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R.U.K.A.R.I.R.I | 魔法少女まこと☆マギカ 1st step
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2013.03.18
魔法少女まどか☆マギカのスピンオフ作品としての1st step。

目が見えない少女が希望をえがくとき……とは。


2013/3/18 再修正 文言など

-1st Step-

「――さん」
 スピーカーから流れた声に反応した人物が立った音がした。
だいたい私の席から、二つ右隣といったところだろうか。靴音からして、ヒールの音……。
たぶん――若い女性の人だろうなと思いつつ、私は名前が呼ばれるのを静かに待ってた。
でも立った人がそもそも若いかどうかは私基準。
地面を蹴り飛ばす音が軽いか重いか。だからこそ、あっているかどうかはわからない。ただ、私がそう思っているだけ。実際は男……なんてこともあるかもしれない。
聞いたことないけど、履かないってことはないんじゃない?
「うーん」
 身体を伸ばすと骨が少し鳴った。結構座ってたからかな?
私は家近くの病院に来ていた。
簡単にいえば、私のいわゆる定期検査の日。
だからこそ、平日のお昼にも関わらずこうして堂々と待合室の椅子に座ってられた。一見すると『あの娘は何をしているのだろう? 学校は?』と大人からは見えてしまうかもしれない。
 だって、私が着てる服は病院近くの中学の制服で……なおかつ、まだ学校は授業中のはずだからだ。ということもあって、もしかしたら何か怪我でもしたのかと思われるかもしれない。
 とはいっても、平日であっても私は学校には行ってない。だって私が行ったとしても何も意味ない。そんなところにいても時間の無駄。
 だから、私は今こうしてる。
まぁ、この場合は検査日だからここにいるのだけどね。
学校ってめんどくさいよね、テストとかあるし……。
でも、そんなのは学校にいかない理由はたぶんならない。そもそもみんな同じことを思っていそうな気もするし……。
 一息入れようと、
「ふぅ……!」
 深呼吸して、前を見つめる。
 何もない、違うか……。私の前には白い世界が広がってた。いや、黒なのかな?
 それがどっちなのか、それとも別の色なのか判別できない。
理由は簡単だった、目が見えないから。
それも小さい頃から十五歳になった今年に至って、一度だって見えてない。途中で、一回見えるようになってまた元に戻ったというのを聞いたことがないから、おそらく生まれてから一度も見えてないってこと。
学校に行かない理由は簡単にいえば、そんな理由。
 黒板に書いてあるという文字や数字は見えないし、当然ながら体育もできないし、家庭科とかも同じ理由……。
だからそこに、その場所にいてもやることがないってのが――本当の理由。
やることはないというよりは、やることができない。できないのにそこにいるのは、他人に気を使わせるし、こっちもいい思いはしない。お互い良い気分なんてしない。
もしかしたら『なんでお前来てるの?』って思われてるかもしれない。
他人が何考えてるかわからない。けどいない方が確かなのは事実だと思う。
学校で何をしたらいいのか、誰に何を話したらいいのかわからない。だから、昔ちゃんと学校に行ってた頃は、誰とも話さず――ずっと一人だった。
『寂しくなかったの』って言われたら、そりゃ寂しかったけど……仕方ないって割り切るしかなかった。
 孤独だったのは簡単だった。
――話についていけないから。
私を気遣ってクラスメイトが声をかけてくれることはあったけど、なんて声を返していいかわからなかった。その話題のものが何なのかわからないし、有名人の話をされても誰だかわからない。声だけで誰か分かる人は何人かいるにはいるけど、そんなのは話題に入れる材料にさえならない。そこまで記憶してるわけじゃないし。
