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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】嘘という、偽りの心
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2012.11.23
ちょっとグロテスクな内容を含みますので、
苦手な方は閲覧しないこと

ほむほむがさやさやに拘束されちゃうお話です。


#Skype上で行われたまどマギSSコンペの参加作品、テーマは『「うそつき」という台詞を利用すること』です。


 暗い――電気がついていない部屋の中は薄暗かった。
 ただ窓から差し込む光だけは、薄暗い中でもしっかりと光を作り上げてくれていた。
だから、それ以外はとても暗い。そのためなのか窓から差す光は、薄暗さと交わり、光のカーテンを作り出しているかさえ感じられた。
 でも、それ以上にはっきり見えたのは、月だった。私の左にある窓から、月がはっきりとその形を確認できた。
綺麗なまん丸の満月がこちらを見つめるようにそこに存在しているみたいだった。
 一人きりでこんなにも綺麗な月を見ていれば、神秘的でなおかつロマンティックを醸し出す人のように思われるかもしれない。
だけど――、この部屋はそんな神秘的な部屋ではなかった。ましてや、ロマンスの欠片すらない。
「……」
どちらかといえば、殺伐的、怪奇的な部屋に違いない。色でいえば――、黒赤。邪悪な気配ともいうのかもしれない。
きっと、私以外の誰かがいれば、そんな風に思う。
「……?」
 光が差し込んでいない場所で何かが動いた。
それも――黒い影だった。
その影はこちらを睨みつけてくるような殺気立った視線を向けてくると、
「痛くないんでしょ?」
と感情のこもっていない低い声で言い放った。
蠢いていた影は人の形をしたもので――、私のよく知る人物だった。だからということもあり、
「えぇ、これっぽっちもね?」
問われた答えをいう必要がない。そもそも、彼女に対してはっきりと答える必要は元々ない。真実を伝えたとしても、私の言葉を信じてくれない人なのだから……。
でも例え彼女が答えなくて、私が答えないのであれば同じになってしまう。それは何か嫌に思えた。
だからできる限り感情を込めず冷静に答えていた。
――逆にあなたはどうなのか、私は元気なのだと問いかけるように、と。
その問いに答えるように影が動いた。月明かりに照らされ、その影の姿をあらわにした、青髪の少女。それも……赤く染まった見滝原中学の生徒だった。
「それに……あなたがこうしてしまったのだから」
 無表情を見せる青髪の少女に、毒を吐く。痛いというなら、痛いということをあなたがしたのでしょと。
毒を吐く以外のことはここでは許されていない。青髪の少女が許さない前に、私がそれを許さない。
「……」
 私の毒に、青髪の少女は答えない。影であった時と同じくして、私を睨みつけるだけだった。
私は青髪の少女、美樹さやかに手足を鎖で拘束され、身動きすら取れないでいた。
例外をあげるなら、息を吸う、言葉をはく、感情を押し殺す、悪態をつくぐらいは出来る。そう考えれば、決して何も出来ないわけじゃないのかもしれない。
いや違う……かな。出来ないように振舞っているだけ……、それも私を束縛している――美樹さやかのために。
 その気になれば、鎖なんて1秒もかけずに破壊し、この拘束から脱することができる。でも、それは意味のないこと。美樹さやかに毒を吐くためにこうしてつながれているのだから。
 その答えを知っているのかいないのか、
「そう……」
 美樹さやかが悲しげな声を漏らす。
そして満足がいかないのか、
「ねぇ――」
 美樹さやかがこちらへと迫ると、その姿が消えた。折角美樹さやかが見えていたのに、また影と化していた。それは月明かりが入る窓からこちらにある窓までが、遠いためだった。月明かりが入ってこない場所に入ったがための、――黒い影。
足音が近づいてくるのが聞こえると、次の瞬間には鎖がはじかれる音がして、異物が私の中に生まれていた。美樹さやかによって、それは明るみに現れた。影からの侵略、影からの誘い。暗闇からの出現はそういうふうにも見えた。
私の手に生まれた異物は、花が咲いたというべきなのだろうか。月明かりに白く反射していた。鎖によって、吊るされた私の右腕に一本の白い花。
綺麗な言い方でいえばそんなものかもしれない。
実際に右腕にあるのは――、白銀の細長い刃物だった。確かレイピアという名前。
そこから、赤いどす黒い液体が滴るよう落ちていく。私の身体に流れる偽りの……血という液体。
「……」
何回目になるのだろうか、私がこうして刺されたのは……。見た目的には、いつ死んでいてもおかしくない。喋ることさえ、嘘にしか見えないだろう。
私の身体は……、
何度も斬りつけられ、服が破られ、裸が現れ、そして傷口をつけられていた。
そして斬り裂かれ、破れ落ちた服が流れるように床へと落ち、流れだした血までもが地面へと重力に縛られ落ちていく。
地面にはもう何百リットルになるのだろうか、水たまりさえ作り上げている。その中にある破れ落ちた服は血で黒く変色し、元が何であったのかすら、判別できなくなってきていた。
残った服も額や胸などから生まれる血で、元の色などわからないくらいに赤化した。これが見滝原中学の制服だとわかる人はおそらくいないだろう。原型すら残っていないのだから。
そして極めつけは、風通しの良い穴が身体にいくつにも生まれたことだろうか。
私から流れる血が美樹さやかの足元まで達した時、
「大丈夫?」
心配していない声が聞こえた。私の顔の返り血で、美樹さやかの顔は血だらけだった。制服も同様に赤の斑点模様が生まれ、増え続けていた。
私は一息あげると、
「えぇ、大丈夫」
感情の入っていない声で返す。
「はぁ? 」
苛立つ声と共に左頬が痛さを感じた。
「……」
 実際には痛みはなかった。痛覚を遮断しているから。だから、驚きという心の痛みだった。
まさか叩かれるとは思いもしない。しかも音が響くくらいのもの。もしかしたら、腫れたりするかもしれない。
いや……しないか。傷が傷として生まれない身体なのだから。
なぜ叩いたのだろうか……? 癇に障ることを言ったからなのか、私が何をしても死なないからなのか? 
それらが複数重なり、結果的に美樹さやかは苛立っているのかもしれない。
いや……違うか。
――私が苛つかせている。故意に自分がなくなるよう仕向けているから。
まともな人をまともじゃなくさせるやり方を、行なっているだけ。死なない人間をいたぶる。その感触を味わせているだけ。
「これ何だかわかる?」
美樹さやかが動くと指先につまんでいるものが目に入った。月明かりに反射するそれは透明な液体が揺らめいていて、先端が細い物体。
よく見たことのあるものだった。
美樹さやかは、
「何かね? 身体が敏感になるものらしいよ」
親指で先端の逆の末尾にある部分を押し、その先端から液が溢れさせた。今から入れるというアピールなのだろう。――中身不明の注射器を発射するという。
「へぇ、よかったわ? っていえばいい――」
言い終わる前に、右頬が叩かれていた。美樹さやかの苛立つ叫び声が響くと、
「っ――!」
私の左手に注射器が刺され、中身が注入された。
効果はなんだろう……か?
麻薬の一種か、媚薬の一種か、睡眠薬の一種か。
でも……それが何であれ効果は出ない。正確にはあってもわからない……だろうか。すでに痛覚をなくしてある。薬の効果がなんであれ、同様にないものにできる。
――人形に薬を飲ませても、傷薬をぬりつけても意味がないように。
「ねぇ、どうしてなの?」
「……」
「どうして、何も言わないの? あんたがしたから? あんたがやったから何も言う必要がないって? 捕まらないし――」
 美樹さやかは一息つくと。
「何も感じないから?」
「えぇ、そうね」
「――嘘つき」
 その言葉に胸が痛んだ。胸の中のずっと奥底にある何かが痛かった。
「何が……?」
 望んだ答えではなかったのか、引き抜かれたレイピアの柄で頭を強打された。嫌な音が頭の中から耳へと届いたから、頭にひびかどこか陥没をしてしまったのかもしれない。それでもやめなかった。
「それで……?」
 どうしたの、と私は毒を吐き続ける。
 美樹さやかを揺さぶることをやめなかった。する必要があり、こうしてつながれているのだから。
「ウソつきウソつきウソつきウソつきウソつきウソつきウソつきウソつき……!」
痛みがまたした。
レイピアによって、突かれているという痛みじゃなくて、言葉の痛み。
――嘘つき。
確かに私は彼を殺していないから、嘘。
それも特定の人が、まるで私が殺したと判断できるよう修正して、誰が殺したのかわからないように隠蔽するほどの嘘を作り上げた。いわゆる殺人現場の改ざん。
誰が殺したなんて、私にはどうでもよかった。
なのに、私は――してしまった。
だから、嘘つきになるのかもしれない。

