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R.U.K.A.R.I.R.I | 【まどかSS】寂しさの代償
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2012.08.27
杏さやオンリー、まどほむオンリーお疲れ様でした。ありがとうございました。
今回、オフ会の二次会にて浮かんだ内容で作ってみました。
S○の話や、束縛の話やらと濃いお話でした。 
そのため、そんなへんな物語です。


「あっ――」
 抵抗もなく、魔法を発動できてしまった。それによって、幾万色にも拡大された光が室内を彩る。
「……できちゃった」
あいつに言われた通りにその魔法を実行したら、その通りになっていた。出来るとはこれっぽっちも思っていなかったけど、現実は成功していた。
――この目を食らうような光はその魔法が発動できたというあらわれ。
「……」
 よく考えてみれば当たり前のことだったのかもしれない。魔法少女にしたのはあいつで、魔法少女を理解しているのは何もかもキュウべぇ……。
――あいつ、ただ独りだけなのだから。
「あっ……」
 徐々にその輝きが収まり始めた。輝きがあった中心では、虹色の発光する球体が様々図形をなし、あたしが望む世界へと変貌していく。
その球体が重力に逆らうよう空に浮き、そして白く、ただ白く変わる。
結晶のようなきらめきがそこには見えるようだった。
 ――魔女の結界に似た、魔法少女の結界。
 それがこの球体の正体だった。
 あたしは抱きかかえていた赤い魔法少女を、その世界へと捧げるように持ち上げた。
脳裏によぎったのは細い体、そして想像以上に軽い体重。
「あっ……」
あたしの思考を遮るようゆっくりと赤い魔法少女が浮き上がり、結界の中へと吸い込まれていく。
「杏子……」
 結界と赤い魔法少女の杏子が完全に交わると、虹色の球体は消滅した。杏子の姿もどこにもない。
 逆に現れたのは――虹色から白へと変化した球体だった。
「……」
 これはあたしが望んだこと。誰にも強制されていないし、誰かにお願いされたわけでもない。あたしだけの願いだった。
 願いを叶えるために魔法少女になったことでなく、魔法少女になって願ったこと。
「杏子……」
 それになのに胸がなぜか痛んだ。わからない。こうしたいと願ったはずなのに、自分の痛みが理解できない。もうこれで誰にも邪魔されないし、誰にも奪われない。それなのに――、
「……っ」
 なぜか涙が溢れた。止めようとしても止めどなく流れる。
 こうしてしまえば、ずっと一緒にいられる。ずっとあたしの、あたしだけの杏子であってくれるはずなのに……。
「これでいいんだ……」
 涙を拭うとこれからのことを考え始めた。
けれども、これからどうすればいいのかわからなかった。もう誰にも相談することは出来ない。警察なんかに知られたら、きっと逮捕されてしまうかもしれない。そんなことになったら、家族になんていえばいいかわからない。
「……」
 あたしは――、杏子を閉じ込めた。動くことも話すこともできないそんな世界に。魔女と戦うこともなく、誰かと喧嘩することもない――無の世界へ。
 本当はこうするつもりなんて、あたしにはなかった。あたしの世界から抜け出せないように閉じ込められればいい、ただそれだけだった。でも、あたしは結局……、杏子から話すことも動くこともなくしていた。
 ただ――怖かった。
 杏子に何かを言われて鈍る自分が、そして恭介のことをどうすることもできなかった自分に優しい声をかけてくれることが――。
「……」
 恭介はあたしから離れた。違う、あたしが恭介から離れたんだ。話しかけられれば無視をして、自然と仁美と接触できるように仕向けた。仁美には恭介の好きな音楽、好きなこと……、全て教えた。
 そこからはもう簡単なことだった。元々仁美は恭介のことを好きだったのだから、二人はすぐに仲良くなる。
――仁美が恭介を好きなことに気がついたのは……、恭介が学校にまた来るようになってからだった。それを発見したのは偶然。
――恋する乙女の視線。そんな眼差しを仁美はしていたから。
 それが――あたしには眩しすぎたのかもしれない。
 病室という監獄から解き放たれた恭介も同じように眩しかった。あたしの助けなんて必要ないくらいに、自分で進んでいろんなことを始めた。
 だからなのかもしれない。自然とあたしが恭介から、距離を取るようになったのは。でも、どうすることもできなかった。動こうともあたしは出来なかった。
「……」
 ――助けなければよかった。杏子の言うとおりに恭介の手足を引きちぎって、もう二度と何もできなくさせてしまえばよかった。
「……」
 でも、あたしにはそんなことをする勇気なんてこれっぽっちもなかった。恭介を解き放ったのはあたしなのに、一緒に飛んでいくことができなかった。一緒に誰と飛ぶのか選ぶのは恭介。あたしがそれを強制することはできないし、一緒に飛べない結果を見るもの嫌だった。
だから、あたしは逃げたんだ……。仁美に任せるんじゃなくて、仁美にすべての役割を押し付けたんだ。一緒に仁美は飛ばないかもしれないし、飛ぶのかもしれない。
でも少なくとも、恭介の選択肢に仁美は入る。――あたしは入らない。
「はぁ……」
 白い球体をあたしへと引き寄せると、拡張させ小窓を作った。こうすれば、この世界の中にいる杏子がいつでも見られる。
「……」
 何もない白い空間の真ん中にあるベッド。そこに杏子が静かに横たわっていた。いかにも不審にしか思えない状況の中で、杏子はお腹の上で手を組み、微動だにせず眠っていた。人間的にいえば、死んでいるというのかもしれない。
――あたしが望まない限り、動くことも起き上がることもないのだから。
「杏子……」
 あたしの声はこの世界に届く。でも、杏子にはきっと聞こえない。この世界にいる限り、杏子は杏子ではないから。
「……」
 死んでいるように眠る杏子の身体。でも、死んだわけじゃない。心臓の鼓動は止まり、人としての温もりなんてないかもしれない。けれど、魔法少女としてはこれが生きている状態。
 ――戦うためのいわば、乗り物に過ぎない。
「杏子……」
 あたしは小窓を閉じると、あたしのソウルジェムの中に白い球体を隠した。これならずっと離れることもないし、いつでも杏子のことを感じられるから――。