そもそも『あの人かっこいいよね?』と言われても基準がわからない。『声がいいよね』ならまだしも……。その後の『しまった』みたいな沈黙も痛々しかった。
だから、ずっと学校で一人だった。一人で教室の椅子でただ黙りとしてた。人の会話は雑音。そう認識して――。
時間の無駄というよりかは――暇だった。何もしないでただ学校が終わるのを待つのは、ある種の苦痛だったかもしれない。
本当は盲学校に行くべきなのだけど、普通の学校生活をして欲しいという理由でお父さんとお母さんが考えて入れてくれてたみたいなんだ。うれしさは当然。でも、今となっては悲しさの方が強い。
とはいっても、今年でそれも終わり。来年からはもう義務教育じゃなくなるからどうしようかという感じなのだけど、今のところは何も考えてない。
もしかしたら目が治るかもしれないし、……そうすればできることの幅が広がる。
そう、治ればの話だ。たられば話なだけ。
「真、飴舐める?」
 左から声が聞こえた。いつも優しく声をかけてくれるお母さんの声だった。
 息遣いとこちらを見ているという視線を左から感じた。
「うん、でももうすぐ先生に呼ばれるんじゃない?」
 病院の待合室に入ってから、だいたい十分ぐらい経ったと思う。体感的にいつもだと受け付けてからこのくらいの時間に呼ばれるはず。だから、頭を左右にそれに答えるよう振った。
「そうね、でもそしたらすごく長い検査の時間があるから、何も食べれなくなるよ? だから少しでもお腹の中に入れておいたほうがいいじゃない? お母さんはそう思うな」
 それもそうだと考え、今度は頭を縦に振りながら、
「そうーだね、じゃぁもらおうかな。何味があるの?」
 と言葉を返した。
「ちょっと待ってね」
 お母さんがカバンを触ってる微かな布の擦れる音が聞こえる。
「りんごと、メロンと、レモンかな、あとはハッカかなぁ」
 ハッカって……、それはお母さんの趣味で私は嫌いだってのにと考えた末、
「うーん、それだったらメロンかな」
 それに答える。私の声を聞いて、お母さんが飴の包み紙を切り裂く音が一瞬だけ聞こえた。
「口を開けて」
「あーん――」
私が口を開けると、お母さんが一回だけ私の肩を叩くと口に異物が入ってきた。
――甘い。
異物といっても飴なので当然の味だった。世の中には甘くなくないものというよりも、まずい飴があるらしい。
まぁ、それは私にとってはハッカ飴がそう。味云々の前にあの匂いが私はダメ。やっぱ、果実系がいいと思うの。
「あむ」
『肩をたたく』が私とお母さんの合図だった。
目が見えない私は何かの接触がなければ何もわからない。おそらく、何もなければ車にすぐ引かれたり階段で転がり落ちたりするかもしれない。
だけど、それは実際起こらなかった。今となっては当たり前のことかもしれないけど、電車にはそこから先が危ないって知らせる床があって、階段にはスロープと手すりもある。だから、別に注意していれば普通の人と同じように生活できる。
今では階段ではなく坂道にしてくれていたりするからなおさら過ごしやすいね。
「八上真さん」
 お母さんとは違う女の人の声が受付に響き渡った。
「はいー」
 お母さんが私の代わりに返事をすると、布のこすれる音が聞こえた。おそらく席を立ったんだろう。
 別に私が返事をすればいいのになぜかいつもお母さんが元気よく答える。気にしていないし、別にそれでもいいとも思ってる。そもそもそういうルールはどこにもないはずだし……。
「真、いくよ」
 お母さんが私の左肩に手をかけた。
「うん」
 私は椅子にかけておいた白杖を右手で手探りして掴む。とはいっても、わかりやすいよう私に触れていたためそんなに時間はかかっていないと思う。あまり時間をかけてお母さんを困らせたくない。
「よしっと」
席を立つと、肩にのせられたお母さんの手をつかむ。その手はいつもと同じで温かい。優しい香水の匂いさえする。
そして、その手に引かれるように病院の先生がいる部屋へとゆっくりと歩き始めた。
途中、テレビの声なのかわからないが、台風が近づいてきてるらしい天気予報みたいなのが耳に入った。

