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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】負の螺旋
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2012.12.05
即興小説トレーニング(http://webken.info/live_writing/novel.php?id=51734)で
書いていたものをリライトして、杏子にしました。
元々、杏子とマミをイメージして書いていたこともあり。


「はぁ……」
お風呂場でシャワーを浴びながら、あたしは今日の失敗を思い出してた。
今回ので、何度目の衝突になるのか、もはやわからない。
そもそも喧嘩っていうものなのかも、わからない。
喧嘩――ただの口喧嘩。
そう言ってしまえば、そういうものなんだけどさ。
あいつは怒ってるようで笑ってるから、口喧嘩なのかさえわからない。
気にしてくれてる。それはわかる。
『どうしてこうしたの?』と聞かれるから。でも、それ以上何も言わない。
『しようがないわね』とあいつは笑うだけ。
こっちが怒り狂っても、――怒ってくれない。
怒って欲しいわけじゃないのに、なぜかイライラした。
だから、あたしが反感するように口を開く。
――いつも同じ。
ただあたしが一人で怒ってるだけ。そして勝手にその場から離れるだけ。
「何だよ……」
 怒ってるのも、気にしてるのもあたしだけなのか?
冷たいような、生暖かいお湯があたしの肌の全身を洗い流す。
――泡、抜け毛。
それらが、排水口へとただまっすぐに流れてく。
この憂鬱な気分でさえ、流してくれればいいのに――。
でも、そんなこと起こるはずもなくて、
「どうして……」
 どうして、あんなことを言ってしまったのだろうか。今更になって、言った言葉に不快な気分になる。自分が言った言葉なのにさ。
 あいつはさ、――あいつは別にあたしを貶そうとして、言ってるわけじゃないのに。それどころか、心配してる口でもあるはずなのに。
 素直になれない。
――素直に。その言葉が重い。
ちゃんともう前へ、一人で進めるはずなのに、あいつに対してはなぜかちゃんと出来ない。甘えがあるのか、何かあるのか自分でもよくわからない。
「あぁ……もうっ!」
 あの時はっきりと、あたしが、必死に絞り出して言ったのは、
『――うるさい、どっか行けよっ!』
 それがあいつに放つ言葉だった。
最悪だった。
自分が悪いのに何を言ってるのかって思う。誰だって自分の後始末ぐらい、自分で片を付けるものじゃん。それをあたしは全部あいつのせいにした。あいつがいけないと罵声したのさ。
――確かにあいつは口うるさいほうだと思う。比べるのが数人しかいないから、もしかしたら違うかもしれないけど……。
あいつは何に対しても、『どうしてなの?』と理由を求めたがる。それに何事に対しても、やたらとお姉さんぶるようにして接してくる。
何事に対しても理由を求めるってことはさ、健全な行き方なのかもしれない。人に合わせて生きるってことがさ、出来るかもしれない。お姉さんぶるのも歳の差があるし、仕方がないし、優しい気分になれるのかもしれない。
だけどさ、あたしにとってそんなのは関係ない。
「だけど……」
 ため息ばかり出る。
「はぁ……」
 身体を洗った泡が全て流れ落ちたことを確認すると、あたしは湯船にそのまま落下するように入った。
 水が跳ねる音がして、湯船からお湯となった水が溢れてく。
「……」
 水は気楽でいいよな……。
 ただ流れに沿って流れていくだけの存在じゃん?
 あたしたち人間ってのは、どうしても流れに逆らいたくなる。
 喧嘩したいわけじゃないのに、つい噛み付いてしまう。
 ――売り言葉に買い言葉。
 はじめはそう……。勝手にあたしがおやつを食べたことかもしれない。確かに黙って食べたのは悪いかもしれない。だけど、自由にしていいって言ったのはあいつで、そうさせてもらってるのが、あたしだ。
 だから……、いいはずじゃん。
 何を食べようが、どこで寝ようか。
あいつのお気に入りの食器を――割ろうとも。
「あれ……?」
 違和感があった。いつもとおなじお風呂だというのに。
 それはすぐに気がついた。
「あぁ――」
 いつの間にか、お風呂の栓が抜けてたみたいだった。
 水が渦を作り、一直線に抜け落ちてく。飛び込んで入った衝撃で栓が抜けたのかもしれない。
「……」
 あたしはもしかすると、この螺旋みたいな状態になってるかもしれない。
 考えれば、考えるほど辛くなる――螺旋の渦にさ。
 なら、
「さっさと――」
 謝ることにしよう。
 居候のあたしが出来るのは、ごめんなさいって言葉。それであいつが許してくれるかはわからない。
 でも、するって決めた。
 螺旋の流れに逆らわず、ただ水のように流れるみたいに。
 あいつはもしかすると、忘れてるかもしれない。
笑って許してくれるかもしれない。怒って叩かれるかもしれない。
 でも、今みたいにうずくまってるより――ずっといいじゃん?
 だから、お風呂場から勢い良く出た。

 身体を吹くのもせず、真っ直ぐに居間へと向かった。

「――。ごめんなさい」
 あたしの声に、あいつが笑ってた。
 眩しいまでの太陽みたいな――笑顔で。

 それもテーブルにはあたしの好きなケーキを用意して――。
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