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R.U.K.A.R.I.R.I | くずなほむらがいたら…… その1
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2012.07.21
2012/07/21 コミケ82用に修正したため、一部変更


くずなほむらちゃんがいたら という魔法が
関係ないまどか☆マギカの世界を書いてみました。
その1となります。
 
※それにあたって一部キャラ崩壊しています


  ――これは、あったかもしれない、くずな暁美ほむらの物語。
 いや、あって欲しくない物語の1つかもしれない。

☓ ☓ ☓

 教室内が生徒たちの楽しそうな話し声で満たされていました。騒がしいのはいつものことですが、今日はいつもに増して賑やかでした。期末試験が終わってからそれほど時間が経っていませんし、今日の授業も終わったことですので、それぞれ特別な思いがあるのかもしれません。誰だって、休みという言葉は甘い言葉でいっぱいです。
私はというと、さやかちゃんと仁美ちゃんの三人で帰りにどこに行くのかをまさに話していました。『最近出来たデパートが特にきになるね』と、さやかちゃんが嬉しそうに話しています。仁美ちゃんは『習い事があるので途中で抜けることになるから残念ですわ』と逆に表情を曇らせています。私は笑うばかりで二人が『ここがいいよね』『いえ、ここじゃないかしら』とデパートのパンフレットをあっちこっち指さす様子を眺めていました。
 いつものことだったら、ここにほむらちゃんもいるのですが今日は朝からずっと何かをノートにメモしているようで、自分の席に唸るようずっと座っていました。話しかけるのも気まずかったもとい、話しかけないほうがいいだろとさやかちゃんがいうので今日は触れていません。
でしたが、時折ほむらちゃんの姿を見てみると、何か楽しそうにニヤニヤしながら何かを真剣に書いていました。買い物には誘うつもりでしたので、帰りのホームルームが終わった後に声をかけるつもりです。それに何をしていたのかも気になりますので。
「ほら、静かに! 帰りのホームルーム始めるわよ」
 先生が入ってくると、みんな一目散に自分の席へと戻って行きます。それと一斉にしてあんなに大きかった声がぴたっとなくなりました。いつものことなのですが、先生というのは偉大なんだなぁと思います。私も注意される前に、自分の席へと急いで戻りました。先生は一度咳払いをすると、
「最近、女性物の下着を盗む事件が市内に流行ってるみたいだから、みんな注意してね。鹿目さんでしたっけ、最近あったのは? 他のクラスにも盗まれた娘がいるようです。いいわねぇ、若いって……。先生も一度くらいそういう気分を味わいたいわぁ。私だって、昔はそれはそれは……」
 私に視線を合わせ口にしていました。それと共にクラスの大半が私の方を向きました。
「えーとですね……」
 そうなんです。ここ最近なぜか私の下着……、――特にお気に入りのものがなくなっているのです。これといって被害届は出してなかったのですが、ママが一応こういうのは犯罪だから学校と、警察に連絡するといって現在に至ります。パパは一度ママに怒られていました。『娘の下着も守れなくてなんたることか!』 『タツヤも一緒に洗濯物を見ていたのでそういうことはないはずだよ』とパパは自信ありげに反論していました。
そういえば、ママと一緒に警察署に行ったときですが、私以外にも同じように下着泥棒被害にあわれた人たちが多くてびっくりしました。それも私と同じ市立見滝原中学校に通う女子生徒で更に驚きです。その中にほむらちゃんもいたのが印象深いです。ほむらちゃんは私と違って、学校に報告はしていないようで、こうして私だけがみんなに注目されてしまう結果になってしまいました。……ママに文句を言いたい気分です。でもママは心配してやってくれたことなので文句は決して言えません。
