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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】杏子とさやかのアルバイト
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2012.12.09
アルバイトネタで、思いついてたものを。

「なぁ、さやかアルバイトしようぜ」
「へぇ……あたしは別に……」
あたしはドコからか聞こえる“その声”を聞き流した。気にする余裕もないし。だから、その代わりといわんとばかりに手元を動かす。
「ふふん」
あたしってば、勤勉学生ですからねえ。
こういう予習復習をしっかりとやっちゃうわけですよ?
……といっても、課題が出されてたのをすっかりと忘れていただけなんだけどさ。
恭介にCDを渡すってことだけは覚えてたんだけど、それ以外は頭になかった。CDショップでまどかに『課題があるよ』って言われなかったら、結構やばかった。絶対――忘れてたままだったよね。
「えっと、次は……」
まどかのノートを借りてよかったって、思う。それはもう感謝感激ってぐらいで。
そのまどか様の偉大なる答えをこうして、写させてもらってるわけ。持つべきものは親友ってやつ? 仁美に『美樹さんってば、それじゃ意味がありませんわ』って言われたけど。
確かにあたしもそう思う。
課題って言っても、結局自分の力で解かなきゃ意味がないってのは、わかってる。
でも……でも、今回ばかりは間に合う、間に合わないかってタイミングなわけで、だから急ぐ。時間は残り少ないのだ。
「なぁ、さやか、さやかってば!」
「えっと……わぁ、しっかし今日はよく揺れるなぁ。さすが地震大国日本ってやつですかぁ」
 地震のような揺れがあたしの全身を揺さぶるけど止まるわけにいかない。
だって、明日提出期限! なおかつ、日にち的にあたしが次に当たる番。あの先生は曜日で問題の解答者を指名するから、きっとあたしが高確率で当たる。席の位置でも、二つ前の席の人が当たったし……。
どちらにせよ、当たる……と思う。
それに忘れたら、難しい課題が出されるって話をまどかが言ってた。いやぁ、あたしはすっかりと忘れていましたけど! だからこそ、こうやって借りたってのもあるんですが。
「ねぇ、聞いてんのか?」
視界がやけにいつも以上に、ブレるけど。机にはまどかに借りた数式が書かれたノートと、数式の答えが書かれてないあたしのノートが置いてある。
はっきりと、その数字があたしには見える。
だから、その二つを交互に確認しながら、あたしのノートへ回答を急ぎ書き写してた。
文字通り写してるだけなのに、書き写す文字、数字が身体の揺れのせいなのか、ミミズのような変な線に変わってく。
見るのは大丈夫なのになぁ……。書くのはなんでこんなにぐねるんだろう?
文字が曲線として、ぐねっていく中、
「なぁ、さやかってば」
あたしを呼ぶその声が靄となって、ノートを上書いた。
Abbbbbbbbbbbbっていう、謎の暗号文字を。
「あぁもう……!」
地震、嫌な地震! ノートに勝手に落書きするなんて……! 高度な地震!
「おおーい、さやか……」
 暗号文を消して、正しい文字を書くと次のページをめくった。めくった先には、
「げぇ……、あと3ページもある」
 まだまだ、写さないといけないページがあって……。
 寛大なさやかちゃんでも、さすがにノート5ページに及ぶ課題量っておかしいって、思ったり。
「おい! さやかってば!」
「あっ、ちょっと杏子! ノート取んないでよ」
 地震があたしのノートを取り上げてた。
いや――杏子が。
 右に振り向くと、ノートを右手に持ち上げてる杏子の姿が目に入った。
 しかも――堂々とした状態で。
 あたしとの約束を守らなかったのに、なんでそんなに偉そうになってるわけ?
 話しかけるなって言ったのに、邪魔してきて。
 邪魔するなって言ったのに、話してきて。
 こいつはもう……!
 あたしは椅子から立ち上がると、ノートを奪還すべく杏子へと向き直る。
「返してよ! 終わんないでしょ!」
「だって、こうしなきゃお前アタシの話聞かないじゃん!」
 もしかして、こいつ話しかけられなかったから寂しかったとか? ま、まさかね……?