「八上さん、今日は全身の検査と新薬を試してみましょう」
 診察室の席に座ると、先生が明るそうな声で話してかけてきた。声はわりと低い声でなかなか渋いと私は思ってる。名前は忘れたけど、私の主治医だ。
人の名前を覚えることが苦手な私は声をよく聞くお医者さんという認識で頭に入れていた。名前はいつか覚えるとは思うのだけどね。でも別に困ったことなんて一度もないし、今後も変わらないように思えた。
一応、男の先生だというのはわかってる。
でも実は女でした! ってこともあるかもしれない。男の人でも声が高い人がいるし、女の人でも低い声の人はいるみたいだし。
それぐらい割りと曖昧に先生を認識してた。というよりか、興味ないもの全てを曖昧に感じてる気がする。認識しても耳からの情報だけじゃ、正しいかわからないから。
声ってボイスチェンジャーや機械音で、性別はある程度誤誤魔化せるとか、あの娘に聞いたことあるし……。
「先生、新薬の効果どうなんですか?」
 お母さんがそう先生の問いに答えた。当然の問いだった。私も気になる。
「うーん、効果ですか。基本的に人体に影響がないもので活性化させるものとしています。それにこれは飲み薬ですので、いつもみたいにお子さんの身体に触れたりすることはないかと」
 人体に影響があるのを渡したら、違法とかになるんじゃないのかなぁ。いわゆる違法ドラッグみたいな。
「そうなんですか? それって普通なんじゃ?」
 と、思ってたことが口にでてしまう。なぜか問いに答えた私が何か見られている気がする。
「どうしたの、お母さん?」
「な、何でもないのよ」
 そうは言っても、声のボリュームがいつものと比べて低い。どこか声が震えてるような気もする。
「そうなの?」
「じゃぁ、八上さんはこちらに来ていただけますか? いつものように先導いたしますね」
 看護婦さんが一言私の後ろからそう言うと左肩を叩いた。
それは私の問いを結果的にはぐらかすことになった。でも私は誘導されるがままに、
「はい、わかりました。お願いします」
 丸椅子から立つと、看護婦さんの手を掴み部屋から出た。
どこからどこまでが部屋なのかは、音の震えの感じから理解できてた。先生の部屋は静かで、フロアは若干うるさく、機械音があるところは、私の身体を調べる機械があるところ。
習慣というべきか、長年の苦労というべきなのか私が行ったことある場所限定なら音だけでたぶんどこだか感知できると思う。それぐらいここは通い続けてる場所。
 看護婦さんに連れてこられた場所は、身体全体を調べる機械のある部屋だった。
だからそこがどんな部屋なのか、機械音だけでもうわかった。私の身体をスキャンする機械がある部屋。名前はあやふやで覚えてないけど、寝ていればデータが出るそうだ。注射しないから楽なことだけど。
 人の形がわからないから、一体どんなデータが出るのかな?
そのデータを見られる日は一体いつになるんだろう。