「あの、……その、えっと……」
みんなの視線を感じて、とても恥ずかしい……。隠れる場所すらなさそうです。
「ねぇ鹿目さん?」
 先生がニッコリとこちらを見て笑います。営業スマイルというやつでしょうか。それとも何かいいことがあったのでしょうか。
「あっ……! 先生もまだまだ大丈夫です! ね? みんな」
 そういって、私の視線が先生へ移り、なんとか落ち着きを戻すことに成功しました。『ほぁ』と息をはいて、なんとか高鳴った心臓を平常心に戻します。
先生がゴキゲンなときは『主に男関係よ』とさやかちゃんが私に話してくれたことが頭の中をよぎります。つまり、何かきっといいことがあったのでしょう。少なくとも朝の連絡の時は、すごく元気がなさそうなとても暗い表情をしていたのがまだ記憶にあります。
 ――今は帰りの時刻です。きっと、朝から現在までかけての数時間に何かがあったのかな? お見合いの話が前にあったとかなかったと男子たちが話していたから、きっと、その話がうまくいってるのかなぁなんて思います。
「あっ」
 さやかちゃんと目が合いました。さやかちゃんも同じような考えをしたのでしょうか。ちょっと気になってほむらちゃんの方も見てみると、下を向いて何かを見ているようでした。ほむらちゃんはなかなか心の中を出してくれないので、今何を考えるか相変わらずさっぱりです。
 朝から何をやっているのでしょうか……、ちょっぴり寂しさを感じます。
「だから、女子生徒はみんなそれぞれ防衛策をこうしてね。一番いいのは部屋の中に干すことだけど、それでも取られた娘がいるみたいだから安心できないみたいね」
 先生が言っている途中にもかかわらず全員が一斉に同じ方向を向きました。
「……?」
 それは、ほむらちゃんでした。ほむらちゃんは視線に気づき、一瞬にして表情を変えました。そして周りを見渡します。
「わ、わたしが集めてるのはまどかのものだけよ! 他の下着なんて興味ないわ! 当たり前じゃない!」
 ほむらちゃんは椅子から飛び跳ねるように立ち上がるとそう興奮しながら言い放ちました。
「暁美さん……。それ本当なの? それだったら、警察に……」
 先生が疑い深い目をほむらちゃんに向けます。それはそうです、そういう発言をしてしまったのですから。
「え、あ、いやなんでもないです」
 そう言ってほむらちゃんは小さくなって、まるで椅子に吸い寄せられるように戻っていきました。
「鹿目さん?」
 心配そうな顔をした先生が私を見つめています。
「はい、大丈夫です」
 そう、大丈夫なのです。というのも、ほむらちゃんが実際に私の下着を……というのは前にもあり、体育の授業でガン見してきたり、必ずといって更衣室では隣、トイレも一緒に……と、大体私と一緒なのです。
そして、極めつけは男子に混じって下着の話やえっちな話ばっかしたりして、しまいには私のあることないこと秘め事まで話している次第です。
だからこそ、クラスのみんなはほむらちゃんのことではないかと疑ったのかと思います。という私もつい条件反射で見てしまいましたから。
とはいっても、みんな冗談交じりの疑いなので笑っています。
「ほむらちゃんの頭の中だけですので、大丈夫です」
 私は笑いながらそう言います。私に釣られるようにみんな同じように笑いました。現実に起こっていないなら犯罪ではありません。警察は頭の中の犯罪を現行犯で捕らえることはできません。
「そうですよ、先生。ほむらは頭の中がピンク色だから気にしないほうがいいって」
 さやかちゃんがお腹を抑えながら、笑ってそう言いました。さやかちゃんは男子生徒からそういう話の核心を聞かれたりよくされているので、よくあれは暁美ほむらの妄想ごとだから信じるなよと力説しています。
「……人のこと言えるのかしら? あなただって、毎日毎日杏子杏子って、わたしたちに言ってくるじゃない? あぁ、他にも恭介の好きな色はこれなんだとか言って、パン……」
 ほむらちゃんが言い終わるか終わらないかで、さやかちゃんが思いっきり消しゴムをほむらちゃんに投げていました。ほむらちゃんはなんなく左手でそれを受け止めていました。
