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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】時間遡行の代償
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2013.01.14
ほむらちゃんが劇中で時間遡行したときの表情を見て、思ったことを書いてみました。


「ぅ……!」
 視界がうっすらと見え始めて、意識が目覚めていくのを感じた。
 ぼやけながらも戻ってこれたんだこの時期に――その自覚と共に、身体の自由を阻害する重力が、私を襲い始めてきた。
 時間遡行――という魔法による過去への帰還。
見慣れた光景が徐々に視界の中に写り出すと、
「はぁはぁ……はぁ……!」
 なぜだろうか――重力以外の何かが心臓を差してくるような痛みが全身を刺激してきた。心臓の病気ならもう無意味だというのに!?
 意識ははっきりとしてきてるはずなのに――痛い……、痛い……。
「くぅ……!」
 痛みの感覚を消しても絶えず、なぜか痛みが私を襲ってくる。
「なにっ、これ……!?」
 まるで斬撃を何度も繰り返し浴びるような刺激が身体中至るところからする。そのせいか普段流れることのない汗すら現れ始めてきた。流れないように身体をコントールしているのに……!
 まるでそれは身体から精神への反発のようだった。ある種の警告。
 人間という痛みではなく、魔法少女という存在への攻撃。
「くぅ……!?」
 今までこんなことなかったのにどうして……突然っ!? 今回の時間遡行に何か問題が起こったのだろうか――嫌な予感しかしなかった。
「何も――」
 変わるはずもない、私がかつていた病室に戻ったはずなのに……。間違いなく成功する魔法だというのに、一体どうして?
「うぅ……」
 私の視界には、何度見たのかわからない天井がある。天井の端にあるヒビも、コケのような緑のタイルも、タイルそのものの数も何も変わらない。逆に変わってしまったらおかしくらいだというのに、そんなこと起こり得ないというのに。
 なぜ――身体が痛むの。
「ぇう……!」
 日付はあの時から――ちょうど一ヶ月前。カレンダーでいえば、私の退院までもう少しという時期。きちんとその時間軸に戻ってこれているはずなのに。
 嫌な予感は現実となった――。
「くぁ……い、息が……」
 続かない! それに――身体に力が入らない。
逆に抜けていく気すらする! 思わずナースコールのボタンを押しかけて、反って冷静になることが出来た。
「っ――」
 空気なんてそもそも必要がないってことを思い出したのだ。
「ふぅ……」
 大きく息を吐き出し、
「すぃ……」
 大きく息を吸い込む振りをした。
ただの振りだから、当然空気が身体に入ってこないけど、深呼吸する動作だけ黙々と続けた。
 いくら空気を吸っても――私は死なない。
 落ち着くんだと空気を吸わない深呼吸を繰り返す。ただ念じる。
 何十回、何百回と続けると、
「はぁ……はぁ……」
 念が届いたのか、空気がいつの間にか身体の中に入り込んでくる実感が湧いた。空気の流れが私の中を血のように全身に伝わっていくような錯覚さえした。
 この間、一体何分になるだろうか。
 普通の人間だったら、おそらく気を失うか死んでしまっているかもしれない。
 少なくとも、それはあくまで人間だったらの話。そう――普通の人間だったら。
 だけど私たち魔法少女は――人間じゃない。
 人間という身体ではあるけど、本体はこの宝石――ソウルジェム。私たちはただの物質、物体、コンピュータでいえばただのデータとなってしまった。
 もしかすると、ただのガラクタなのかもしれない。
 インキュベーターが遊ぶただのおもちゃ、まさにガラクタ。
 でもガラクタだからこそ、死なないでいられた。
「ふぅ――」
 さて、あの娘を救う手立てを作らないと……、
「あれ……起きれない……?」
 身体を捻ろうとも、腰を浮かそうにもびくともしない。
 なんで、さっきは動いたのに!?
「えっ――」
 疑問が浮かぶ私の視界に何かが薄っすらと、見えた気がした。
 天井に映るはずもない何かがが。
 それは最初は単滅するように激しい閃光を放っていたが、徐々に落ち着き、 プロジェクターが映しだしたかのような四角い光のシルエットが写った。
 そしてその画面にテレビの映像ノイズにように白と黒が交差していく。
「まさか――」
 そんなはずがない。幻惑、幻想。そんなこと起こり得ない。
 でも、誰かの魔法だとしたら……?
 だとしてもどうして私なんかを狙うの……? 
この時間軸は私が魔法少女だと誰もそもそも認識できないはずなのに。それこそ巴マミだって、私の存在に気がついていないのに……?
「どうして……?」
 ちかちかと四角いライトがどこからか当たっているのか、天井がより強く光り始める。そして色のテストをまるでするかのように、赤、緑、青、黄色と切り替えていく。
「一体――」
気配を伺っても誰もいないように感じられた。息を殺して、耳を済ましても音一つすらしない。聞こえるはずの機械の音がまるでしない。
この光はプロジェクターですらないのか……?
