとでもなる。
「それに――、一応手は考えてる」
「ロッソ――」
言おうとした言葉が、杏子の手で制された。
「その名を言うんじゃねーよ。あたしのはただの幻惑魔法だ。マミのやつにはすぐに気づかれるかも知れない。だけど、一瞬でも隙を作れれば十分さ」
「そう」
そんなに嫌う名前なのかしら? 私としては何でもいいのだけど、判別しやすくてむしろ説明するのが簡単だと断言できるわ。作戦を練るときにいちいち『あのあれでああする技を』と説明しなくて良いのだから。
そういった意味で言えば、巴マミの行動を作戦として魔法少女会議するときには便利。ただ――何語を言っているのか、私には理解できない。もしかすると、高度な魔法語なのかもしれない。
「なら、頑張ってみることね」
幻想魔法にどれだけ巴マミがかかるのかはわからない。
結局は――杏子次第。

「よしっ、食べたしそろそろマミのやつをいっちょ倒してくるかな!」
「はぁ……」
血なまぐさいことをいうなと。
そもそも仲直りするのに戦う必要なんてあるのだろうか。
こうするのが魔法少女で、こうしないのが人間。そう言われたら、そうなのかも知れない。
お互いの力をより信じ、より堅い物へとするために。――絆のようなもの。
「その間、私はまどかの家にいるわ」
「そうか、じゃぁあたしが勝ったら帰ってこないから」
 鍵閉めておけよと言葉を残して、ベランダから薄暗い街中へと赤い光が去っていった。
「さて……」
 ――まどかの家に行く前に少しくらい様子見ておこうかな。

気配を消し、魔法の反応があった場所に近づいてみれば、既に戦いは始まっていた。
さすがに巴マミも杏子から攻撃を受ければ、反撃するということなのだろうか。そもそも決闘を申し込んであったのかもわからない。それか何か気に触ることでも言ったからなのかしら。それだったら、後で杏子から聞き出さないと。毎日のように手紙を送りつけてやらないと気が済まないわ。
杏子のせいで、どんなにまどか分が足りなくなっているのと。
巴マミの大魔法『ティロ・フィナーレ』を杏子の召喚した大槍が砲身を貫き破壊するのを目にして、私はこの場を後にした。
「はぁ……」
結果はどうであれ、お腹を空かせた居候が帰ってきそうな――そんな気がしたから。

でも、その前にまどかに会いに行かなくちゃ。
約束だものね♪
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