定期的に電子音が鳴り続ける。リズム的なもので、耳に入ってもそれほど耳障りのものでなかった。ピーというテレビなんかでよく聞く音。
これが後大体300回ぐらいなれば次の検査。今までこうしてこの機械を何回ぐらい受けたのかは忘れたけど、後どれくらいでこれが終わるのかはわかる。
だからといって、何も意味はないんだけどさ。場合によって二回目をしたり、別の部屋で検査したりする。
……目が見えない人はこんなに検査が必要なのかな?
 そんな疑問は当たり前に生まれて、当然いろんな人に聞いたことがある。でも、結果は当たり前という返答を皆がした。だからそうなのだと思うしかない。
「……」
動かないのはとても退屈……。
だけど、動くわけにはいかない。
この検査は私のためにやってくれてるのだから、お母さんにも先生にも看護婦さんにも迷惑をかけてしまう。
だから、次のちくりと痛みが走る検査も堪えきれる。そう、全ては私のためだから――。
「今何時ぐらいですか?」
私はできるだけ頭を動かさないように尋ねた。そして、注意するようになるべく身体も動かさないようにした。
「だいたい、13時ぐらいです」
スピーカーのような肉声を帯びていないのが耳に回答して入ってきた。
「ありがとうございました」
 この部屋には私以外に誰もいない。もしかしたら、私がわからないだけでいるかもしれない。声を潜められたら私に確認のしようがない。とはいっても、耳を済ませても機械音がやっぱり大きい。
「この部屋には八上さん以外誰もいないので、リラックスしてくださいね」
 一番最初に確かそんなことを言ってた気がする。とはいっても、そんなもの数年前の話。間違ってるのが大半。
あの時は幼稚園ぐらいの頃だったっけ? あの時は、何時間も今みたいにじっとしてるのが足りなくてお母さんを困らせたものだ。
 子供にリラックスとか、動かないでっていうのは今思うと残酷なような気がする。暇で暴れたくなってくるものだ。今もそうだし。
 でも、
「あっ……」
 いつからかな、こうして目がゆっくりとぼやけてくるようになったのは。
「んっ……」
眠気が――私を襲うようになったのは。
たぶん、これは子供の頃に自ら開発した時間をつぶすための防衛本能かもしれない。
最初のころはお母さんがスピーカー越しに何か話してくれたような……。
これもうろ覚え。
そんなことを考えていたら、私はいつのまにか眠っていた。

 夢を見てた。
それは夢だと、簡単にわかる夢だった。
 目が――見えたから。
だから、おかしいって思った。
それは私が世の中って、こういう景色なんだろうなっていうそのイメージまんまの景色がそのまま描写されてたから。
間違いないってのが、夢が夢だって際立てるっていうんだろうな。
 夢が夢とわかれば、起きるかそのまま目覚めるまでその中を彷徨うかの二つになる。だから、私は漂うことにした。検査の途中だったような印象が強かったし。
 その世界では色んな動物がいた。まぁ、私の想像上の動物。
私のことを友だちと呼んでくれる動物もいた。
でも、これは夢の中。
「だから、夢から覚めてしまえばもう友だちじゃない」
そう言った瞬間、不思議と夢から覚めてしまいそうだった。
それがあまりに現実と違うってのもあるし、もう会えないというショックからかもしれない。
『友だちはいないのか?』って聞かれたら……。
「いる」
 と、声をあげて言う。
 当然といえば、当然だけど……学校の友達じゃない。悲しいことなのかな、学校行ってない人間に。まぁ学校の友達ができない。
普通そうでしょ?
病院内で知り合った友だち、女の子だった。
その娘は同じように病院に通っている通院友だち(命名:私)。
確か来年で中学生になるはず。私とちょうど入れ替えの形で入学するはず。
あの娘が中学校にいれば、私のつまらない学生生活も少しは変わったのかな?
でも――少し考えてみるとほぼ確定で、それは『変わらない』といえちゃう気がした。私にとってあそこは意味なんてないから。あの娘がそれを変えてくれるようにも思えない。それはあの娘が持ってる問題が大きいからなのかもしれない。
あの娘“国田ユタカ”は私と違って目が見えた。
だから、運動であっても期末試験であってもきちんと受けられる。
じゃぁ何が問題で、どうして私なんかと通院友だちとなってるのかっていうと、ユタカは口が聞けなかった。喋れない病気だった。
――それだけの理由だ。だから、ユタカと学校で話すことができない。
私と同じように小さい頃からずっと話せない。と聞いてる。
とはいっても他の部分は全く完璧と言えちゃうくらい健全で、運動もしてるとかなんとかって話。
だから、運動できない私にとっては、ちょっといいなぁって嫉妬。でも、やっぱ言葉が伝えられないから大変とかって話してくれた。
――話してくれた。
そう話せないユタカは話すことができた。それは条件的状態のみだけの限定。
だからこそ、学校でもし出会っても何も変わらなかったし、ずっと触れ合うことは出来なかったって言い切れる。
口が聞けないユタカと、目が見えない私。
どうして友だちになれたのか? というかどうやって会話をしているのだろうと普通は思うだろう。当然、私が当事者でなければ同じ疑問を浮かべると思う。
それはまぁ、単純に私とユタカを通訳する人がいるだけのこと。
――私とユタカのための通訳。
なんとなくそれっぽい名称をつけるとかっこ良く聞こえるけど。大体はお母さんかユタカのお母さん、看護婦さんがそれぞれ通訳してくれてるのでそんなかっこ良いものではないかもしれない。
だからこそなのか、ユタカと呼ばれる少女。そんな少女なんて本当はいない。病院というよりか両親が私のことを考えて……、孤独で寂しくないように嘘をつく。そんなことも昔は考えた。
だけど、ユタカの肌の温もりや吐息を聞いたことがあるから、それはありえない。
喋れないわけじゃない。その声は掠れていたけど、私はその声を確かに聞いた。だからユタカは実在してる少女って私は思ってる。
こんな話を昔ユタカに話したら、思いっきり笑われたなぁ。そして、思いっきり手をつないでくれた。私はここにちゃんといるよって温もりをくれた。
だから、彼女はここにいる。目が見えればそれがはっきりわかるのだけど、それはいつになるかな。
どっちが早く治るかな? なんてこともよく話す。本当はもっともっと話したいことがあるんだけど、通訳って間がある限り話す機会はなさそう。
それはたぶんユタカもそう思ってるんじゃないかって私は思ってる。
それを思い出しながら私は、アラームのような目覚めの音と共に目を開けた。