 ――運動神経抜群のほむらちゃん。さすがです。
「……はぁはぁ! それは言わない約束じゃなかったかな!」
 顔を真っ赤に染めたさやかちゃんが息をきらしながら言いました。男子が煽るように言葉を発しています。それを睨みつけるようさやかちゃんが机を叩きました。
「ふん、美樹さやかがわたしのことを言ったからよ」
「なによ!」
 二人がにらみ合います。先生がその視線の間に入ると、
「はいはい、わかりましたから……ね? 暁美さんも、美樹さんも席について」
 二人とも返事をすると、席につきました。
――やっぱ、先生はすごいです。
「暁美さんのことはよくわからないけど、女子生徒は気をつけるように! 男子生徒も可能性はないとは思うけど気をつけるように……。あと、男子生徒の中にまさか犯人はいないと思うけどいたら、先生にこっそり言うのよ。警察、両親には言わないであげる。仕方ないものね……、男の子だもの」
ふふふと笑った先生は言葉を続けていました。ただ、ほむらちゃんだけは顔を赤く染めて、また下をうつむき始めていました。
 それが何かのスイッチのように、ほむらちゃんと偶然会った病院のことが記憶として思い浮んできました。


☓ ☓ ☓

 ほむらちゃんを発見したのはちょうど確か警察の人に事情を全部話した後で、ママが「個別にこいつに話があるから先帰ってな」と私に言った直後でした。
「ママ、先に帰ってるね」
 ママに私はそういうと、ほむらちゃんのところに歩こうと足を進めます。歩いてる途中に一度ママの方を振り返ってみましたが、真剣に警察の人と何かを話してるようで私のことをもう見ていませんでした。
「……?」
 何を話しているのか気になりましたが、後に聞くことにしようと思います。
視線をほむらちゃんのいる場所に戻してみるとここから見えるほむらちゃんは何かそわそわしながら、あっちにいったりこっちにいったりしていて私がここにいることに気づいていないようでした。そこはちょうどエントランスのような場所で一見すれば落ち着きがない人か、不審者にほむらちゃんが思われてしまうかもしれません。
だからこそ、ほむらちゃんとしてトロくさい私でも見つけることが出来ました。とは言いましたが、警察署の中にいる人たちがほむらちゃんを指さしていたので、遅かれ早かれ気づいたような気がします……。
 ほむらちゃんがいずれ職種質問されてもいやなので、私に気づかないほむらちゃんの後ろへと立つと、
「ほむらちゃん、どうしたの? こんなのところで。警察の人に何かようなの? あるなら、あそこで受付番号……」
 となるべく驚かさないように言いました。
「うわぁ! ま、まどか!? ど、どうしてここにいるのかしら。べ、別にわたしはようは何もないわ。そう、わたしは何もしていないわ、まだ……!」
 振り向いたほむらちゃんは、蛇に睨まれた蛙のように身体をゆっくりと動かして身振り手振りしました。それはロボットのように見えて少しおかしかったので笑ってしまうと、
「ほむらちゃん落ち着いて!」
 と、その手をそっと掴みます。ほむらちゃんの手はとてもすべすべしていて、いつもどおり温もりを持っていました。
「え、あ、うん。そうね。そうだわ」
私が話しかけたことでほむらちゃんを見ていた視線がなくなった感覚がしました。周りを見渡すと指を指してる人はいなくなってました。どうやら普通の人と思われたみたい。――よかったと思いました。
「うーんとね、最近流行っているみたいなんだけど、私も何だかその被害にあったみたいなんだ」
 落ち着いたと感じた私はほむらちゃんの手を離しました。なぜか残念そうな顔を一瞬見た気がしますが気にしないことにします。
「……最近流行ってる? それって何?」
「ほむらちゃんもそのためにここにきたんじゃないの?」
 ほむらちゃんは何も知らないようで首を左右に振りました。
「何なの? 教えてまどか」
「うーん、ちょっと恥ずかしんだけど……なんだか最近下着泥棒が流行ってみるだよ」