「……はぁ」
私が――上条恭介の病室に訪れた時には、すでに終わっていた。
たまたま、夜の警戒で街を巡回している時のこと。
「……」
異様な静けさが夜の病院はするもの。
確かに入院していた時はそんな考えが頭の奥底で疼き、支配していた時期もあった。でも、それは勘違いで、看護師さんがきちんとナースステーションに待機していて、何か起こった際の準備をしているものだった。
それを見てから、私の中で病院の静けさは怖さを失った。人間という暖かさを感じていた。
そのためなのか逆に、夜の街の方がよっぽど怖いと思うようになった。街の中は安全でない。どこでも危険が一杯。助けもない。
そう誰かが病院で話していたような気もする。人間が何をしでかすか、わからないと言っていたかもしれない。病院の中で聞こえる声は、外への恐怖でいっぱいにさせた。
だけど病院にいた老人たちと違って私にとっては、街は夜でも、朝でも関係なかった。それこそ昼でも関係ない。だからこそ、私は魔女の空間へと招かれてしまった。いなくなりたいという気持ちで満たされてしまったから。
でも、それは私が弱かったから。――人間であったから感じたこと。
今は何も怖くない。怖さを感じるのをやめた。
人間との関わりあいから生まれる恐怖よりも、まどかがいなくなってしまう……消失感、そっちのほうがよっぽど怖かった。
私の手の届かない場所に行ってしまうのがただ怖かった。
「なっ……!?」
だというのに上条恭介の部屋に入った時、私は人間の怖さを再確認することになった。
何……これ?
それが最初に入ったときに感じたことだった。
「っ……」
ひどい寒気を感じ、嘔吐感が増したけど、次第に何故か頭の中がすっきりしていく気がする。なぜか、口元が緩くなっていく気さえする。
「……」
この状況を使えば、まどかが魔法少女にならなくていい状況が作れるのじゃないかと。
誰のせいで、まどかが魔法少女になってしまうのかと。
頭に浮かんだのは、美樹さやかのことだった。
だから、私はこの状況を確認するように目を配った。
まず目に入ったのは、元の色が判別できないほどまでに赤く染まったベッドだった。そして何かの化学反応の匂い、シンナーのようなペンキの匂いに似ていた。
赤く染まったシーツは何か鋭いもので斬りつけられたのか、何本かのパーツに分けられていた。布団は重さにより、血溜まりとなった床へと落下していた。
そして、当然ながらそこに寝ていたはずの人物も同様だった。見るも無残な姿だった。看護師も呼ぶ人もなく、殺されてしまったのだろうか。もしかすると、この匂いが何か関係するのかもしれない。
原因を考えようと動こうとした私は、考えを改めるといつも身に着けている黒いヘアバンドを出現させた。指紋を消失させ、誰のものだかわからない状態へと変化させたもの。
ただなぜか――それは真っ赤に染まりきっていた。
でも、気にせずそれを枕元においた。
これで誰かさんは、私に突っかかってくるだろうと確信しながら、病室を後にした。
この場に黄色い髪飾り、お菓子の食べかす、甘い匂い。そんなものがあればまた違うことになったかもしれない。
私が無意識に片付けてしまったのかもわからないそれらは、病室に残されていることはない。
何もなかった。ここには黒いヘアバンド以外、何もない。