「いいから、返してよ」
「嫌だね」
 奪いとろうと手を伸ばそうとした途端、杏子の背中にあたしのノートを隠された。
位置的に……取れない……! 後ろに回り込むか、このまま抱きつくようにして奪い取る……かと、
「いや、聞いてるよ。いや、聞いてないけどさ!」
 その考えを悟られないように杏子に答えた。感が鋭い杏子には、意味がないかもしれない。
「どっちなんだよ!」
「き、聞く時間が……ない。だからぁ……返してよ、お、お願い……だから……さ」
 声のトーンが自分で下がってくのがわかる。どうしてだろうか。
「な、泣くなよ! わかったからほら!」
「うん、ありがとう」
 いつの間にか涙が出てたのか、杏子があたしの頬を左手で撫でた。
それでやっとなんで声のトーンが下がったのかわかった。あたしはなぜか泣いてたんだ。
 それを杏子に見られたのが嫌で、
「か、課題終わったら、は、話聞くから今度こそ待ってよね?」
 悔しかった。泣かされたということが。
 仕返ししてやろうと思った。でも、今はその時じゃない。
 だから、笑ってやる。
 無理やり笑顔を作って、
「静かにしててよ?」
 言い放つ。こうすればこいつはもう邪魔しないと思うから。もしかすると約束が破られたことで泣いてしまったのかもしれない。
 でも、理由はわからない。気がついたら、出てたのだから――。
「あぁ……、わかったよ。また泣かれてもしかたないし」
「な、泣いてないから!」
はいはい、と聞く耳を持たない杏子がベッドで寝転がった。
「だ、だからノート!」
「あぁ、忘れてた。ほらっ!」
「あっ、ちょ――」
寝転んでる杏子がブーメランのようにノートを持ち直し、
「投げないでよ!」
 あたしの制止の声も構わず、それが飛んできた。
「あ、危ない」
 ノートが本当にブーメランのように軌道を描いて、危なく外へと飛んでいくところだった。落ちていっても、何も問題……ないわけじゃないけど、落ちなくてよかった。
「さて……」
 ノートを元の位置に戻すと、課題を消化すべく、集中再開。

 数分の格闘のうち、見事課題を撃破。
 だからこうして、
「マミさんの家で食べれば?」
杏子から聞いた話に、回答をする。
杏子の話を要約すれば、ケーキが食べたいという欲望の話だった。アルバイトとは何だったんだろうとさえ、思った。
「い、今更どんな顔していくのさ! しかも、ケーキ食べたいから? そんなのおかしいじゃん」
「い、いやぁ」
 アルバイトっていっても、ケーキを食べれるわけじゃないと思うんだけど……。
 店員さんがケーキ食べてたら、売り物がなくなっちゃうような?
「あんたさ、アルバイトって知らないの?」
「知ってるさ、あれだろコンビニの店員とかじゃん?」
「そうそう、わかってるのにケーキが食べたいとかおかしくない? だからこそマミさんの部屋に行きなよ。最近仲良さそうじゃん、マミさんとあんた」
「そんなことねぇよ、マミのやつ小言ばっかりでうるさいし」
ケーキが食べたいから、ケーキ屋でアルバイトするのもどうかと思うけど。
だけど、ケーキが食べたいならそれこそマミさんの部屋に行けば、きっと出してくれると思うんだよね。
それはそれで一種の謎だけど……、毎回毎回違うケーキが出てくるんだよ。
おかしくない?
あたし的には、ケーキを食べにいくことよりもそっちのほうがおかしい。
それも自分で作ってるみたいなんだよね。今度教わってみようかな? かれこれ数十種類食べてきたけど、あたしでも作れるのかな?
杏子が息を大きく吸い込むと、
「そ、それでさ、これもらったんだよ」
 何もない空間から、白い袋を出した。
 ――魔法の力。
 収納に便利だけどさ……。何でも入れるのは良くないと思う。一番使ってるのは、あいつだと思うけど何かコツでも教えてもらったのかな? あたしにはうまく扱えない。
「何……これ?」
手渡されたのは、デコレーションされた白い箱が入ってるどこかのお店の袋だった。白い箱には可愛らしくリボンまで飾りとしてある。
「んっ……?」
箱を取り出してみたけど、思ったよりも軽かった。筆箱と対して変わらないような……?
「うーん……」
光に当てれば中身が見えるだろうという考えは虚しく、白い箱を蛍光灯の光に当てても見えなかった。
少なくとも、杏子が持ってきたから危険物ではないだろう。
いや……? あえて持ってきそうな気もするけど……。でもアルバイトと言ってるのだから、危険物はありえないか、なら……なんだろう?