 あははと照れ隠ししながらつい苦笑いしてしまいました。
――まさか私がその被害に……というやつです。
「まどかの……パンツがなくなった……? 嘘……、嘘よ……」
 私の下着がなくなったことを聞いたほむらちゃんは唖然の表情を浮かべ崩れるように地面へと突然座り込んでしまいました。その影響でスカートの中身が丸見えでした。後ろからは見えないとは思いますが私の位置から丸見えです。
 私のことなのにどうしてほむらちゃんがそんなに落胆するのかわかりません。
「ほ、ほむらちゃん!? な、何してるの」
スカートの中が他の人から見えないように立ち位置を変えると、床はとても冷たいはずですので私はほむらちゃんに手を差し出します。それと至る所から冷たい目線を感じます。その視線の元をたどると一瞬だけ受付にいる女性の方と目が合いました。笑い半分怒り半分という印象です。
そして、何だか折角散った視線が再びここに集まってくるのを感じて、恥ずかしくなりました。
「ほむらちゃん、そこ冷たいからだめだよ。座るなら椅子にしないと」
 私はほむらちゃんを急かすように手を取ると、その場を逃げるようにベンチがあった通路へと引っ張っていくことにしました。そこなら確か人もそれほどいなかったはずだし、ここより広い場所でなかったはずです。確か、ママと一緒に入ったときにちょうど廊下の通路にあった……はずです。
一旦警察署の入り口に戻った私たちは、その通路を目指しました。ほむらちゃんは、「まどかの生手、まどかの生手」と念仏を唱えるように私に付いてきてくれます。お願いだからそういうことを言わないでと言いたいのですが、言っても無駄なのは過去に経験済みですので、対処法をとれるよう急ぎました。
なるべく早く。誰も聞いてる人がいないこと祈りつつ……。

☓ ☓ ☓

 ベンチに座って腰を落ち着かせたところでほむらちゃんは私に真剣な眼差しを向けると、
「そ、それでどのパンツがなくなったの? まさか私がお気に入りのあのピンク色のラインが入ったパンツ、それとも青い縞模様のパンツそれとも……」
 と、思い出したかのように口を開きました。
「パンツ、パンツって連呼しないで! ほむらちゃん女の子でしょ! というかなんで私の持っている下着の種類知ってるの……?」
「うん、パンツよ。パンツよ。まどかのパンツ。それはもうわたしの中の辞書にデータ登録されているわ! きょう何を履いてるのかもある程度わかるわ! そうね……」
 私は右手でほむらちゃんの口を塞ぐとため息を吐いて言葉を続けました。
「うーんと、最近買った真っ白い下着なんだ」
 恥ずかしくて顔が高揚していくのを感じます。
「ががあががが!」
 ほむらちゃんが何か言いたげに私の右手に息を激しく吹きかけました。
「あ、ごめん」
 喋りたかったんなら、自分の手で私の手を退かせばいいのにとか思いつつ口を塞いでいた右手を取ると、ほむらちゃんは
「なん……だと。私も密かに狙っていたのに……! 触ってもいないのに……。家にでもあるからいいか」
 と、ぼやきました。そして、気になるワードもついでに公開してくれました。
 ――今ならテストにも出そうな感じがしました。
そんなわけの分からないことが頭に浮かんだ私は
「えっ?」
 と驚いた顔を向けると、ほむらちゃんはしまったという顔をして口元を隠して視線をあからさまに私から外しました。いつも私の顔ばっか見てくるほむらちゃんですので、あきらかにおかしいです。絶対何かを隠しています。
「ほむらちゃん…… 何が家にあるの?」
 だから、ほむらちゃんが逃げないよう両肩を掴みます。
「え、えっとー、なんのことかしら? あははは。わたしにはわからないかなぁ。い、痛いよまどか? ね、ねえ? 痛いよわたし痛がってるよ? いいの、いいの? わたしはそれでもいいけど! やるならもっと強く、強くして!」
 両肩を離すと長いため息が出ました。むしろ、ため息しか出ませんでした。
「あれ、終わるのまどか? そうなの……」