「何の音……?」
 病室内を大きな音……警報のようなものが鳴り響いていた。
夢見も悪かったし、耳障りな音。
しばらくして、それは何事もなかったように止まって、いつもと同じ機械音だけその部屋に響いてた。
「八上さん、起こしてしまったようですね。申し訳ございません。機械の調子が悪いようだ。この検査はまたの機会ということでお願いできますか。誠に申し訳ございません」
 寝る前と同じようにスピーカー越しの声が聞こえた。
「はい、わかりました」
 それに答え、動こうと手足を動かすと、
「あれっ?」
 何かに引っ張られるように腕と足が上がらなかった。正確には手首と足首か。何か強いものに引っ張られてるみたいだった。
「んっ? すみません、起き上がれないんですけど……」
「あっ! すみません。今すぐ拘束を外します」
 ――拘束? 一体何のことだろう……?
しばらくして、扉が開く音がした。聞こえる足音は2人分だった。
『すみません』って言葉が頭上から声が聞こえると、何か硬いものがこすられるような音も至る所から聞こえ始めた。
 何だろう?
それが合計8回ぐらい聞こえ終わると手が軽くなった気がした。スピーカーで話してた人と誰だろうか。
――看護婦さんと先生かな?
「ん……?」
 持ちあげると先ほど違って簡単にあげることができた。いったい何が……?
「もうちょっと待ってくださいね。ほら、お前そっち解け」
 足元に人の声が移動した気がする。
それを聞いて、さっき言ってた『拘束』という言葉が気になったので、おそらく手首ぐらいにあっただろうとそれを探すことにした。
 確かここらへんに……、
「……?」
 下の方からさっきと同じような音が2回聞こえる。3回目が聞こえそうになった時、それをつかむことが出来た。
触り心地は、とにかく硬いってこととそれと輪ゴムみたいな触感だった。
「……あぁ、これかい?」
 その声が聞こえると、掴んでたそれとは違って丸いものが握り締められた。奪われたって言ってもいい。どうやら、私が白杖を探しているものだと勘違いしたみたいだ。
「あ、はい」
 もう少し何だか調べてみたかったけど、仕方ないって判断して音がまた合計8回鳴り終わるのを待った。
「では、お母さんのところに連れていきますね」
 ここにくる時と同じようにきちんと立たせてもらうと、その部屋を後にした。

 ――何十回と受けた検査の中で警戒音が聞こえて、なおかつ拘束されるという状況だったのはこれがはじめてのことだった。
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まとめwoネタ速neo at 2012.05.13 18:40
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