とりあえず、四角い何かなのかはわかるけど? 
って、箱が四角いからって話だけどさ! 中身はもしかしたら、丸かもしれないし、三角かもしれない。
考えても埒があかないので、
「で、これは何なの?」
諦めて持ってきた張本人に問う。
「試供品」
試供品……? 何のだろうとそれを開封すると、
「えっ!? 美味しそう! でも、なんでケーキが……?」
箱の中には開けた瞬間、満たされるような甘い匂いを放つ、チョコレートケーキが一つだけ入ってた。
でも、これってよくわからない魔法の空間に入ってたんだよね? 大丈夫なのかな。
そんな疑問が浮かぶあたしに、
「バイトのさ……、説明受けた時にもらったんだ」
 嬉しそうな顔をした杏子が笑う。
「ふーん」
ちゃんと杏子って、話聞けるんだ……ってそこじゃないか!
もしかして……気前が良いお店なのかな? 普通説明聞いただけで、ケーキあげないでしょ? くれるんだったら、みんな説明だけ聞きにもといケーキを食べに行くと思うんだよね。
「でも、中学生ってバイトなんか出来ないでしょ?」
普通に考えればそのはずだけど。
「そんなのあたしでも知ってるさ」
「じゃあ――」
なんなわけ?
「さやかは何もわかんないやつだな。試供品貰ったんだからわかるだろ、普通」
「普通って……、あんたが言う普通て何よ?」
普通にわからないんだけど?
「だってケーキもらったじゃん。ならさ、そういうことだろ?」
はい? こいつは……。面倒くさくなったあたしは、
「はぁ? じゃあ何でもいいんだけど。どういうことなわけ?」
「ケーキを食べる仕事なんだよ」
「はぁ……?」
 何を言ってんだ、こいつは、とまさに思っちゃうわけで。
「なんだよ、その目はそういう仕事なんだよ。だからさ、学校でも許可してくれたさ。課外授業の一環としていいって言われた」
「えっ、聞きに行ったの?」
「うん」
 欲望に素直と言うべきなのか、相変わらずこいつは……。
「そ、それでさ、今日なんだけど、これから――」
「早いね? 時間とか大丈夫なの?」
「今から行くに決まってるだろ! ほら、さやかも行くぞ」
「はへぇ?」
 右腕を握りしめられたあたしは、
「ちょ、ちょっと!」
 そのまま玄関まで引っ張られ、そのお店まで来てしまった。
 課題は終わってるから、いいんだけさ。
 でもまぁ――ケーキを食べるだけの仕事なんて憧れないわけがないわけで、むしろいいなぁって杏子のことを羨ましく思いもしたから。

ケーキが次々と運び込まれていく中、杏子、その他大勢のカップルたちが感想と試食を兼ねてく。
「お、美味しい」
 あたしももちろん感想だけじゃなくて、その味の虜になりそうになってた。
「わぁ、わぁ、わぁ」
 杏子はといえば、壊れた玩具みたいに喜怒哀楽じゃなくて、喜喜喜喜と。同じ感情だけが表に出てた。顔もとてもうれしそうだった。
「……ありがとう」
 聞こえないくらいの声でつぶやく。
「ん……? 何か言った?」
「何でもない、美味しいって言ったんだよ」
「そう? 来てよかっただろ、さやかもさ!」
「そうね」
 それだけは納得。こんなことなら、もっと早く杏子の話を聞いてればよかった。なんてことを思い、違ったことも思い出した。
 ――仕返し。
 そうだ、あたしはこいつに仕返ししてやろうと思ったんだと。
「ふふぅ」
 そんな想いも知らない杏子がケーキにかぶりついてく。
あぁ、こいつはどうしてこうも無防備なんだろうか。
静かに立ち上がると、杏子の側へと寄る。そしてほっぺについた白いクリームまで近づくと、
「な、なななな! 何するんだよさやか!」
キスをするかのようにして、それを舐めとった。
「えっ? いやさあんたのほっぺにケーキのクリームがあったから……」
 そこまで驚くことないのに……。
「あ、あったからじゃない! ふ、普通に言うか、手で取ればいいだけじゃん!」
 何も口で取らなくてもとゴニョゴニョ言うものだから、
「っ!」
 今度は口うるさい唇を封じてやった。
「っあああああ!」
 口を離し、発狂してく杏子を見て、
「仕返しだよっ!」
 指をつきつけるのだった。
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