 そのため息の原因であるはずのほむらちゃんは私に残念そうな顔を向けます。
「じゃぁさ、とりあえず家にある下着返して。今から行こう」
「え、それはちょっと困るわ」
「どうして?」
 予想外のことで少し混乱しそうになります。
「ほむらちゃんの家に私の下着あるんでしょ? なら返してもらうのが普通じゃない?」
「そう? まどかのパンツは私が持つべっってあああああああ!」
「やっぱ、持ってるんじゃないじゃぁ行こう!」
 私はベンチを立ってほむらちゃんに手を転んだ時のように差し出しました。
「あ、あ、うん、はい。わかりました。」
 その手を両手で掴まれた私はその状態で警察署を後にして、ほむらちゃんのマンションへと向かいました。外はもう夕暮れ時ですごくいい空の色をしていました。
「ほむらちゃん空綺麗だね」
「え、あ、うん。そうだね。縞模様綺麗かなぁ!」
 何かおかしくなったほむらちゃんでしたがマンションに近づくころには元に戻っていました。

☓ ☓ ☓

 ほむらちゃんの部屋についた私はソファーで待っててと言われたので待ちぼうけさんです。ここはいわゆるリビングルームみたいなものでテーブルにはほむらちゃんが勉強していたのか勉強道具一式と、私のために出してくれた紅茶がありました。
 ほむらちゃんがくるまで暇ですので、たまにはということでほむらちゃんの部屋を見てみました。マミさんの部屋と違ってどちらかというと、メカメカしいという感じがします。
 それは相変わらずというか、パソコンのモニターとテレビ画面? のようなものが多いというのと何かを祀っているような祭壇のようなものと『MADOCA』『SAYAKA』『KYOUKO』『MAMI』と何語で書かれたかわからないものがタンスにお札のように貼ってあるせいかもしれません。一見すれば、女の子の部屋と思われないかもしれません。でも、私が誕生日にあげたくまさんのぬいぐるみはソファーにこうしておいてあるので、やっぱり女の子です。
 お札だとかモニターは最近の流行……ではとてもないと思いましたが、ほむらちゃんは他の友だちと比べて不思議な娘なのできっと何か理由があるんだろうなぁと深く考えないことにしました。そういえば、昔このタンスは絶対に開けないでと言われたことがあります。そのとき、さやかちゃんも一緒でした。当然さやかちゃんはほむらちゃんの言うことなんて聞きませんから、そのタンスを開けてしまいました。
結果はというと、さやかちゃんはそのままの状態で微動だにしませんでした。開けた状態で、何かのショックなのかわからないですが固まっていました。――それも立ったままで。
それでしばらくするとほむらちゃんがきて「さやかは眠ってしまったようね」と言いました。そして、タンスを大事そうにゆっくりと元に位置の戻した後にさやかちゃんを床にゆっくりと下ろして、そのまま引きずって私の座っているのとは別のソファーに寝かせました。なんだかんだで二人は仲良しなんだなとか笑いながら思ってしまいました。
――若干、立ったまま突然寝ることなんてあるのかなとか考えましたが、考えないことにしました。
 なので、そのとき以来誰も開けたことがないです。
 他といえば、カメラがやたらと多いなと思います。一度見せてもらったのですが、お米のように小さいカメラからプロが使うような一眼レフといったカメラを何十台も持っているみたいです。何に使うかはわかりませんが聞いたところによると、監視カメラとしてマンションのほむらちゃんの部屋の前にもありますし、この部屋にも何箇所か設置してあるみたいです。セキュリティが厳しい家というのはこんな感じなのでしょうか。私の家にも多少なりとも設置されてはいます。
 そんなことを考えていたら、部屋の奥からほむらちゃんが歩いてくるのが見えました。
「ごめん! まどか」
 ほむらちゃんが私の前に立つとまずそう言いました。
「えっ……? なにこれ」
 そして、ほむらちゃんが両手を震わせながら私の前につきだしたものは、ただの黒い何かの物体でした。
――炭? 海苔?