☓ ☓ ☓

「他人と一緒にいられること……? 美樹さんは難しいこと考えるのね。でも、私たち魔法少女は同じ時を生きていられないのよ?」
 キュゥべぇに相談する前にあたしはマミさんに相談していた。
「相手が魔法少女であるなら、それこそ一緒にずっといられるかもしれないけど、相手がそれを望むかわからないわ。他人と一緒にいることが辛くなることもあるのよ?」
 マミさんは紅茶を飲みながら、現実を教えてくれた。人間と魔法少女は違うのだと――。
「そう……ですよね」
 マミさんを起点として、あたしはまどか、ほむらと相談していった。結局はみんな同じ事しか言わない。
 ――不可能だから、あきらめろ……と。
 そんなのは相談する前からわかっていた。だから、あたしは恭介から逃げたんだ。もう触れられることもないように距離を取ったんだ。
「教えてよ、キュウべぇ。あんたならわかるでしょ?」
 同意は求められなかった。けれど、教えてくれた。魔女も魔法少女は根本をたどれば、同じ存在。だから、結界の中に閉じ込めてしまえばそれこそ一緒にいられると。人間はそれでも死んでしまうと教えてくれた。
 なら、魔法少女なら?
 ――時間が止まった世界。
 そこなら、ずっといられる。恭介はだめでも、魔法少女である杏子ならずっと一緒――。

☓ ☓ ☓

 あれから数年経っても、あたしたちがやることは変わらなかった。人に害する敵を排除する。ただ、それだけだった。
 杏子のことははじめみんな心配そうに探した。当然あたしもその一人として探すふりをした。
「杏子なら、きっと大丈夫」
 そのマミさんの一言で、杏子を捜索しなくなり、そしてそのまま時が経過していった。
仁美は、恭介と結婚した。でも、もうその二人はいない。
 二人どころかあたしが友人と読んでいた人間はもう全員いなくなった。今いるのは、魔法少女となった少女だけ。
何百年も生きる人間なんてどこを探してもいないのだから。
「何百年こうして、私たちは戦うのかしらね」
「魔女がいなくなるまでじゃないですかね」
「そんなこと永遠にしか思えないのだけど……。そうね、もう一人いれば多少違ってくるのだろうけど……」
 ほむらがこちらを見てくる。
「ちょ、ちょっと暁美さん!」
 どこか慌てた様子のマミさんがその視線を割るように間に入った。それでもほむらからの睨みつけるような視線を感じる。
「別にいいのだけど、美樹さやか。あなたはいつまでその感情を引きずるつもりなのかしら? あと数百年――?」
「何を言っているの?」
 何のことを言っているのかよくわからなかった。
「あなたは気がついていないようだけど、みんな知っているのよ」
 一体何のこと……?
「暁美さん、何を言っているの? つ、疲れているんだわ。今日は解散しましょう」
 そういって、あたしからみんな離れていった。どういうことだろうか……?
 ほむらが去り際にあたしのソウルジェムを睨めつけていった。ソウルジェムを見てみろよとまるで言っているようだった。

――それであたしは理解することになった。

☓ ☓ ☓

「あっ……」
 なぜだろう。どうして気が付かなかったのだろうか。机に置かれたソウルジェムから、あたし以外の魔力を感じた。
 ――杏子の魔力。
 それがあたしのソウルジェムからはっきりと感じられた。
「な、んで……」
 いつからだったのだろうか。最初からだったのか、数十年、数百年経過した頃なのか……? あのときは確かに何も感じなかったはず……。あたしの勘違いなのだろうか……。でもだったら、
「どうして……、誰も何も言ってくれなかったの……」
 わかっていたのなら、どうしてみんな何も言ってくれなかったの……。どうして……、どうしてなの……。
「く……」
 ソウルジェムから結界を取り出すと――あたしは、結界を破壊した。
ガラスの破片のように白い障壁が散ると、崩れ落ちる。
雪のようにあたしと出現した杏子のまわりを彩った。
「……」
 何も知らない杏子がうっすらと目を開け、
「んー。あれ、さやかか?」
 昔と変わらない笑顔を向けてくると、
「なんで、泣いているんだよ?」
 あたしの涙を拭きとってくれた。

こんなことをしなくても――。
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