その結果が、今の私の状況だった。

病室後は、ひたすら待つだけだった。
くるのはわかりきっていたから。まどかが同じような状況になったら、間違いなく私も同じようにくるだろうから。
ただ待った。あの時のことを思い出しながら、口を開け、
「くやしいの?」
 毒をまた吐いた。
美樹さやかが息を呑みこみ、怒りをあらわにするのがわかる。無表情であっても、肩を震わせていたのだから。
「許さない。あんただけは絶対に許さない。殺してやる。殺してやる!」
どうやら、意思が強まったようだ。私を殺す意思が。
でも、残念だけどそれは不可能。
あなたは人間でも、私は――魔法少女だから。

 それから何時間、同じようなことを繰り返されたのかわからない。 度々、美樹さやかは叫び声をあげ、全身を震わせていた。爪で全身をひっかき、血を流していたかもしれない。そんな様子を私はじっと待っていた。
後少しで完成する――美樹さやかの自我が壊れ、魔法少女になる願いすら出来ない状態が。
その考えは、実現した。
 気がついたときには、美樹さやかは昏睡状態で病院に運ばれていたのだから。
私が救急車を呼んだかどうかは覚えていない。そもそも、どうして病院に運ばれたのかもわからない。
「ごめんなさい」
だって思い出すことよりもはやく、私はすぐに後悔することになったのだから。
 私は失念していたのだ。
 邪魔者を排除して平和を掴んだとしても、それを望まない娘がいることを。
 どんなことを言われても信じる、友達思いの優しいまどかのことを。
「ごめんなさい、ごめんなさい……美樹さん」
 時間遡行が終わりを告げるまで、私は詫び続けた。
 誰一人、欠けることは許されないし望んじゃいけないんだと後悔した。
 まどかを救っても、みんながいなきゃ意味がないんだと。

 でも、まどかを守るにはやっぱり――嘘をつくしかない。

 それも自分の心に。
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