「うーん?」
 手を伸ばしてみると、何か触ったことのあるような感触がしました。
「まさか、これがいやだった理由?」
 そう、それはゴムの感触がしました。ムチムチしたあの反発力に似たものです。
「これって、どうしたらこうなの? アイロンかけようとしたとかなのかな?」
 私もしたことがあります。一度それでママに怒られました。
「違うのよ、誰かが私のコレク……私のパンツを盗もうとしておそらく間違えてまどかのパンツを盗んだのよ」
「うん」
「それでね、結果的にパンツは盗まれなかったんだけど……代わりにこうなったの」
 ほむらちゃんが申し訳なさそうに下を向きました。
「うーん、どうしたらこんなのになるの?」
「うん、それはね!」
 下を向いていたほむらちゃんは急に私の顔を見ると笑いました。
「これをこうして……」
 そして、スカートの中から何かのリモコンのようなものを取り出すとボタンを押しました。
「それなんなの……?」
 ほむらちゃんが立ってて、見えないからというのでほむらちゃんの横に並ぶように立ちました。奥の部屋は扉を閉めていないのか半開きになっていました。
「ちょっと見ててね」
ほむらちゃんがテーブルの上にあった消しゴムを掴むとその奥の部屋にいける通路へ投げ込みました。
「うわっ」
一度白い線が見えると、周囲にゴムの焦げた臭いがしてきました。
「これって……?」
消しゴムがあったところを指差します。確かにさっきまではありました。
でも、指差すそこには黒いカスのようなものしか残っていないのでした。
「簡単に言えば、レーザーね? レーザー発生装置。それをね、置いてみたの!」
「あのさ、それはわかったんだけど、何か私の下着と関係あるの?」
 わからない私は嬉しそうなほむらちゃんに尋ねます。
「そうね、これは実演したほうがわかりやすかもしれないわ……」
 ほむらちゃんはそういうと、奥の部屋にいける通路へ歩いて行きました。
「あ、危ないよ! ほむらちゃんさっきの消しゴムみたいになっちゃうよ!」
 ほむらちゃんの元に行こうとした私をほむらちゃんが手でそこにいてと合図します。
「よくそこで見ていて!」
 そういって、ほむらちゃんは奥の部屋へと向けて一歩を踏み出しました。
「あぶっな!」
 私の声が届くよりも早くさっきの見えた白い光が見えたときには、私は怖くて眼を閉じてしまいました。
「もう! まどか見ててって言ったのに!」
 ほむらちゃんの声が聞こえたので恐る恐る眼を開けてみると、奥の部屋の前にほむらちゃんは何事もなく立っていました。
「だい、じょうぶなの?」
「えぇ、なんともないわ。こうやって……いけば大丈夫なのよ!」
 そういって、ほむらちゃんはその場で跳ねると新体操をやるように手と足を使い、3回ほどの側転でリビングへと戻って来ました。当然ほむらちゃんを狙うようにレーザー発生装置といってた白い光が迫っていましたが、当たることはありませんでした。
「ほむらちゃん、すごいね……」
 ほむらちゃんはほんとすごいです。頭もすごくよくて、運動神経抜群。私と比べたら月とスッポンぐらい違います。またため息が出てしまいます。
「うん? どうかしたの……」
「な、なんでもないよ」
「見てもらったからわかるように恐らく盗み出したまではよかったもののわたしのレーザー発生装置に恐れをなして、きっとまどかの愛らしいパンツを落としてしまったんだわ。それで盗み出した本人は逃走。しかし、落としたまどかの奇跡的までに美しいパンツはわたしのレーザー発生装置に焼かれてしまった……という感じだわ。おそらく。わたしのレーザー発生装置ほんと、憎たらしく羨ましい」
 腕を組んだほむらちゃんが探偵さんのようにそう推理するよう言いました。
「そうなんだ……」
 私の下着だったものは、そんなことで終焉を迎えたのかと思うと何だかお疲れ様といいたくなります。
「よくわかったから、今日はとりあえずこれで帰ろうかな。私の下着は帰ってこないみたいだから」
 入り口の方に向かおうとするとほむらちゃんが手を叩きました。
「そうだ! まどかもやってみようよ」
 と、言って何かをひらめいたような顔をこちらへと向けました。
――意味がわかりません。
「やってみてって、本気でいってるのほむらちゃん?」
答えるより前にほむらちゃんが私の背を押します。