そもそも、ここから見える時計の時間は午前2時。誰かがいたずらで遊ぶ時間じゃない……。
「これは……?」
 やがてその光は映画館の様に映像が流れ始めた。
 天井は私に一体何を見せるというの……? 
見てる時間はさらさらないというのに、
「くっ……!」
やっぱり身体は動かない。決定的な何かが外れてしまったロボットのように何も反応しない。
 いや……、目と口だけは動くといったところなのだろうか……? でも、それが一体何の役に立つというのだろうか。それこそ、本当の魔法使いなら、呪文の一つでもできるかもしれない。
 けど、私の魔法は盾に触れなければほとんど発動すら出来ない。
 天井の映り始めたのはよく知っている場所だった。
 確か、病院から近い公園だった……ような。
 あれは……、
「まどか……?」
 ピンク髪の少女が写った。制服姿で画面の中を走り回っていた。表情の余裕がない。
これはいつの時のことだろうか……?
 あの娘が走る機会なんて、体育の時間以外にほとんどないはず。
 だとすれば……、
「魔法少女関連……?」
 なら、これは今の映像なのだろうか。いや違うか、映像の中は明るい。太陽の光が夕焼けの赤。つまりは夕方。
 今と決定的に時間が違う。
 だとすれば、この映像はいつのことか、
「美樹さやか……?」
 画面が切り替わると美樹さやかが寂れた駅のホームのベンチの上で、一人さびしく座り込んでいた。表情に余裕がない。どことなく、落ち込んでいるようにも見えた。
そんなところで一体――何をしているのだろうか。
そのホームにまどかが走りこんできた。
そうか……、美樹さやかがいなくなって探していたのか。まどかは美樹さやかの隣に腰を下ろすと、笑顔で何かを喋り始めた。
そして美樹さやかから光を発すると、まどかが映像から飛び去っていった。
「ま、じょか……?」
美樹さやかの――魔女化。
まどかの想いもかなわずなってしまったというのか。美樹さやかは私の意見をまた聞いてくれなかったのか……。
まどかは……? 吹き飛ばされたまどかはどこに……?
映像がすぐにまどかの姿を映しだした。
「嘘……」
 映りだしたのは、血だらけのまどか。しかも動かない。床にうつ伏せ倒れて呼吸している様子がない。身体が微動にしない!
「ま、どか……?」
 そんなはずはない。こんな記憶は私にはない。美樹さやかの魔女化によって、まどかが生命を落とすなんて、決してなかった。
 これから起きること……なの……?
 映像が切り替わると、物語は全てまどかの死。
またまどかが動かなくなった。そしてまたその次もまた……また……。
「いや……いやだぁ……もうやめて……!」
 映像に次々とあの娘が死んでいく姿が映し出される。映像を止めることも視線を背けることも出来ない! どうしてなの……。
「やめて!」
 死ぬ形をかえて何度も何度もあたしの視界に覆いかぶさってくる。
 友だちに裏切られ、騙されて死んでいくまどか。
 友だちを信じ、その友だちに殺されるまどか。
 友だちを助けるために特攻して変わり果てるまどか。
 友だちのために友だちを犠牲にして朽ち果てるまどか。
「やだ……よぅ……」
 目を閉じても、あの娘の声が聞こえてくる。
 ――助けて、助けてよ、助けてくれないの?
 ――どうしてさやかちゃんを助けてくれないの?
「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて……!」
 ――どうして杏子ちゃんを見捨てたの?
 ――どうして、ほむらちゃん。
「くぅあ……」
 心臓が痛い……! もう痛みなんか感じないのに――、
「いたいよぉ……まどか……!」
 映像の中のまどかも同じ痛みを感じているのだろうか……。
「ま……ど……か……」
 気がついた時には、私は意識を失っていた。

 意識が戻った時、身体に不調は何もなかった。すこぶるということなのだろうか。それに映像が写っていた場所を調べてみたけど、魔法の気配も魔女の気配すらない。
何もなかった。 
私が見ていたのは一体何だったのだろうか……?
疑問しかわかなかった。
かりにわかったとしても、やることは一つ。それは見る前も、見た後も変わらない。
「まどか……」
 あなたを救う。たったそれだけのこと。
 私のたった一人の友だちのこと。
 洗面所で視力を回復させると、
「あっ……」
 ひどい顔をした私の姿が写っていた。
 目の下には黒いくまのようなものが出来て、しわのような薄い線が現れていた。度重なる汗の流れで出来てしまったのだろうか。
 身体に現れる問題なら、全て解決できる。
「ふぅ……」
 深呼吸すると、視力と同じように肌に魔法をかけた。
「ほんと――」
 便利な身体。
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