「あ、危ないよ!ほむらちゃん、わ、わかってやってるの?!」
「大丈夫、大丈夫。わたしのまどがが失敗するはずないわ」
 ぽんぽんと私の背中を押すほむらちゃんの力に抗うことが出来ず、さきほどのレーザー発生装置がある通路前まで連れてこられてしまいました。
「ほ、ほむらちゃん? ね、嘘だよね?」
「え、何のことかしら」
 そういって、さっきまでと比べられないほどの力で私を押し出しました。
「え、えええええええええええええええええええ」
 その通路に倒れるように転んでしまった私は、どうすることもできないと思い、恐怖心から目をつぶってしまいました。
 あぁこんなことで私の人生は終わってしまうんだ、ママ、パパ、タツヤごめんね……。そう私の頭の中で思っていたら何かの音が一瞬だけ聞こえると、私は身体を起こらされていました。
「まどか、大丈夫?」
 眼を開けるとそこには心配そうにこちらを見てるほむらちゃんの顔がありました。
「大丈夫? じゃないよー、下手したら私死んじゃってたよ。ほむらちゃんのバカー」
「ご、ごめんね、まどか。怖がらせようと思ったわけじゃないんだよ」
 ほむらちゃんはそういって、涙ぐんだ私を優しく立たせてくれました。
「あっ」
 それは一瞬の出来事でした。
 気づくべきでした。確かに白いレーザーは発射されていたということです。
 立った瞬間私のパンツは地面へと重力に逆らうことなく落下していました。何もなくなった部分に冷たい風が入ってきます。恐怖心から気付かなかったのですが、確かに腰に何らかの違和感があったようなかったような気がします。
「きゃ」
 思わずスカートを抑えてしまいます。
「まどかどうしたの?」
「今の衝撃で下着がきれちゃったみたい……。もう、だからダメだって言ったのに!」
「ご、ごめんね。じゃぁ、このやぶれた下着は私がもら……いいえ、処分するから! やっぱり、今日はピンク色のラインパンツ! うふふふふふっふ」
 そういって、ほむらちゃんは私の足元にしゃがみました。
「や、やめて、ほ、ほむらちゃん! み、見えちゃうよ!」
「大丈夫だよ、見えてもわたしは全然気にしない。むしろ、見たい!」
「いいよ! そんなのカミングアウトしなくても! もうほむらちゃんはほら、ちょっと離れてて!」
 そういって、ほむらちゃんを離させることに成功すると下着を手に取りました。
「うーん、どうしよう。帰れない……」
 下着を付けないで帰るなんてこと私にはとてもできません。他の人ができるとも思えません。
「じー」
 ほむらちゃんがこちらの凝視するよう見つめてきます。視線は主に下方向に感じるような気がしましたが、気にしないことにすると、
「そうだ、ほむらちゃん。代わりに何か下着を貸してくれない? 新しいのがあればそれを新しく買って返すから」
 とほむらちゃんに尋ねました。
「うんうん、そうだあれが言いかもしれないわ」
 そういって、ほむらちゃんはお札の貼ってあるタンスを開くと何かを探してるようで手を動かしています。
「そこにあるの?」
 手伝おうかと思って近づこうとしたら、まどかはそこで待っててと止められました。
「あったわ。これを履けば完璧だわ」
 私はそれをほむらちゃんが見えない場所で履くと、マンションを後にしました。
家に帰って思ったことですが、あのレーザー装置を作ったのはほむらちゃんです。なので自由な設定ができるはずです。
だから、きっとほんとだったら発射されて私は丸焦げになっています。
そんな単純なことを見抜けないなんて、やっぱり私は抜けてるんだなぁと思ってしまいます。目を閉じてしまった私はその真意が気になりました。なのでそれについて、ほむらちゃんに問いただしてみたら案の定ためらいなく「そうだよ」と、笑いかけられてしまいました。そのことについて怒ったりしません。だけど、もうしないでねと念を押しておきました。
それでほむらちゃんが本当にやめてくれたらと心で願ってしまいます。でも、やっぱりそこはほむらちゃんなのであの手この手で試行錯誤するのだろうなと心の片隅で感じてしまう私でした。

 借りた下着ですがどこかで見たような印象があったのは後になって、思ったことです。マミさんの家でパジャマ会したその日に見た記憶が……
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